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80話:どこからか……
(どこかから)
女性と男性の二人がどこかから、彼らを見る。
「行かなくて、いいのか?」
男性の問いに、女性は笑う。
「私が行かなくても大丈夫でしょう?まだ、もうしばらく見ていましょう。私と雷斗さんの子なのですから」
雷斗と呼ばれる男性もまた、笑いながら、
「それにしても謳の奴、とことん母親似だ。お前にそっくりになったよ、謳雨」
謳雨と呼ばれた女性は、微笑みながら、
「ええ。もう、男の子なのに、私に似ちゃうんですから。それにしても、謳。あの娘と仲がよさそうね」
そうやって、二人は笑いあった。
(どこからか)
女性が一人、どこからか彼らを見る。
「マリアってば、ますます、第六典……ううん、聖さんにそっくりの性格になったわね」
女性はまるで誰かに語りかけるように、
「それにしても聖さん。お兄さんと仲良くやっているようですね」
うふふ、と笑う彼女は、さらに続けた。
「謳魏さま。マリアも私も元気でやっていますよ……」
彼女の声は、虚空に長く留まった。それは、まるで、誰かが、その話を聞いていたかのような。




