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狂った世界で  作者: 桃姫
狂聖編
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79/82

79話:調整

 階段を降りた先には社があった。意外と広い。

 祠の入り口は二つ。

「これが、扉……」

 扉にかかれた言葉。

「武神の直系よ、扉の前に立て」

 武神の直系?疑問に首をかしげていると、刃奈、いや、初妃が、

「武神、天辰流の家系と言うことですので、私ともう一人の篠宮です」

 その言葉と共に、こちらでは匡子さん。向こうでは刃奈が扉の前に立つ。

――カチャンと何かがはずれ、扉に書かれた文字が落ち、奥から、新しい文字が出てくる。

「武神の分家よ、扉の前に立て」

 分家とは、本家(本元)から分岐した別の家。

「篠宮の分家である東雲か西野の人間です」

 初妃の言葉と共に、こちらでは信也。向こうでは紀乃が扉の前に立つ。

――カチャンと再び何かがはずれ、扉に書かれた文字が落ち、奥から、新しい文字が出てくる。

「希望咲く一族の者よ、扉の前に立て」

 その言葉と共に、こちらではキリエ。向こうでは哀子が扉の前に立つ。どうやら自分達で理解していたらしい。まあ、読んで字の如く、希ぼう咲くから希咲だが。

――カチャンと何かがはずれ、扉に書かれた文字が落ち、奥から、新しい文字が出てくる。

「死の一族の者よ、扉の前に立て」

 その言葉と共に、こちらでは俺。向こうでは姫夜が扉の前に立つ。残った鍵は、俺たちだけだから、当然といえば当然だ。

――カチャンと何かがはずれ、扉に書かれた文字が落ち、奥から、新しい文字が出てくる。

「残念だが、真の鍵穴は、この先だ。三つの扉を同時に壊せ」

 その言葉に、俺たちは驚愕する。入り口は二つ。そして、戦力も二つ。俺たちには、もう一つの扉は壊せない。どこにあるかも分からない。でも、諦めない。

『あきらめて、たまるかよ(ものですか)!』

 俺と姫夜の声が重なる。

 二人の眼、【死染眼】と【血染眼】が二つの扉を塵一つ残さず消す。

「おめでとう。三つの扉は開かれた」

 その言葉に、驚く。確かに扉は、三つ。消えた二つの扉に、綺麗に刻まれた一つの扉。先ほど、一瞬だが、俺と姫夜には見えた。俺たちの禍々しい紅の力とは真逆の神々しい蒼い力、剣光が。

「ありがとう、我が神の末裔……」

 初妃がそんなことを呟いた気がした。

「マリア」

 俺の呼びかけにマリアが寄ってくる。

「はい!」

 マリアが扉の奥に踏み込む。三つの扉に囲まれた中心。そこに人が立てる円柱の台があった。マリアはその上に立つ。

「マリア、これを」

 俺は、狂った世界を正常に戻すための、最後の歯車をマリアに渡す。

「ええ」

 マリアは、歯車を直した。

 ――そして世界は正常に動き出す。

「あっ、あたしの【縛鎖】の眼が消えてる」

 廿楽の言葉。

「ええ、消えたのは、おそらく貴方の力だけでしょうね。この世界でできた模倣の異能は、全て消えたはずよ。でもここに集まったほとんどのメンバーは、異界の本物の異能を持った人間。消えなくて当然よ」

 沙綾の言葉。そうか、俺たちの異能は消えないのか……。

「ええ、【死染眼】も【血染眼】も【七夜】も【氷天奏々】も。全て、元は、血のつながりから遺伝した能力。だから、歯車とは関係ないわ」


 ほぼ、完結です。まあ、最後のほうが雑ですが……

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