74話:【穹】
俺は一心不乱に駆ける。一刻も早く、【空の欠片】を手に入れるために。幸いにも刃奈は近くに来ていたらしい。どうしてかは分からないが、一つ気がかりがあるとしたら、あいつが、いつもの「ッス」口調ではなく、美人モードだったことだ。何かあるのだろうか。
「やっと来ましたね。お久しぶりです、雨月家の謳さん」
「やあ、刃奈」
俺は、刃奈に近づく。
「刃奈、ですか。一応言っておきますが、刃奈は、今寝ています」
どう言う意味だ?
「私の名前は、篠宮初妃。この子……刃奈の先祖です」
「せ、先祖?」
そんなバカな。
「今、一時的に、この体を借りています。そして、これが」
「【空の欠片】」
青い球体。
「いいえ、【穹の欠片】です」
「【穹】……」
【穹の欠片】。
「【焔】、【地】、【氷】、【穹】、そして【始祖】。五つの欠片が合わされば、世界を構成する歯車となります。これは事実ですよ。何せ、私の主、神より聞いた御言葉ですから」
神?いやいや、そんなバカな。
「今、神を否定しましたね?私は、神との間に子を身篭った身ですよ!」
え?何?神の婚約者?女神?
「まあ、所謂、不倫、と言うやつですが」
不倫!不倫相手が神?どう言うことだ?さっぱり分からない。
「まあ、いいでしょう。では、よろしくお願いしますわ」
そう告げると、刃奈……、いや、初妃は、それだけ言うと、去って行った。
俺は、急いで学園に戻ると、そこには、爛の乗った車がいた。俺は、園内に入ると、車に近づき、爛と合流した。
「爛。例の歯車ってのは?」
「これです」
円形の箱?穴の開いたものだ。窪みの穴には、四つの球体が収まっていた。開いている最後の一つに、【穹の欠片】を収めた。
「これで、歯車が……」
出来上がったのだろうか。
「箱が、、円盤に、変わった?」
そう、箱は円盤となっていた。




