60話:沙綾の話
え~と、沙綾からの説明を軽くまとめると、
俺の両親、母・雨月謳雨と父・天導雷斗(婿養子)の間に生まれた一人っ子。まだ、赤ん坊だった俺を置いて、両親は仕事(沙綾曰く、「ライブ」)に行っていたため、俺は、沙綾に預けられていたらしい。
ところが、沙綾は、「旦那とイチャコラできない」と言う理由で、俺を施設に送りつけ、俺は今のようになったらしい。
ちなみに、両親は、どこかで「歌っている、或いは、謳っている」らしい。
「そういえば、【唄姫】って言ったっけ?」
黒羽の一件、透の一件。二つの件に名前が出てきた。
「あれ、あんた、謳雨の二つ名知ってたの?」
「まあな。何度か出たしな」
「話についていけない~」
紀乃が唸っているが無視しておこう。
「へ~、ってことは、【七夜】でもあったの?」
「最後の夜を迎えたぜ」
「へ~。親子で【七夜】に関わるなんて、何て偶然」
さっきから偶然、偶然って五月蝿い奴だな。
「あんたの母、雨月謳雨は、【唄の魔女】と私が恐れていた奴だから。それに、【夜の女王】と縁のある唯一の人間だったし」
お前が恐れていただけかよ!
「まあ、私は【時空間の詐欺師】・タイムマジシャンと呼ばれているから、恐るるに足らずだったんだけど」
大口で笑う沙綾だったが、なにやら急に身震いを始めた。
「いや、やっぱ取り消し。恐いわ、あいつ」
沙、沙綾がこんなに怯えている、だと……。まだ見ぬ母よ、いったい、何をしたというんだ。
「と言うか、その変な二つ名は、もしかして自分でつけたんじゃ……」
紀乃の指摘に沙綾は、顔をしかめ、
「何で、分かったの?」
自分命名だったのか。
「そりゃ分かりますとも!【時空間の詐欺師】なんて痛い名前!」
「痛いって言うな!」
「いえ、分かります。この自称【深鼎の覇者】・【真海】こと東雲紀乃」
何か、増えた!面倒なのが増えた!
「もう、お前等黙ってろ!」
「何言ってんの。同志と巡り合えたのよ!」
「そうよ」
この二人は……。
「話は聞かせてもらったわ」
バンと漫画のようにドアを蹴破り、廿楽が入ってきた。その後には、蓮条もいる。
「まさか、ウタイくんの過去に、そんなことがあったとは、思いませんでした」
蓮条が言葉を放つ。
「そして、九龍沙綾さん、貴方に聞きたいことがあります」
「なに?」
「貴方は、異能を持つ者の側に現れては、矯正をしているようですが、何が目的なのですか?」
矯正?異能者を矯正ね。九澄とか?いや、九澄は馬鹿が悪化した気がするが……。
「ほぉ~、矯正、ね。私としては、まあ、迷える子羊を導いていた、と言う表現なんだけど」
「……教会に携わっていらっしゃるようには見えませんが?」
まあ、俺にも、沙綾が教会のシスターには見えない。
「あら。これでも一応、神遣者なのだけど。まあ、シスターじゃないから。それに私は、導きはするけど正さないわ。九澄がいい例ね」
あ~、なるほど。馬鹿をちゃんと生活できるように導くけど、馬鹿は直さないってか?
「それに、私は、相手を選ぶから。例えば、謳や姫夜、哀子のように知人の子だとか、九澄のように知り合いと同じ能力を持っているだとか、刃奈のように『あいつ等』の末裔だとか、響のように特殊だとか、そう言った子等を導いているのよ」
あいつ等って言うのが誰かは知らないが、まあ、ようは、自分の知り合いか特殊な奴しか導かない、ってことだ。
「なるほど、まあ、それで納得しましょう。私は、一応、【PP】や朱野宮との繋がりもあるので、そちらから依頼されたのですが、まあ、そちらには、今の説明をしておきます」
「朱野宮。朱光鶴の末裔ね。そこと親しい蓮条ってことは、【恋嬢の炎牙】の末裔かしら」
何言ってんだコイツ、と言うのが俺の感想。
「さっきから意味がわからなすぎてついていけん。漫画だと、読者置いてけぼりの超展開だ」
「気にしないことよ。これは、この世界では関係のない、あくまで、別の世界の話なんだから」
「ここ」と「よそ」か。
「まあ、その話は置いて置こう。伏線と言う可能性も否めない」
「あんた、この世界を漫画かなんかだと思ってないかい?ここは、現実だし、今まで出た言葉は過去であって、伏線でもなんでもないよ」
と言うわけで、沙綾の言葉どおり、伏線でも何でもありません。
そして、今週……、いえ来週(?)の水曜日より修学旅行のため、更新が途切れ途切れになる可能性が高いですが、ご了承ください。




