47話:集う生徒会
Scene崇音
これは、今の物語。
私は、久々に登校することを許されました。本来は、全寮制の【私立響乃学園】ですが、朱野宮家のご好意と特例のことから私も、登校と言う形が許可されたのです。
「もう、六月ですから、二ヶ月ぶりの登校ですね」
七峰さんが、私に声をかけてくれます。
「ええ、もう、そんなになりますか」
私は、もどかしく、歯がゆい気持ちでした。
「この時間だと、六限になってしまいますね」
「そうですね。それでも、出ないよりは、いいと思いますが……。それに、私は、一応生徒会の役員に任命されていますので、そちらにも顔を出さないといけませんしね」
そう、私は、役員に任命されていたのにも関わらず、今日までの一回も会議に出席することができていないのです。
私が、学園に到着したと同時に、六限の終わりを告げるチャイムが鳴ります。
「間に合いませんでしたか」
「では、お嬢様。生徒会室のほうへ行かれてはどうでしょう」
そうですね。とりあえず、そのほうがいいかもしれません。
「それでは、わたしは、車で待機しておりますのでお嬢様、どうぞ行ってらっしゃいませ」
「ええ、行ってきます」
私は、教室棟の生徒会室へ向かって足を踏み出します。
生徒会室の前に着くと、どうやら鍵が閉まっているようで、開いていません。まだホームルームの時間なのでしょうか。と、そこへ、私よりも先輩に見える方、記憶に間違いがなければ、生徒会長の廿楽さん、がやってきました。
「あら、蓮条さん。今日は来られたの?」
「ええ、何とか。と、行っても、来たのはつい先ほどなのですが」
やはり、廿楽さんのようだ。
「あれ、もう、来てる?」
廿楽さんの呟き。誰か居られるのでしょうか。
「はぁ、勇音さん。来たのなら、鍵開けておいて」
「へ~い。分かりましたよ~」
軽い口調(言葉に重みがない)で返事をした女生徒。彼女は、
「ああ、彼女は、勇音透さん。この通り、口調が荒っぽいです。あと、仕草も適当なので真似しないように」
あまり、信頼のない役員のようだ。
「今日はじめてきたのに、何であたしよりも先に鍵なしで入れたのかはさて置き、今日は、まさかの全員役員が揃いそうね」
勇音さんは、今日、初めて参加するらしい。
「あ~、まあ、兄ちゃんの葬式やらなんやらで忙しかったから……」
「お葬式には、彼も出席したんだったわね」
彼?
「ええ、まあ。兄ちゃんの友だちらしく。遺影も二人で撮ったときの兄ちゃんの笑顔の写真で遺影作ったし」
彼と言うのは、勇音さんのお兄さんのお友だちらしい。
「す、すみません。お、遅れました」
「あら、七夜さん。大丈夫よ。若干一名、遅刻してるのが居るから」
七夜さんと呼ばれた黒髪短髪の女生徒。
「遅刻しているのが一名……ですか?それにしても、今日は、人が……」
彼女が部屋を見回す。
「多いですね」
「ええ、彼を除いた全員がいるわ」
彼?あの、彼も生徒会役員なのだろうか。
「その、彼、とは?」
私の疑問に、廿楽さんが答えてくれます。
「ああ、彼って言うのは、」
そのとき扉が開かれた。生徒会室の扉であり、私の運命の扉……。




