48話:再会
Scene崇音
これは、目の前で起こっている物語。
開いた扉から入ってきたのは、黒髪に黒眼と言う日本人らしい色合いに、気品のある顔立ちをした少年だった。その姿には見覚えがあります。
数年前に出会った彼と姿が重なり、心が揺さぶられます。心拍数が上がり、鼓動が強まり、頬を紅潮します。
「まさか、ウタイ、くん」
私の呟きに、彼は、「ん?」と短く声に出しながら私のほうを見ます。
「あれ、知り合い?どっかで会ったっけ?」
彼の言葉。私は、
「覚えていませんか。その日、貴方は、死神に追いかけられていたのですが」
その言葉に、廿楽さんと勇音さんと七夜さんがきょとんとした顔をする。一方、ウタイくんは、何かを思い出したかのように笑った。
「ああ、俺が不法侵入した家に居た女の子か!」
彼の言葉が、あの少年と彼がイコールで結びつくことを如実に物語っています。
「思い出した、思い出した。えっと、それで、何でここにいんの?」
彼に問われます。
「えっと、私、蓮条崇音と言います」
「ああ、そういうことか。ってことは、生徒会フルメンバーが集まったってことか」
彼の言葉に廿楽さんが頷く。
「ええ、そうよ。発足から一ヶ月以上、約二ヶ月。それだけ経っているのにもかかわらず、やっと、全員が揃ったことに感激を覚えます」
廿楽さんの言葉が大げさに思ったのは私だけではないようで、皆、呆れた笑みを浮かべている。
「いや、呆れてるけど、勇音さん。あんた、最初、ただのサボりで来なかっただけだからね。忌引とかに関係なくサボってただけだからね」
廿楽さんが怒鳴る。
「いや~、まっ、あの頃は影薄かったし。まあ、今じゃあ謳のおかげで普通に認知されるようになったけど」
「それでも影薄いがな……」
彼と勇音さんは、名前で呼び合う仲のようだ。お兄さんと交友関係があったようなので、そのくらいは当然かもしれないでしょうけど。
「うっさい!」
「仲いいわね~」
あの二人の仲の良さは嫉妬心を抱かずにはいられません。
「つーか、不法侵入って?」
勇音さんが疑問の声を上げます。
不法侵入と言うのは、大雑把に言うと他者の領地、屋内に、無断で侵入することのことです。
「ああ~。不法侵入ってのはな、」
「ストップ、不法侵入の意味は分かるわよ!じゃなくて、」
意味が分かっていたのですか。
「なるほど。俺が不法侵入した理由を聞いているのか。そう、あれは、死神に追いかけられまくって、逃げてるうちに、でっかい塀があって、乗り越えたら不法侵入だろ?」
「死神?そういえば、東雲先生と、そんな話をしていた気が……。確か、」
廿楽さんが首を捻ります。
「あ?ああ、そういえば、あの時、お前もいたっけ?まあ、いいか。死神ってのは、【PP】の死神みたいに強い女だよ。俺が【血の走狗】にいた頃に、俺を捕まえた奴」
あの女性のことでしょう。
「まあ、あの方のナイフは、恐ろしかったですしね……。私にあたるかと思いました」
「ああ、マジで死ぬかと思ったぜ。ナイフで地面に縫い付けられる体験なんて初めてだった」
あのとき、地面に伏せられたのではなく、地面にナイフで縫い付けられていたのですね。気づきませんでした。
「【血の走狗】と言うのは。私とはじめてあった時にも名乗っておられましたが」
私の疑問に、彼が答えてくれる。




