第二十話 彼女たちの好奇心
あのあと俺は別の教室に連行され、手を椅子に縛られていた。
俺の前には悠樹とさっきの男子生徒が立っている。
そして始めに悠樹が口を開けた。
「で、真二。お前は伊藤さんとはどういう関係なんだ?」
「話す前に縄をほどいてほしいのだが」
「それは無理な話だ。なぜなら俺たちはなんとしてもお前たちの関係を知らなければならない。お前を逃がす訳にはいかないんだよ」
楓のファンクラブかお前らは。
「だいたいお前は咲ちゃんという美少女がいながら伊藤さんにも手を出すとは何事だ!!」
「そうだー!!」
「この二股野郎!!」
「鬼畜!!」
「変態!!」
次々に罵倒が浴びせられる。
・・・そ、そこまで言わなくてもよくね?
「ま、まあ、落ち着けって。だいたい咲と俺はそんな関係じゃないっていつも言ってるだろ」
「そんなことは関係ない!!真二、お前夏休みの間、咲ちゃんと二人だけで過ごしていたそうじゃないか」
「「「!?」」」
男子生徒がそれを聞いた瞬間、鋭い眼光が一斉に俺を射抜く。
「悠樹・・・なぜ、それを・・・?」
「フ、咲ちゃんと夏休みどうだったかって話してたら教えてくれたよ。お前がどこかに行ってる間にな」
くっ!咲、今回ばかりはお前を恨むぞ!
「あ、あれは親が勝手に決めたことだ。それに咲との間にいかがわしいことは一切無い!!」
「何!?二人きりで何週間も暮らしておいて何も無かっただと!!お前はヘタレか!!チキンか!!」
「どっちでもねぇ!!あと、お前らは俺に咲とくっついて欲しいのか違うのか、どっちだよ」
「む・・・」
お、野郎共が言葉につまったぞ。
チャンス!
「あと、楓は親父の知り合いの娘で何回か会ったことがあって友達ってだけだ。決してお前らが想像しているような関係ではない!!」
「え、そうだったのか?」
野郎共から感じる殺気が少し和らぐ。その瞬間に、風を僅かに操作して俺の手を縛っていた縄を切る。
「じゃ、そういうことだから俺帰るわ」
俺は御丁寧なことに椅子の横に置かれていた荷物を持って、走って逃げ出した。
「なっ!?ちょっと待て!!」
悠樹がなにやら騒いでいるがスルー。
待てと言われて待つ馬鹿がいるわけ無いだろう。
たとえ追ってきたとしても俺に追い付けるやつは悠樹だけ。
悠樹だけなら説得も可能だ。
結局、悠樹が追いかけてくることもなく、俺は無事に家に着いた。
俺は身軽な格好に着替えて、庭にでる。印を結ぶと空間が裂け、秘密の練習場への道ができる。
「さてと、覚醒とやらをやってやろうじゃないか」
■□■□■
私が真二がクラスの男子たちに連れられていくのを見たあと、荷物をまとめてアパートに帰ろうとしたその時、クラスに残っていた女子が一斉に私の周りに集まってきた。
「な、なに!?」
私が驚いて発した言葉に答えるように、
「大谷くんと伊藤さんって・・・」
「「「どういう関係なの!?!?」」」
一人が言ったあとに声を揃えて迫ってくるクラスメイト(女子)。
「え、えっと・・・ま、前からの知り合いなだけよ」
「知り合いって、どういう経緯で知り合ったの!?」
「えーっと、小学生のときにたまたま――」
「待って!」
適当に言い訳を言おうとした瞬間、ある女の子が口を開けた。
「仮に小学生のときにあなたが真二に会っていたとして私が知らないはずはないわ。幼なじみの私が知らないはずがない」
この子、あのとき真二と一緒にいた子だ・・・。
真二の幼なじみだったのね。
「たとえあなた・・・桜井さんだっけ?幼なじみでも、話したくないことはあるんじゃないかな」
「あの頃の真二が名前で呼びあうような仲の良い友達の話を私だけじゃなく、誰にもしていないとは思えないの」
確かにそれも一理ある。
小学生がそんなに隠し事をするとも思えないわね。
ここは素直に説明した方が得策かな?
「・・・・わかったわよ、全部話すわ」
みんなのキラキラした視線が私に集まる。
あんまり注目されるのは好きじゃないんだけどなぁ。
「真二のお父さんとうちの親が知り合いで、夏休みになってから何度か会ったことがあったの。その時に名前で呼び合おうってことになったのよ。それだけ。なんか質問ある?」
「はいはーい。しつもーん」
一人の女の子が手を挙げる。
「なに?」
「なんで名前で呼び合おうってことになったの?」
「友達なんだから名前で呼びあうようになるのは自然なことじゃないかな?」
「うーん、それもそうか」
「伊藤さん。もう1ついい?」
「いいわよ」
また桜井さんだ。
どうも納得できないらしい。
おずおずと自信なさそうに聞いてくる。
「変な質問で悪いんだけど・・・真二は強かった?」
「ッ!?」
私と真二が闘ったことを知っているの!?
確かにあのときいたけどすぐに帰っちゃったし・・・。
もしかして、霊術師を知っている・・・?
「・・・・そうね。まあ、けっこう強いんじゃないかな。男の子だし。まあ、これといった理由はないけど」
「そう・・・。ごめんね、変なこと言って」
「誤解を解いてもらえたならそれでいいわ」
それ以上はとくに質問もなく、みんな部活に行くなり、家に帰るなり、教室から出ていった。
・・・・ただ一人を除いて。
「伊藤さん・・・・あなた、霊術師なんでしょう?」
「あなた・・・どこまで知っているの?・・・




