第十三話 プールの闘い
みんな遊ぶだけ遊んで、今は少し休憩中だ。
みんな、ベンチに座って、雑談をしている。
「ちょっと、私たちジュース買ってくるね」
「あ、それだったら俺が・・・」
「いいの、いいの。真二と悠樹君はそこに座ってて。すぐ戻ってくるから」
そう言って、咲と霧島は自販機のある方に歩いていった。
「なあ、真二。一応様子見てくるか?」
「そうだな」
「だったら俺に行かせてくれ!」
悠樹がなんか目をキラキラさせながら言ってきた。
「・・・お前なんか企んでるだろ」
「ギクッ!べ、別に霧島さんに良いとこ見せたいとかそういうんじゃないからな!!」
「全部言っちまってるじゃねえか・・・」
「ま、まあ、そういうことだからちょっと行ってくるわ」
「・・・ああ」
まあ、悠樹は喧嘩はわりと強い方だし、なんとかなるだろ。
それから数分後に悠樹が血相変えて戻ってきた。
「真二、や、ヤバい・・・咲ちゃんと霧島さんが・・・!」
「おい、落ち着け。何があったって言うんだ」
「咲ちゃんと霧島さんが・・・人質にされて、金を出せって・・・は、早くなんとかしなきゃ!!」
嘘だろ!?人質!?
「行くぞ、悠樹!!」
「お、おう」
悠樹についていくと、自販機の前に人だかりができていた。
「す、すみません。ちょっと通らせてください」
人混みを掻き分けて、前にでる。
そこには金髪で背中と腕に龍の刺青をいれた男が二人いた。
一人は髪が完全に上を向いていて、スーパーサ○ヤ人みたいになってる。
もう一人の方は野球部が少し髪を伸ばしたくらいの短めの髪型だ。
二人ともそれぞれ咲と霧島の首に腕を入れ、ナイフを持っている。
おいおい、マジで捕まってるじゃねえか。
どうする?
そんなの助けるに決まっている。
でも、どうやって?
霊術を使えば助けるのは簡単だ。
でも、誰かに見つかるのは不味いし・・・。
「おい、真二。どうする?」
「んなもん考え中だ」
クソッ、どうすれば二人を救える!?
□■□■□
私たちは自販機でジュースを四本買った。
「さて、戻ろっか」
「そうね」
そのとき、いきなり怒声が聞こえた。
「おらぁぁ!!金を出せぇ!!」
「何あれ?強盗!?」
「わかんないけど、ちょっとヤバくない?」
「早く金出せぇ!!さもないとこの女共がどうなっても知らねえぞ!!」
いきなり背後から怒声が聞こえたとたん、さっきの男の仲間だと思われる奴に腕を掴まれ、ナイフを突きつけられた。
「キャッ!!」
魂霊の次は強盗?
なんで私はこんなに襲われてばっかりなのよーーー!!
□■□■□
しょうがない、今回は霊術を使うか。
・・・そう、しょうがない。
生身で凶器持ってる奴を一発で落とせる自信はないよ。
「おい悠樹。何とかして奴等の気を引け」
「バッ、バカかお前は!?俺を殺す気か!!」
「大丈夫。お前が奴等の気を引いているうちに俺が奴等をやる。それに、うまくいけばお前は人気者になれるぞ」
「・・・仕方あるまい。やってやろう。俺に任せとけ!」
悠樹はそう言うと強盗(?)の前に出ていった。
全くなんてわかりやすい奴なんだ。
「おい、お前たち!!彼女たちを放せ!!」
「悠樹君!?」
「相川!?」
「なんだ?お前は。この女の仲間か?」
「そうだよ。なんか文句あるか!」
「なめた口ききやがって!!お前も人質にしてやる!!」
その間に音速で奴等の後ろに回り込み、その勢いのまま短髪の方をおもいっきり殴り付ける。
もちろん、捕まってる霧島が一緒に吹き飛ばないように体を抑えて。
音速で繰り出された俺の拳は男の顔面にめり込み、男はそのまま吹き飛ぶ。
「ぐぇぇ、がはっ」
野次馬がざわめく。
そりゃあ、いきなり男が吹っ飛んだら驚くだろう。
あれだけやりゃ、顔の骨は十中八九砕けてるだろうな。
「真二!!」
咲は俺のいきなりの登場に驚いている。
霧島は目を見開き、絶句している。
相当びっくりしたんだろう。
殴られた男は完全に意識を失ってその場で気絶している。
「さて、お前もこうなりたくなかったら彼女を返せ!!」
「おい坊主、こっちには凶器があるんだぜ?お前に勝ち目はねえ!!」
「水銃、遠隔射撃・・・」
小声で術を唱え、男の真上に術式を展開する。
「・・・発射」
「ああ?聞こえね・・・うわっ!!」
男の持っているナイフに正確に水の弾丸が勢いよく撃ち込まれる。
水の弾丸に弾かれたナイフが床に落ちる。
「な!?お前何をしたああ!!!!」
男が俺につかみかかってくる。
男が咲を離した瞬間に悠樹が咲を助ける。
「へっ、咲ちゃんは返して貰ったぜ」
「くっ、貴様らっ!!」
「真二、やっちまえ!!」
「おう、くらえ!!」
男の顔面に軽く風を纏わせた回転蹴りからの裏拳のコンビネーションを繰り出す。
「がふっ!、ぶはっ!!」
男はその場に倒れ込み気絶した。
野次馬からは「おお~」だの「いいぞ~兄ちゃん」だの、拍手とともに賞賛の声が上がる。
「咲、霧島、大丈夫か!?」
「うん・・・ありがとう。大谷、相川」
緊張がほぐれたのか、霧島はその場にぺたりと座り込んだ。
「真二、ありがとう、助けてくれて。悠樹君もありがとう」
「いや、二人とも無事でよかったよ。なあ、真二」
「ああ、無事で何よりだ。・・・今日はもう帰ろうか」
「そうだね。さすがにこれから遊ぶ気にはなれないかも・・・」
そうして、俺たちがプールサイドで一息ついていると警察がやってきて、ちょっと事情を聞かせてほしいということで市民プールを出たのはもう日が暮れる頃だった。
「は~今日は疲れたぜ~」
「かっこよかったよ、悠樹君」
「そうか?へへへ」
「ま、大谷の方が全然すごかったけどね」
浮かれてる悠樹に釘を刺す霧島。
少しくらい夢見させてやっても良いだろうに。
まあ俺は純粋に嬉しいから良いんだけど。
「う、うるせ~!それにしても、何だったんだ?あの上から落ちてきた水は」
「さ、さあ?俺にもわからねえよ」
「それにお前異様に強かったしな」
「ま、まあな」
そりゃあ、わからないように霊術使ってたからな。
「じゃあな真二、咲ちゃん。霧島さんも」
「おう、また今度な」
「じゃあね、悠樹君、小百合ちゃん」
「またね」
俺たちは市民プールの前で別れを告げ、それぞれの帰路についた。