第3話:はじめてのドヴォイツェ-Chtě Nechtě-
国立ステラソフィア女学園。
それは機甲装騎を嗜む全ての女子の憧れ。
国中から選りすぐりの機甲装騎の使い手……騎使達が集められた、まさに選ばれし者達の都。
「ですから期待していたけれど……」
私の目の前には地面に伏せた3騎の機甲装騎。
全て私がこの手で、そして1人で撃破した装騎達だった。
それに乗っているのは私の、ステラソフィア機甲科の先輩達。
彼女達の腕は正直言って――
「幻滅」
だが、ここで躓いてしまうようでは私の目標は果たせない。
私の目に1人の女子生徒の姿が映る。
「次はアナタの番よ。ステラソフィア最強の騎使サエズリ・スズメ」
サエズリ・スズメを倒す。
それが私、セイジョー・アマユキの目標。
いや、違う。
それはあくまでステラソフィアでの目標だ。
「サエズリ・スズメを倒して――私が頂点だということを、証明してみせる」
しかしまぁ……コレが本当にステラソフィア選りすぐりの騎使達だっていうの?
賑やかな喧噪に包まれる教室の中、私は内心呆れていた。
ステラソフィア機甲科校舎内のある教室に私たち1年生は集められていた。
「新入生オリエンテーション、ね……」
一番前の席――その真ん中で私は静かに耳を澄ます。
周囲から聞こえるのは普通の学校となんら変わりのない他愛ない談笑の声。
緊張感のカケラもない、これが選びに選び抜かれた優秀な騎使だとでも言うの?
もっとも、この緊張感の無さは豪胆さの表れと捉えることもできる。
そんな気の緩い連中以上に、私の癪に障る生徒がいた。
それも私のすぐ横に。
「アナタ――」
私の呼び掛けに、その子はビクりと肩を震わせる。
ズレた眼鏡を慌てて直すその手も震えているように見え、どこか弱々しい。
チーム・ブローウィング1年コスズメ・セッカ。
私は彼女を一目見た時から何故か気に入らなかった。
「あっ、せ、セイジョーさん、ですよね……? その、何か……」
「アナタ、さっきから目障りなの。せめて大人しくしてくれないかしら?」
「えっ…………大人しく、と、言われても」
緊張しているときの彼女のクセなのだろう。
合わせた両手の指を揉むようにせわしなく動かした。
「ソレよソレ。その手の動き――気に入らないわ。大人しくできないなら違う席に移っていただけるかしら?」
「えっと……ごめん、なさい」
彼女は両手でスカートの裾を握りしめ、目を伏せる。
「フン」
私に対して言い返すような心持は当然、席を変えるような思い切りもないらしい。
それは敗北者の態度だ。
ただひたすらに搾取され、飼い殺される家畜のような人間。
何故そんな敗者側の人間がこのステラソフィアに来ているのか。
不意に教室の扉が開き、1人の女性が教室に入ってきた。
「ステラソフィア28期生のみなさん! わたしがあなた達のクラス担任になります、ドホナーニ・クラリカです!」
ステラソフィア生のお気楽な雰囲気にピッタリな、頭に団子をくっ付けたお気楽な教師。
「うーん、良いですね教師! あ、わたしもあなた達と同じ1年生なんですっ。一緒にステラソフィアライフをエンジョイしましょう!」
しかも新任教師と来た。
くだらない雑談を経てオリエンテーションが始まる。
目上の人の話を聞かないほど無礼な態度を取るつもりはないが、この教師の話は冗長過ぎた。
配られた資料の中から重要なところだけ整理する。
一方、教師の話をマジメに聞きながら必死にメモを取る隣の生徒。
それも紙と鉛筆……SIDパッドは何のためにあるのだか。
「田舎者……ちょっとアナタ、SIDパッドの使い方わからないの?」
「えっ、は、はい。こんな機械、今まで見たこともなくて……」
「ったく、貸しなさい! そもそもイェストジャーブ製のOSは使いづらいのよ! やっぱりセイジョー家のスターホワイトの方が……」
彼女の言う通り、SIDパッドにはほとんど触られた形跡がない。
それなら好都合、私は外付けメモリを差し込むとOSを書き換える。
そう長くはかからない。
我がセイジョー家の技術はピカイチだ。
いっそのこと高齢者向けの簡単設定にしてしまおうか――なんて考えながらSIDパッドのセッティングをしていてふと我に返る。
「……バカみたい」
私は何をしているんだろうか。
近くに居るだけで癪に障るようなこんなヤツのために何をこんな親切なことを!
「さっきよりマシでしょ。勝手に使いなさい」
セッティングの終わったSIDパッドを彼女へと返す。
まじまじと画面を見つめる彼女の表情がどこか柔らかい。
「ありがとう、セイジョーさん! ちょっとだけ分かりやすくなってる気がする」
「ちょっとじゃないわ。かなり使いやすくなってるはずよ」
まるで玩具を買ってもらった子どものようだ。
あれだけ猛獣に怯える小動物のように震えていたのが一転、今はぬくぬくと育ったペットの子犬。
全く迂闊にも程がある性格――本当に危険な子だ。
「そうだ、セイジョーさん。わたしと、その、二人組を組んでもらえないかな?」
「はぁ?」
ドヴォイツェを組め?
ちょっと親切にしてもらったからって何を勘違いしているのか。
私がこんなヤツとドヴォイツェを組むなんて――
「ありえない」
「でも、たぶん残ってるのわたし達だけだよ……」
「残ってる?」
「あ……ごめんなさい。セイジョーさん、わたしの所為でその、話を聞けなかったのかも……」
そう謝りながら言う彼女のどこか要領を得ない感じに私はイラ立ってしまう。
「手短に言いなさい」
「うん。クラリカ先生が二人組を作ってくださいって」
「そう言うことね……」
私は舌打ちしそうになるのを堪えて、周囲を見回した。
彼女の言う通り教室内にいる30人はそれぞれペアになっているよう。
となるとどう足掻いても――
「私とアナタで最後の1組って訳ね……」
「これで16組のドヴォイツェができましたね! それじゃあそのままグラウンドに出ましょう!」
「なにするのですかー?」
後ろからそんな問いが聞こえる。
尤もな質問ではあるが、ここが「機甲女学園」である限り答えはきっと一つだろう。
「はい! 今日はグラウンドで戦車レースをしてもらいます!」
「は?」
クラリカ先生に連れられて来た円形グラウンド。
グラウンドにはクラリカ先生が言う通り、チャリオットがズラリと並んでいた。
「どーして戦車なのでー?」
「スズメちゃん――ステラソフィアの先輩からどんな授業が楽しかったか聞いたんですけど、コレ良さそうだなって思って」
何が「コレが良さそう」なのか全く理解できない。
「仕方ないですよ……いまは戦車を選ぼ……っ」
彼女の正論がやたらと頭に来ながらも、私は言われた通りそこに並べられた戦車を見渡す。
戦車。
それは機甲装騎が主力兵器となる以前に使用されていた霊子駆動戦闘車だ。
当初は高機動、高火力ということで各国がそれを用いていたが、霊子機関との相性が悪く大型化が困難だった。
その結果、霊子機関と相性のよく重装甲高火力、さらに武器の持ち替えにより多彩な戦法を行える機甲装騎にニーズを奪われたらしい。
「身軽で足の速い軽戦車、丈夫で強い重戦車、あとはその中間の中戦車があるみたいです……」
種目は確か、レースと言ってた。
となると、普通に考えるなら身軽な軽戦車が無難ではあるが……。
グラウンド上に置かれた箱が気になる。
あれはもしかして……
「箱の中には武器が入ってます。その武器を使って妨害しあいながらゴールを目指しましょうだって」
それはクラリカ先生から渡されたルールブック。
様々な決まりのほか、箱の中に入っているアイテムの概要もいくつか書かれていた。
ハンマーや鎌のような搭乗者が自ら使う武器に、ロケット弾や誘導弾といった戦車砲に装填して使う武器、更にはバナナやトマトなどの食品から何に使えるのかわからないようなものまで……。
「ふざけてるわね……」
「面白そうですよ… …?」
つまり妨害アリのこのレース、やわな軽戦車では相手の攻撃で完走以前にリタイアという可能性もあるわけだ。
しかし、加速の悪そうな重戦車では単純にレースで負けてしまう可能性もある。
「なら中戦車にしますか?」
答えは――
「いいえ。私はこの重戦車にするわ」
マルクト神国製戦車KWSA。
重厚な装甲の割に整地であれば速度は良好。
この戦車ならトップスピードは並の中戦車とも並べるだろう。
「わぁ、すごいね!」
目を輝かせる彼女に私は言った。
いや、これだけはしっかりと教えこまないといけなかった。
「当然じゃない。我がセイジョー財閥の技術力は世界一よ」
そう断言し、私はお爺様の設計したその戦車に乗り込んだ。
「それではぁ、戦車レース――レディー、ゴー!!」
クラリカ先生の気の抜けた号令を元に、16輌の戦車が一気に駆ける。
私たちのKWSA戦車は私が操縦士、コスズメ・セッカが戦闘士という振り分けでスタート。
序盤は順当に軽戦車、中戦車、重戦車の車列が並んだ。
「わたし達、もしかして一番最後……?」
風を受け、黒髪をなびかせながら必死な声で彼女が言った。
彼女の言う通り私たちの順位は16位――最下位。
「まだ慌てる段階ではないわ。それにどうせ、最初のアイテムボックスで大半が脱落するもの」
「え?」
それから暫く――先頭車両がアイテムボックスに差し掛かりそれぞれが手近な箱を戦車に積み込み始める。
「アナタも! アイテムを取りなさい」
「は、はいっ!」
私たちが最初に手に入れたのは緑色のマークがされた砲弾。
「緑の弾は確か――ロケット弾、です」
「まっ、無難ね」
前方に直進するロケット弾――赤色の誘導弾ほどの使い勝手は無いがバナナみたいな無駄なものが入ってるのを見ると十分だ。
全戦車にアイテムが行き渡り、私の予測通り”それ”は起きた。
突如、最前列で爆発が巻き起こる。
「はじまったわ」
「……妨害が?」
「ええ」
アイテムボックスに入っている武器の多くは前面への攻撃用の武器ばかりだった。
そうなると、まず真っ先に被害にあうのは先頭を行く軽戦車集団。
背後についた中戦車からの砲撃は一溜まりも無く、その時点で多くの軽戦車がコースを外れ、走行不能へと陥る。
となると、次に被害に合うのは中戦車集団。
背後から迫る重戦車からの攻撃でダメージを負わされる。
「射撃準備なさい。射線はそのまま、私が狙いはつけるわ」
「ね、狙いをつけるって……」
本来は戦闘士が砲塔を動かし狙いをつける。
だが、こんな彼女に任せてはいられない。
砲塔を回さなくても車体を回せば狙いは十分につけられる。
KWSA戦車を操り、カーブを曲がりながら射線を目的の場所に合わせた。
「撃て!」
「は、はいっ!」
放たれた緑色の砲弾は先を行く1輌の中戦車を掠める。
「外した……?」
「まさか」
中戦車に弾かれ、角度を変えた砲弾が更に先にいる軽戦車を直撃。
弾が当たった軽戦車と、弾を掠めた中戦車の2輌がバランスを崩し速度を落とす。
その2輌に、後続の中、重戦車が突っ込んだ。
「大当たり」
「わぁ、すごいですセイジョーさん!」
「当然よ」
いくら重戦車と言え結局は搭乗員が剥き出しなチャリオット。
他の戦車がぶつかった衝撃に搭乗員が耐えられまい。
最初の洗礼を突破したのは7輌。
私の見立て通り半数はリタイアだ。
「軽戦車1輌、中戦車4輌、重戦車2輌……」
一気に2位まで順位を上げ、ある程度は目論見通り――なのだけど、懸念事項もあった。
「あの軽戦車、さっきからトップを走ってるわね。何者なの?」
それはレース開始時から先頭を行くマスティマ連邦製軽戦車サンカン。
そう、最初の激戦もものともせずに潜り抜けた今回の要注意ターゲット。
恐らくは相当の乗り手に違いない。
「あの戦車に乗ってるのは……チーム・シーサイドランデブーのランベール・クリスティーナさんとチーム・リリィワーズのハクツキ・ミツキさんですね」
「ハクツキ――装騎舞踊で有名な家ね」
「ランベールは?」
「知らない」
だが、知らないからと言って油断はできない。
なんだかんだで選りすぐりの騎使が集まったのが、このステラソフィアなのだから。
「加速も好調。そのままサンカンの横につくわよ」
横に並んだ私たちの重戦車を見て、相手の戦闘士が驚きを浮かべる。
「ほげげ、まずいよまずいよ! よりによって重戦車きちゃったよコレぇ! クリティナぁ」
「問題なし。インコースのディ・ユニヴァースは我らと共に……それこそオラクル」
「オフコース? アウトコースじゃなくて??」
…………なんだコイツらは。
この2人、相当キてる。
真面目な話、目を背けたくなるがそうもいかない。
目を背けられないというなら、
「叩き潰す!」
私はKWSA戦車を軽戦車サンカンに近づける。
「クリティナ、接触即お陀仏南無阿弥陀ぅ」
「フッ、プリンセシズ・オブ・ディ・ユニヴァースがダ・ワン。ランベール・クリスティーナのドライヴィング・テクニックこそ至上の域にて……畏れおののけ」
「わぁ、安心安全!」
重戦車と軽戦車の重量差は相手もよく弁えている。
そのため、なかなかこちらの体当たりに当たってはくれない。
「異界よりのインヴェーダーに備えよ」
「攻撃するからお覚悟ー!」
どうやら相手も反撃をするつもりのようだけど、その手に武器は見えない。
砲身も前方を向いており、側面への攻撃は不可能。
体当たりなど自滅行為なのは言わずもがな。
「フン、何をするというのかしら?」
そう挑発しながらも油断はしない。
それこそが私が女王であり続けるための秘訣だ。
とは言えまさか――
「くらえー!」
ハクツキ・ミツキがその手を大きく振りかぶる。
それは操縦士である私目掛けて投げられた。
私は身をそらし投げつけられたソレを回避する。
「セイジョーさん、だいじょうぶ、ですか?」
「ええ、今のは……」
蛸のように複数の脚を開きながら、私の側を過ぎ去った黄色い物体。
それが地面に落ち、後続の戦車に踏み潰される。
見間違いだろうか?
今投げられたのは――いや、まさか。
「バナナの皮、です!」
見間違いであってほしかった。
「ミツキよ、次なる刺客・オブ・ディ・ユニヴァースを放て。それこそオラクル」
「もっちもち!」
ランベール・クリスティーナの指示に従いハクツキ・ミツキがバナナの皮を投げつける準備――つまりは、バナナを剥いて食べ始める。
「ゲッ……あんなの絶対当たってやらないわ!!」
「たしかに……ちょっと嫌ですね」
「ちょっとじゃなくて、とっても嫌よ!」
そうこうしている間に、次のアイテムボックスが目に入った。
「アイテムボックス……できればあの前までに勝負をつけたかったけど……」
「で、ですけど、あそこにいけば武器が手に入り、ますよね」
「そうよ。それは相手も同じ」
「あ……」
「それも何が出るかわからない。そういう運要素はできるだけ排除したかったのよ」
「確かに、セイジョーさんの言う通りです。博打は、あまり……」
「ですけど、セイジョー家は王者の家系。いいわ、運も味方につけて見せる。気張りなさい、コスズメ・セッカ! ここが正念場よ!」
そう、セイジョーたるもの王者たれ。
私に負けは許されない。
それが例え、戦車を使ったお遊びのレースでも!
「アイテム、手に入れましたっ」
「武器ゲトー!」
コスズメ・セッカとハクツキ・ミツキがほぼ同時にアイテムボックスを手に入れる。
「セ、セイジョーさん……」
コスズメ・セッカが潤んだ目でこちらを見てくる。
「何が出たの?」
「ト……」
「ト?」
「トマト」
箱にぎっしりと詰められたのは真っ赤に熟したトマト。
トマト!?
そんなのバナナとどっこいどっこい。
こんな食べ物でこの状況をどう打開すればいいのか。
「こ、こんなのじゃどうにもならない……よね」
コスズメ・セッカが肩を落とす。
考えろ、考えろセイジョー・アマユキ。
セイジョーたるもの奇抜たれ。
一見何に使えるかわからないトマトだが、きっと一発逆転の用途があるはずだ。
それを見つけられてこそセイジョー家の長女、絶対女王となるべき者だ。
「そうよ。相手は――?」
軽戦車サンカンの戦闘士ハクツキ・ミツキの手に握られているのは斧槍。
近くにいる戦車に直接攻撃する為の近接武器だ。
今、私たちのKWSA戦車と軽戦車サンカンの距離は近く、十分に攻撃範囲内。
だからと言って、ここで距離を取るならばアウトコース側に寄らなければいけない。
今でもやっと追いついている状態だというのに、そんなことをすれば距離が開かれる。
「後ろの方も気になるわね……」
後続もアイテムボックスにさしかかり、それぞれが武器を手に入れ始める。
後ろからの妨害を気にしながら、なんとか軽戦車サンカンからトップを奪わなければならない。
不意に車体を揺らす衝撃。
「グッド。ディ・ユニヴァースも期待されてるぞ」
「あんまりうれしくないけどね!」
軽戦車サンカンからのハルバートを使った妨害攻撃だ。
左側面の装甲がハルバートによって傷つき、ひしゃげはじめた。
「セイジョーさん……」
「あぁもう、いちいち怯えない! この私がいるってのに何が不安なの!?」
セイジョーたるもの優雅たれ。
イラ立っても仕方ない。
打開策があるとすれば……。
私の目の前に最後のコーナーが映る。
あそこを抜ければゴールまで一直線。
つまり、ここで軽戦車サンカンを追い抜けなければ勝利は難しい。
「いいわ、トマトを投げなさい!」
そしてついに差し掛かった最終コーナー。
コスズメ・セッカが必死に軽戦車サンカンに向かってトマトを投げるのをよそに、私もトマトを数個手元に寄せ、そして機を待つ。
「いけっ!」
私は操縦レバーを動かし、車体をコントロール。
カーブに入る勢いと流れを利用し――KWSA戦車を滑らせた。
「まだ足りない!」
しかし、比較的重いKWSA戦車は上手く滑らない。
そこでトマトの出番だ。
トマトを地面に投げつけ、戦車を滑りやすくする。
「デンジャラスビースト……ユニヴァァァアアアス!」
ハルバートで攻撃するために距離を詰めてたということもあり、滑った車体の急な動きにランベール・クリスティーナは反応できなかった。
「これにてー」
2人の叫びを後に、KWSA戦車は軽戦車サンカンを弾き飛ばし、はるか後方に突き出す。
そこにはコーナーを曲がろうとしていた後続の姿。
「これが女王たるセイジョーの力よ」
軽戦車サンカンに巻き込まれる戦車達を背に私はKWSA戦車をゴールに向かって走らせた。
その結果は言うまでも無いだろう。
「1位はセイジョー・コスズメドヴォイツェです!」
賞品のマンゴープリンを受け取り、どこか満足顔のコスズメ・セッカ。
ったく……本当、極端なヤツだ。
「セイジョーさん、またドヴォイツェ組もうね!」
「お断り」
こんな授業、もう二度とないといいのだけど。