74:アリューケ→第二次開拓?
「エリクサー草だぁ。うふ、うふふふ」
お土産、ではないけど、エリクサー草をエリサに渡すと、彼女は興奮気味にそれを持って自宅へ引き籠ってしまった。スキルでポーションにしてくれるのだろう。
ちょっとマットサイエンティストみたいだけど、まぁ触れにでおこう。
『おかえりなさいなの』
『おかえりなさい』
「ただいま、ニーナ、ニルス」
教会ではニーナとニルスの二人が出迎えてくれた。こうしてみると、本当に兄妹のようだな。
『ニトくんが無事に目覚めてよかったです』
『ニトくん、よかったですの。ニーナ、ニトくんにもう会えないかと思ってたです』
「よかったな。友達がちゃんと生きてて。あ、でも会ったことはないんじゃ? だって町から離れられないんだろう?」
『ううん。会えるですの。んーっと、夢の中で?』
『僕らは精神で繋がっています。直接は会わなくても、お互いを感じることができるんですよ。あとはまぁ、魔導装置を介して、言葉も届けられますから』
そう言ってニトくんが地面を指さした。
それぞれの町は魔導装置のコードで繋がっている。それを介することで、土地神同士がコンタクトを取りあえるのだとか。
「へぇ。じゃあアソールと連絡したいときは、できるってこと?」
『はいなの』
『ただ魔導装置のエネルギー消費が激しいので、一日二、三分ほどしかこど場を届けられませんが』
時間制限の理由は、魔導装置が一日に消費するエネルギーの量が一定だからだ。
土地神同士のやりとりでエネルギーを使い過ぎると、浄化能力やモンスター撃退音が弱くなってしまう。そういうことらしい。
伝えたいことがあるときは、予めまとめた方がいいな。
「俺がいない間に、何か不便なこととかなかった? クラフトが必要なものとか」
そう尋ねると、二人は顔を見合わせた後ずいっと身を乗り出した。
『あるですの!』
『僕もお部屋が欲しいです!』
『アルトお兄ちゃんたちがいっぱい人を連れてきてくれるかもしれないですの!』
『きっと家が足りなくなると思います!』
「あ、あぁ。そうだな。じゃあまずはニルスの部屋をクラフトしようか」
そう話すと、ニルスの顔がぱぁっと明るくなった。
さて……どこに部屋を用意するかな。
この分だと、他の里から引っ越ししてくる土地神様も部屋が欲しいっていうだろうし。
『二段ベッドがいいですの』
『ロフトもいいですね!』
「え、同じ部屋でいいのかい?」
と聞くと、二人は顔を見合わせ、今度はうぅーんっと唸る。
「じゃあこうするのはどう? 今後、他の里から引っ越ししてくる土地神様のことも考えるなら、男の子部屋と女の子部屋に分けるといいんじゃないかしら」
『『そう!』』
なるほど。男の子と女の子で部屋を分けるのか。
それなら、礼拝堂の左右奥に部屋を用意しよう。
ニルスはロフトもいいって言ってるし、そうだな。壁を高くしてロフトも作ればいいか。
だけどそうなると、やっぱり教会そのものを大きくしたいな。
アリューケへと帰宅した夜、ニーナとニルスの三人で話し合い、出した答えが……。
「さぁ、やるか」
『『ごくり』』
「失敗したら笑ってくれ」
「わはは」
「アッパーおじさん、今じゃないから」
ったく。こっちはまぁまぁ真剣なんだからな。
教会を、完全に新築することにした。
礼拝堂のエリクサー草が生える場所は花壇のようにして、そこを中心に全体的に広げる感じだ。
ただし教会の裏手には井戸があるし、菜園もある。両隣には民家もあるから、実際はそこまで拡張することはできない。
ならどうするか。
狭い土地に人を有効活用するなら、上に伸ばせばいい!!!
つまり、二階建てだ!!
まぁ今でも十分、天井は高いんだけどね。
「万能クラフト」
今ある教会と、インベントリにある瓦礫を素材に、サイズを少し調整。
左右と奥行きもそれぞれ一メートルずつ広げてっと。
形は今のままでいい。入ってすぐの左右に部屋。ここでついに、俺とアルトの部屋を分ける!
そして礼拝堂は、一部をロフト仕様にしてそこを土地神様の部屋ゾーンにする。
天窓も設置して、昼間は灯り不要にしてみた。エリクサー草花壇に陽光が差すようにね。
「な、なんとか三回のリテイクで完成したな」
「おかしなもん建てても、やりなおしできるんだから便利だよなぁ」
「んっぺぇ」
「志導くんの部屋もロフトがあるのね」
「うん。一階はユタとユラの部屋にしようと思ってね」
「オイラノ部屋!?」
「あら、いいの? あなたの部屋、狭くなっちゃうのに」
いいさ。ベッドが置ければそれでいいんだし。
ニーナの部屋を二階に移したことで広くなった礼拝堂に、長テーブルと長椅子を設置。
いつかみんながそれぞれの家で食事をするようになれば、ここは椅子だけを置いて本来の使い方に。
「さ。次は住宅の増築だな。みんな、また手伝ってくれ」
「「おー!」」
瓦礫集め、草むしりをミッションにする。
畑の水やり、収穫、食事作りも全部ミッションだ。
アルパディカの子供たち、それからユタには言語ミッションも行った。
そうして一週間経つと、十世帯入居可能な二階建て集合住宅が四軒、先々、ドワーフの職人たちがこちらにも住むようになった時のことを考えて、店舗を六軒、あとは戸建て十軒のクラフトが完了した。




