43話 過去のクロスオーバー
ヌタバに入ると私は抹茶ラテを注文し、綾瀬さんはフラペチーノを注文した。
「さてと、ゆっくりしてくといいんだよね」
綾瀬さんは店の中でくつろいでいる、一応この人大人なんだよね……?
「今何歳なんです?」
「30代の人だけどなにか?」
「30代のおばはんが椅子でくつろいでいるってなるとちょっと引けます」
「そんなことを言うなよ」
綾瀬さんはむくっと起き上がったが、本当に情けない大人だなぁ。
「綾瀬さんの同級生はいるんですか?」
「いるさ、でもねぇ……今どこにいるかが分からないんだぁ」
「そうなんですね」
綾瀬さんはフラペチーノの容器を混ぜながら飲んでいた。
「同級生たちは面白い人だったんですか?」
「ああ、とても面白かったぞ、特殊部隊の妹だったりロザリオで悪霊に対抗できると思ってる奴もいたな」
「ロザリオって十字架ですよね」
「そうだ、キリスト教のカトリック教にとっては大事な物だ」
私は抹茶ラテを飲み干そうとしていたが綾瀬さんのフラペチーノはまだ半分残っていた。
「私は宗教云々で動いているわけではないからそんなことはどうでもいいんだ。だけどもしかなうんだったら……もう一度あいつらとバカをやっていたいよ」
綾瀬さんは空を見つめてフラペチーノを一飲みした。
「悲しいんです?」
「ああ、そうだ……」
綾瀬さんから哀愁が漂いだした時、私の後ろで声が聞こえ始めた。
「やっぱりこの町はいつものようにのんびりできる」
(この人……綾瀬さんと同じ年代っぽいなぁ)
私はその人に声をかけた。
「すいません、今の年齢ってお聞きしても?」
「ああ、……36だがどうした?」
「36歳ですね……」
「36……一緒だ……」
綾瀬さんが振り向くと見知った顔のようで顔をフニフニしだした。
「なんだよもう……綾瀬」
「まゆみ……一度会いたかったんだ」
私を差し置いて二人は涙を流していた。




