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分裂

*この小説はフィクションです。実在の事故・人物とは一切関係ありません。

 ある事故現場。それを目の当たりにした玲央(れお)は驚いた。現場は騒然としていた。

 軽自動車が数台とトラックに凹みの跡があり、中でぐったりとしている人がいた。よく見れば、モーターバイクが倒れ、傍らにヘルメットを被った人が血を流し倒れていた。現場は最悪だった。

 その場所の近くで玲央は唖然としていた。既に(すい)に連絡済みだが、どこかそわそわとしている。自分になにか出来ないかと色々と考えた挙句、出来ることはなかった。

 数秒して、玲央は咄嗟にグッと目に力を入れたかと思えば、顔を歪ませた。頭痛が襲ってきたのだ。病院の後だったおかげか、薬と飲料水が入った袋を手にしていた。必死に堪えて、薬を飲むことが出来た。即効性では無いため、暫く(たたず)んでいることにしたのだが、そうもいかない。現場に近づいて様子を見ようと試みる。すると、一人の男が近づいてきた。

「あなたも巻き込まれたんですか? 大丈夫ですか? 今、救急車を呼びます」

 しかし、玲央は男の腕を掴んだ。

「違う。ただの貧血だ」

「そうですか。危険ですから、近付かないで下さい」

 男と玲央は会話すると、男が玲央から離れていった。十分後、警報(サイレン)の音とともに何台もの救急車が現場に到着した。事態は収まるかと思いきや未だに終始がつかない状態だ。それ程までに被害は大きかった。

 玲央はその場から離れず、翠たちを待った。二次災害が起きないように十分に気を付けた。そんな時、不意に玲央の携帯が鳴った。玲央は迷うことなく電話に出た。

紫弦(しづる)か? お前、なんてことしてくれるんだよ! ふざけんな!」

『ハハハ。いつも通り、元気だな。やっぱり死んでなかったのか。まあ、そんな感情的になるな』

 いつもと変わらず、紫弦は冷静だ。いや、この男は楽しんでいる。最低な性格だが、今に始まったことではない。


「こんなに被害出しといて、よくいうよな!」

 玲央は紫弦の言葉を聞いて、更に怒りを表す。

『うるせえな。喚くな。いいか、よく聞け。タイムリミットは明日だ。それまでにある場所で事故が起こるように仕掛けた。メガネと止めてみせろ。さもなくば、大勢の人が死ぬぞ。お前らなら分かるはずだ。それじゃ、頑張れよ。ハハハハハハ』

 長々と言葉を発すると、紫弦は電話を切った。玲央は舌打ちをし、表情に悔しさを浮かべた。それから、二十分くらい経った頃、翠と(るい)が事故現場に到着した。

「レオ、大丈夫か?」

 翠が真っ先に問い掛ける。

「なにを心配してんだよ。俺は大丈夫だ」

 玲央は怪訝な表情を浮かべた。聞くまでもないだろ、と言いたげだが、留まった。

 翠は知っていた。たとえ、大丈夫じゃなかったとしても、無理することを。玲央は、誰かを助ける為なら自分を犠牲にする。そういう性格だ。誰に似たんだか、と翠は思った。おそらく、(あかね)か、怜太(りょうた)だろうである事は確かだった。


「それで、状況は?」

 考えるのを止め、我に返った翠は問いかけた。

「最悪だ。このままじゃ、多数の死者が出るかもしれねえ。そういや、奴から次の予告が来たぞ。明日までに次の事故が起こる。大勢の人がやばいかもしれねえ。くそ、こんな時にアカネが居れば……」

 悔しそうに呟く玲央。そんな姿を見て、翠はどことなく、難しい顔をする。一方で、涙は黙っていたが、口を開いた。

「あの二人を呼びませんか? 協力してもらったほうが次に起こる事が特定出来て、少しは被害を減らせるかもしれないんです」

 そう言って、翠と玲央を交互に見た。涙が言う二人とは(そう)柚葉(ゆずは)だ。未だに蒼と玲央は対立関係にある。だが、このままでは次を阻止することが難しいだろう。運が悪ければ、三人とも巻き込まれるかもしれない。そんな状況だ。対立していると分かっていて、涙は言った。

「は? なぜ、そうなるんだ? 協力は一切させるな」

 相変わらず、玲央は険しい表情でそう言った。

「なにを言ってる。協力してもらうしかないだろ。膨大な情報を知っている蒼兄さんなら、特定出来るかもしれない。それでも、協力させないというなら、俺が頼んでくる」

「勝手にしろ。巻き込まれても助けねえからな」

 いつかの翠と玲央のように対立する。先程、着いたばかりだったというのに、翠は言葉を残して、その場から遠ざかってしまった。再び、二人は分裂した。


 涙はその場に残った玲央を推し測り、玲央に声を掛けたが、振り向かない。

「玲央さん! このままだったら、阻止出来ませんよ。いいんですか!」

 強く大きな声が響き渡る。やっと、振り向いたが、鋭い視線を向けていた。

 玲央は鋭い視線を向けたまま、

「翠と同じで協力させたいなら俺と行動するな。俺は俺のやり方で阻止する」

 そう言って、現場に近付くように歩いていってしまった。


 独り、残された涙。呆然と立ち尽くした、のは一瞬で、即座に事故現場から立ち去った。私がなんとかしなきゃ、意味深な言葉を残して。

次話更新は3月1日(日)の予定です。


マイペースですが、よろしくお願いしますm(_ _)m

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