心配性
食堂で昼を取っている時、一条がカレーをすくいながら呆れ顔を理玖に向けた。
「もうそろそろ危ないと思うわ、雨宮のそれ」
「それってなに」
いちご牛乳のパックジュースを片手に、理玖は訝しげな顔をした。テーブルに投げ出した理玖の携帯が震え、目線だけやって確認だけする。
「弟の話をデレッデレの顔で言ってるおまえが怖い」
「ばか、凛が可愛すぎて死にそうだって話だろ」
「いやいやいや、ドヤ顔すんな。クソイケメンな顔でな、腹立つわ」
パイプ椅子に怠惰に座る理玖は、それだけで格好良い。少しだけ気崩した大きめの制服も、無造作なヘアスタイルも見惚れる要素にしかならなかった。
「おまえ、そのうち凛ちゃんに手ぇだしそう」
「変なこと言うな。凛はまだ中学生だ」
「そこじゃねえよ」
その間も理玖の携帯が時々震える。その度、理玖が画面を見る。メッセージが立ち並ぶ。一条からも見えるアイコンは、凛のものだった。
「それ、さっきから何の報告」
「凛の移動報告」
「こっわ…っ」
「不審者がな」
「おまえがだよ」
一条が大盛りのカレーを平らげても、向かいの理玖はまだいちご牛乳を飲んでいた。
「そういやさ、雨宮ってミカちゃんとどうなった? あの子、おまえと付き合ってるって触れ回ってるぞ」
「…は、なにそれ、最悪。それ全部誤情報って言っといて」
「了解、凛ちゃんっていう可愛い子と付き合ってるって言っとくわ」
「それは間違ってない」
理玖は涼しい顔をして、ジュースをやっと飲み干した。
携帯画面に次々くる報告に、弟くんはどんな顔して兄貴にメッセージ送ってるんだ、と一条は気になった。




