ちゅおじ、また
「ちょっと!……急に抱きついてどうしたの?『ルビー』?」
「……ごめん 急に『エメ』の事思い出して」
「そう……『何人目』の事かしらね…?」
「いじわる」
「そうね でも目の前のコイツらよりは遥かにマシよ」
二人の前には、まるでゾンビでも現れたかのような。罪の無い人達が襲われていく「惨劇」が繰り広げられていた。
「どうするの…これ」
「原因に訊くしかないでしょう?」
「『ちゅおじ』 原因って」
「殴りに行くのよ アンタの妹の『旦那』をね」
ルビーの「お血々ちゅっちゅおじさん」を掴む手が、強く握られた。
動かなくなったラリマーの父親。冷静に考えれば、僕の産みの親でもあるその人を…手にかけた。
「パパ……」
ラリマーは手を伸ばして、流れもしない涙を一滴だけこぼしながら泣いている。
「…あぁ……」
激しい後悔、もう戻れない覚悟。背負うのにはあまりにも重すぎる。
「ごめんラリマー……ごめん……!」
謝ったってラリマーは僕を見てくれない。視線の先には、父親である「琥珀」しか映っていない。
「…『パパ』」
一瞬だけラリマーがゆっくりとこちらを見てくれた。血の繋がりがない筈なのに、同じ様に「パパ」と呼んでいる事に驚いたのだろう。
でも、ラリマーにとってのコイツは「普通の父親」。僕にとってのコイツは「作った人」。同じ言葉なのに。愛情のこもり方がまるで違う。
「『モル』も……?」
「そう……だね…」
重く、時間だけが流れていく。誰か壊してくれ。僕は強く、「もう一度」助けを求めた。
ドンっ
あぁ……安心する。
僕は、「また」轢かれた。




