第三話
そして、なんと!
アリアたちはその日の内に全ての魔法道具の動作確認の作業を終えてしまった。それだけでなく、進みの遅い先輩たちの分まで手伝える程の余裕があったくらいだった。
「――正直、驚きました。前回の事を踏まえて余裕のあるスケジュールを組んでおりましたので」
既に会長たちから前回の話は聞いていたモノの、改めてこのクリスの一言を聞くと、よっぽど前回はギリギリだったという事がよく分かる。
「でも、大丈夫かしら? こんなに早く準備をして……期間が開くのはあまり良くないのかも……」
心配そうな声を上げたのは副会長だ。
確かに、早く終わったのは良い事だとは思う。しかし、副会長の言う通りあまり早めに準備をしても……とは思ってしまう。
「その辺りは大丈夫です。今回はコースの下見がメインでしたので」
そんな副会長に対し、クリスは穏やかな笑顔で答えた。
「あ、そうなの?」
「今回皆さんに確認をしてもらったのは前回から少し改良をした為で、ベースは同じなのである程度期間が開いても大丈夫なのです」
それは三年生であってもこの事は知らなかったのか、全員「へぇ」と声を漏らす。中でも副会長『ナタリア・ポートマン』は魔法道具に興味があるのか、興味津々な様子で話を聞いている。
「……」
そんな中、キュリオス王子の様子がどことなくおかしい事に気が付いた。
先ほどはみんなに混ざって「へぇ」という声を出していたが、それを差し引いても……口数がやたらと少ない様に感じる。
アリアのいない場ではどうかは知らないが、少なくともアリアといる時は……静かではない。だからと言って騒がしいワケでもないが……。
「?」
そんないつもとは違う王子に違和感を感じつつも、その時は特に何もしなかった……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「――と、時間ですね。では『実行委員』の仕事は以上ですので、後は当日までお待ち下さい」
そう言ってクリスはニッコリと笑って引き上げて行ってしまった……。
「……本当にこれだけだったんだ」
誰が言ったのかは分からない。
「――ふっ」
しかし、クリスが去って行くのを呆然と見ていたせいもあって流れていた静寂の中。その声はやけに響いて……これまた誰からでもなく皆で笑い合った。
「ははは! はぁ……じゃあ解散にしようか」
「ええ、そうね」
会長たちの言葉を受け、次々と「お疲れさまでした」と言って続々と帰って行く……。
「――アリア」
「?」
そんな中、王子はみんなと同じように帰ろうとするアリアを呼び止めた――。




