第一話
「確かにコレは……人手が必要そうだね」
「はい。ですが、飛行魔法は原則として使用禁止。動作確認という事ですので、一度は使わないといけないとは思います。しかし、あまりたくさんの方に参加されてしまうと……」
「――本末転倒ってワケだね。だから選ばれた人たちで行う必要がある……と」
「そういう事かと」
そして、儀式でありながら学年によって難易度が違う点については「魔法の熟練度を見るため」だからだそうだ。
コレは『魔法の全て』にかかれていた内容なのだが、仮に二年生の段階で課題をクリア出来なかった場合。その人はそれ以上の難易度の魔法を使う事が出来なくなるらしい。
要するに、新しい魔法を覚える事は出来ても、それはあくまでその二年生までの難易度のモノしか使えないという事だ。
そして、魔法省や図書司書など魔法に関する職業に就く際の原則として「魔法学校を卒業している事」と挙げられているのは、仕事で応用の魔法や知識をよく使うためである。
ただ、例外として「神」本人から魔力を譲り受けたアリアやゲームの主人公であるソフィリアはコレに該当しない。
キュリオス王子も試験ではアリア以上の成績を残しているが、それはあくまで「試験」での話であり「使える魔法の難易度」という点では当然アリアの方に軍配が上がるだろう。
ちなみに、クロースもアリアと比べてしてしまうと見劣りしてしまうが、それでも普通の生徒と比べると「膨大な魔力」を有している。
そこはさすが「公爵家の令嬢」と言えるだろう。
しかし、それもキュリオス王子と同様で「使える魔法の難易度」となると……まだ一年生の彼女では使える魔法も限られている。
「コレは一個一個が軽いので、一人五個は持てるはずです。ですので、先ほど彼女が言った通りまずは飛行魔法を使っての反応を見てください。使った場合はアラームが鳴るはずです」
「な、なるほど」
「そして、コース外……つまり結界の外に出た場合にも同様の音が鳴ります。ですので、その反応も合わせて確認をお願いします」
それにしても、コース外に出た時の事も想定して確認をするとなると……相当時間がかかりそうだ。
「ちなみに、今日で全て終わらせる事は出来ないと思いますので、その場合は明日もお願いする事になると思いますが……」
『え!?』
コレにはさすがに驚いた。
いや、当たり前の話だろうとは思っていたが、それでも目の前にある予備を含めた魔法道具の数をざっと見ても……とても今日中に終わりそうな数ではない。
「ですが、コレを終わらせたのですよね。彼らは……」
「!」
そんな何気ないアリアの一言に、キュリオス王子はピクッと反応した。
しかし、肝心の当日でアリアは事件に巻き込まれてしまったせいで使われる事はなかったが「当日を迎えられている」という事は……つまりはそういう事なのだろう。
そして「誰」とは言わなかったものの「彼ら」と聞いてすぐに思い浮かぶのは……やはり「次期生徒会のメンバー」だ。
「あー、まぁ。終わらせましたよ。終わらせはしましたが……」
『?』
なぜか歯切れの悪いクリスと現生徒会のメンバーに、王子とアリア。そして二年生の先輩たちの視線が向けられる。
「ほとんど私たちがした様なモノよね?」
「ずっとしゃべりながらやって……一度にどれだけかけていたんだろうな」
「効率良くやらないと終わらないっていうのによ」
その時位の様子を思い出しているのか、先輩たちの表情はかなり険しい。
「――」
もちろん、そんな風に思われる様な行動をした「彼ら」が当然悪いのだが、それでも自分の兄がした事である事には違いない。
そこでキュリオス王子は生徒会の方たちに謝罪をしようとアリアの前に出ると……。
「でも」
そんな王子を遮る様に一人の先輩が話を続ける。
「今回は有望な子たちが手伝ってくれるみたいだから、案外すぐに終わるかも知れないね」
そう言って私たちを見てニッコリと穏やかな笑みを向けた。
「はっ、はい!」
一瞬流れた不穏な空気を変えようと二年生の誰かが言った言葉をきっかけに、私たちは生徒会の先輩たちに「お願いします!」と言ったのだった。




