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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
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そろそろ本格的に行こうかな

祝!初イイネ!ありがとうございます!

とっても励みになります!

執筆が進む!

初イイネ!のおかげで、久しぶりに徹夜してしまいました。

徹夜なんか高校生以来ですね。

三連休も終わりですね。

これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。

今は六時頃かな?


うん、本日も晴天なり。

窓から入って来る太陽の暖かい日差しが部屋に入って来る。

快眠が出来た。

体の調子が良いのが分かる。


加護のおかげかもしれないね。


窓を開けて昇り掛かっている太陽に向かって


【『アリステリア』様、本日もよろしくお願いします。】


あの美しい女神様を思い出しながら祈る。

うん、これは習慣化しようかな。


今日も頑張るかと窓を閉める。


ふと、隣を見るとアリスが眠っていた。

眠ってはいるが寝相が酷い。

朝御飯までには、まだ時間があるので寝かせておこう。

寝相を整えてあげて毛布を掛けなおす。


うん、暖かそうだ。


確認し身支度を整えてそっと部屋を出る。

一階に降りると女給さんがモップらしきもので床掃除をしていた。


【おはようございます。】


声をかける。


「おはようございます。あのー、朝食はまだですよ?」


そう返事が返って来た。


【ああ、散歩をしに行くだけですよ。】


「成程~、お気をつけて下さいね。」


【はい、行って来ますね。】


扉を開け通りに出る。

うーんと背伸びをして、深呼吸する。


【うん、寒いけど空気が美味い。】


霜柱が立っていないから、そこまでの寒さではないのだろうか?

息を吐くと薄っすらとだが白い。

さてと、露店の立っていない通りを確認する為に散歩をしようか。

ここは北通りだから行った事の無い西通りに行ってみるかな。


……うん、昼間じゃなくて夜の街だったよ。


この時間に行くと逆に何も無かった。

遊びに行くなら夜だろう。

もちろん、皆には内緒だ。


一時間ぐらい経っただろうか?

宿屋に戻る。


挿絵(By みてみん)


扉を潜ると、ルイスとベスがテーブルに着いて話をしている。

朝御飯には早いけれども何の話かなと近づいて行く。


【二人共、おはよう。】


挨拶をすると二人共気付いたようだ。


「おはよう。」


そう言うと、ルイスが挨拶を返してくる。


「おはようございます……。」


続いて、ベスが小声で言ってくれる。

この二人が同室になったらしいね。

と、言う事は残りはリズとマオの元気コンビだ。


良い振り分けではないだろうか。

と、その元気コンビの姿がまだ見当たらない。

朝は弱いのかな?

考えているとルイスの言葉で現実に戻る。


「早いわね、外に行って何してたのよ?」


【散歩と街の確認だよ。】


「ふーん、観光地でもないのに。」


【初めての街だから見ている物が皆、珍しいんだよ。】


「初めての街って、どんだけ田舎に住んでたのよ?」


【遠くだよ……もう帰れない程の……。】


まさか異世界から転移して来たとは言えないしね。


「それでどうだったのよ?何か良い事はあったの?」


【イヤ、トクニハナイデスヨ。】


西通りに行ったのは内緒だ。

バレた後が怖い。


ルイスがやれやれという仕草をする。

「ポン」と手を叩くと言ってくれる。


「そう言えば、七時三十分から御飯ですって。」


【分かった、アリスを起こしてくるよ。】


「お願いするわね。」


ルイスはそう言うとベスとの話に戻ったみたいだ。


何を話しているのか気になったが、アリスを起こしに行くかな。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



ヘファさんが二階に上がって行くのを見届けると思っていた事をルイス姉に伝える。


「ルイス姉は……ヘファさんにきついと思う……。」


そう言ってルイス姉をジロリと睨む。


「え?そう?普通に接しているだけよ?」


そう言ってルイス姉は首を傾げた。


「……。」


私が言った事にルイス姉が驚いている。


「今のままじゃ駄目……今回は本当に良い人だと思う……こんな宿にも泊まれて……朝夕もちゃんと食べれるようになった……それに、昼御飯なんてとても考えられない……あの人は誠意を見せてくれる……だから少しで良いから……信じてあげて……。」


「そうね……。」


私はその言葉にルイス姉への思った事を口にした。


「ルイス姉は……ヘファイストスさんの優しさを……受け取るのを……遠慮しているような気がする……。」


ルイス姉の表情が一瞬だけど固まる。


「ベスにはそう見えちゃうかー。」


普段、あまり口に出さない私の言葉だったからだろうか。

ルイス姉の表情が変わった。


「ベス、貴女に言われるとはね。」


ルイス姉が驚く。


「貴女にそう見えてるっていう事は、相当きついんでしょうね。」


「うん……ルイス姉は今まで頑張って来たんだから……もう少しあの人……ヘファイストスさんを頼っても良いと思う……。」


普段滅多に意見を言わない私に言われてルイス姉の顔が俯く。


「困らせたのならゴメン……でも言っておかないと……後悔になるかもしれないから……。」


「良いのよ、ベス。ただね……これだけは理解して頂戴。一人でもそういう人がいないとダメなのよ。今までの事もあるしね。」


ルイス姉は目を瞑りながら言う。

その顔は、過去にあった事を思い出しているようだった。


「良い人なのは分かるのよ?でも、もう少し時間を頂戴。それに、会ってまだ一日しか経ってないのよ?」


「そうね……うん……分かった……。」


それを聞いた私は言い過ぎだったかなと思う。

これは私の意見であって強制ではない。

ルイス姉はそれに気付いたのだろう。


「私も……言い過ぎた……ごめんね、ルイス姉……。」


「いいのよ、ベス。でも貴女の言う事は心に刺さるわね。」


「ゴメン……。」


「いいのよ。」


ルイス姉の言葉がすぐに帰って来る。

それは柔らかな言葉だった。


「ベス、これだけは分かってちょうだい。一人でもこういう人がいないとね、心地良すぎて全部信じちゃうでしょう?」


「それはそう……。」


ルイス姉は私を見て微笑む。


「それにね、皆の事も信じているわ。特にベス、貴女の意見は私にはとても効くのよ?」


「それが私の役目だもの……もっと頼っても良いわよ……?」


「ふふっ、頼りにしているわ、ベアトリクス。」


私の視線が柔らかい物になったのを感じたのかルイス姉が安心したように更に言葉が柔らかくなった。


すると眠そうな声で挨拶が聞こえた。


「ふぁあ~、おはようー!」


「おはようございます!」


と、元気な声が聞こえて来た。

リズ姉さんとマオだ。


「「おはよう。」」


そう返事をしていると……ヘファさんにおんぶされて……アリスも降りて来た……。

良く見ると……ちゃんといつもの服を着ているようだ……。

ヘファさんが……やってくれたのだろう……。


【二人共、おはよう。】


「お兄さん、おはようございます!今日から仕事ね。見ててね、アタシ頑張るから!」


「おはようございます、ヘファさん!朝の御飯はなんですか?」


【二人とも、おはよう。リズ、頑張るのは良いけど皆の事も見てあげないと駄目だよ?】


「うん、分かったわ。任せて!」


【マオ、ごめんね。今日もお勧めにしようとは思うが、何を食べさせてくれるかは分からないな。】


「そうですか、では楽しみにしておきます!」


背中に背負っている、まだ半分寝ていそうなアリスを見て、ルイス姉がヘファさんに代わってアリスの面倒を見てくれる。


「ほら、アリス朝御飯よ?」


「御飯なのです?もう雑草は嫌なのです。」


クスッ……どうやら寝ぼけているみたい……。


「もう雑草じゃないのよ?ほら起きなさい。」


「ふぁ、おはようなのです。」


床に降ろされると……眠いのだろうが……立ち上がった……。

どうやら起きたみたいね……。


ルイス姉が言う。


「顔を洗っていない子は洗って来なさい、御飯はそれからよ?」


ルイス姉がそう言うと元気よく返事が返って来る。


「はーい!いってきます!」


「分かりました!」


「分かったのですー!」


三人がそれぞれ井戸へと移動する……。


ふふ、っと微笑んで私・・・ベアトリクスはその様子を見ていた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



皆が揃い、朝御飯を食べる。


今日はハムが厚めのハムエッグに黒パンと野菜スープだ。


【いただきます。】


「「「いただきます!」」」


そうして朝御飯が始まった。


「ゴリゴリなのです!」


「雑草よりは良いでしょう、アリス。」


「美味しいね、ルイスちゃん。」


「そうね、美味しいわね。」


「ゴリゴリッ、黒パンは歯ごたえがあって美味しいです!」


「リズ姉……スープに浸すと……柔らかくなりますよ……。」


「ベスは詳しいのね……うん、良いわね。気に入ったわ!」


早速、アリスとリズとマオがハムエッグをお代わりしている。

すると女将さんが俺に近づいて来て囁いて来る。


「小僧、十時から十一時までは部屋に掃除とベッドメイクが入る、変な物は置いておかないようにな。」


と、言われたのでそう言えばと思い出した。


【女将さん、気にかけてくれて、ありがとうございます。】


そう返答し食事の支払いをする。

手を振りながら女将さんが厨房の方へ去って行った。


食後、皆が出かける準備をしていると部屋にルイスがやってきた。

ちょうど良い、今日の確認をしよう。


俺は、今日からロングソードを作りにギルドへ行く事になっている。

ルイスも含め、他のメンバーは東門の辺りで秘薬の採取だ。

今日も一日掛かるかもと言っておく。

ルイスにお昼代を渡してから行こうとしたのだが彼女らの服装を見て思い出した。


……そうだった!


防寒着や普段着、寝間着ぐらいはそろえてあげないと不味いよね?

と、言う事でルイスにお昼代も含み銀貨を五十枚、袋に入れて渡しておいた。

貰いすぎだと言うルイスにニッコリと含みを持たせて言う。


【ルイスさんや……ちょっと良いかな?】


ゴゴゴゴゴゴ……


「な、何かあるの?」


【オッホン、いいかね、ルイスさん。皆の健康に気遣うのは当然だからね?もし風邪でもひかれたらどうするの?そっちの方が重要なんだからね?大体だね、君達はその恰好で寒くは無いのか?それに年頃の女の子なんだから異性からの目を気にしなさい。特にルイスさん、貴女は人目を引く容姿をしているんだからね?それに君が風邪をひいてしまったらどうするんですか?リズやベスに面倒を見させるのかな?そこのところはどう考えてるのかな?更に言うと、ただの風邪で亡くなっている人もいるんだよ?ただの風邪だからと言って舐めないで頂きたいですね。風邪は万病の元と言うようにだね・・・。】


「わ、分かったから、分かったから、そ、その辺にしてもらえると有難いわ……。」


【まだ言い足りませんが、よろしいですね?】


「は、はい。わ、分かったわ。先に服を買えばいいのね?」


【そうです。これは最優先事項です。】


「さいゆうせんじこうなのです!」


それを聞いたアリスが話に交じって来た。

偉いぞ、アリス。


「ヘファさん、「さいゆうせんじこう」ってなんなのです?」


「アリス、一番にやらないといけないっていう事なのよ。」


「そうなのですかー!」


この子の笑顔は癒されるね。

ついでに、服は予備も含めて良い物を買う事、必要な物は多少金がかかっても整えるようにと言っておいた。

迫力を込めてニッコリとしたのだが、迫力がすごかったのか従順なルイス。

ちょっと可哀そうだったかな?

でも必要最低限の事だからね。


よろしくね、ルイス。


幸いまだお金には余裕がある。

でも、無限ではないので早めに稼げるようにしないとね。

後はオークションの結果も気になるところだね。

・・・まだ時間が掛かるだろう。


ルイスには十時から御店が開くから、先に服を購入してから行くようにときつく言っておいた。


医療の発達していないこの世界で、皆に風邪でも引かれてはたまらないからね。

さてと、これで安心してギルドに行ける。

部屋からルイスと一緒に出ると、準備が整ったのか一階で他の子達が集まって話をしていた。


俺が先に出ようとすると五人が見送ってくれた。


「「「いってらっしゃーい!」」」


前世では死ぬまでお一人様だったからこんな事は無かったので、心に「ズン!」と響く。

俺、嬉しくて涙が出そうだよ・・・。

よし、皆の為に頑張ろう!


気を取り直して出発しようか!


【いってきます!】


そう言って、皆に手を振る。

ギルドまで二十分の道のりを今日は一人で歩く。

皆は角まで、俺の見えなくなるまで手を振っていてくれた。

午前中なので寒いけれど我慢出来ない事は無いし心はポカポカだ。


昨日と同じ道を行くと時間通りにギルドに到着した。


ちょうど、九時三十分頃だろうか?

扉を開けて中に入る。


今日も受付にいるナナリーさんに挨拶をする。


【おはようございます、ナナリーさん!】


「おはようございます、ヘファイストス様。今日からですね、頑張って下さいねー。」


返事が返ってきた。

誰かに応援されるという物はいいね。

自然と背筋が伸びるよ。


【鍛冶部屋を御借りしますね。】


「はい、準備は出来ておりますので左手からどうぞー。」


【では!】


「行ってらっしゃいませー。」


頭を下げられる。

つい、つられてこちらも下げる。

頭を下げるのは前世での習慣だね。


言われた通りに進むと案内板があった。

案内板に従い左手の部屋に向かう。

「一」と書いてある部屋に着いた。


部屋には扉は無いので「ムワッ」っとする室内の温度にサウナを思い出す。


部屋を見まわす、高炉と金床と水桶がある。

身体からブルブルと武者震いが出る。

そうだよな!

これが鍛冶師の戦場なんだよな!


良し、やって行くか。


実際にはやった事が無いので「スキル様」頼りだ。

バックパックから神匠のハンマーと試しに鋼のインゴットを五十個取り出す。

耐熱エプロンをし、耐熱の手袋をはめる。

最後に溶接面を被る。


これらはギルドの貸し出しの物だ。


よし、準備完了。

ちょうど十時を知らせる鐘がなる。


ゴーン……

   ゴーン……

      ゴーン……


時間だ……さあ、始めよう!

さて、まずは売れ筋というロングソードを作るか。

メニューからスキルを発動させる。

さすがにゲームとは違うな。


だけれど「スキルのアシスト」で何をすれば良いのか分かる。


前世で鉄が溶ける温度は1500℃ぐらいだとか聞いた覚えがある。

そんな温度をどうやって出しているのか……ゲームでは考えたこともなかったな。

左足を踏み込んでふいごから風を送り、鋼鉄のインゴットを溶かしていく。

しばらくすると赤く輝きながら形を変えていく。

これ、本当に1500℃近いのか?


ゲームでは素材を溶かして型に流すだけだったからな……熱さなんて感じたこともなかった。


こんな事ならやり方を「某動画サイト」で勉強しておくんだった。

まあ、後悔先に立たずなんだけどね。

この炉は魔道具になっていて、かなりの熱を出す事が出来る。

備え付けの型から「ロングソード」を選び溶けた鋼鉄を流しこむ。


冷えたら型から外し、バリを取る。


そしてハンマーの出番だ。

今回はアリステリア様に頂いた「神匠のハンマー」を使ってみる。



挿絵(By みてみん)



カギイィン!

    ガギイィン!


思っていたのと叩いた時の音が違うな?

加熱しながら形を整える。

スキルのおかげだろうか、次に打ち込む所が見える。

何度も繰り返し良い物を、使う人の事を思いハンマーを振るう。

それが終わると焼き入れをし、刀身に入念にヤスリ掛けする。


最後に砥石掛けだ。


チートがあるから良いけど、こんな事を普通にやってたら体がもたないぞ!?

世の鍛冶師の凄さを体感する。

仕上げに作製したつばを接着し持ち手に革を巻きグリップを作る。

最後に簡素だけれども木の板から鞘を作った。


これで一本完成。


鑑定をする。

スキルのおかげで狙って作った『ハイクオリティー』を作り上げる事が出来た。

チートのおかげなのだろう武器の『最大耐久値』が最大の『255』になっていた。

もっと上のランクも作れたのかもしれないが、昨日のポーションの騒ぎを思い出して加減しておいた。


【ハイクオリティーか……。】


俺の知っている武器のランクは「ロウクオリティー」、「ノーマルクオリティー」、「ハイクオリティー」、「アーティファクト」、「レジェンダリー」の五ランクだ。


まだハイクオリティーしか作っていないので、その上の性能や切れ味等は分からない。

始めたばかりだ、これから勉強すれば良いだろう。

しかし、スキルの力は偉大だね。

同じように繰り返して作成する。


一度作ると最適化されたように体が動く。


時間はまだあるので『大工スキル』で鞘に模様を入れたりして改良する。

更に、添え付けの染料タブで鞘に色を付けて飾り付けを豪華にしてみた。


【……これで一本。】


他の特性を高めたりするのはインゴットのランクによるのだろうか?

今日使ったのは鋼のインゴットだったしね。


ゲームでは九種類のインゴットがあったが、この世界ではどうなんだろうか?


【インゴットか……。】


今度、鉱山に採掘に行って調べてみよう。


十六時の鐘が鳴るまでに五本の鋼のロングソードが出来上がった。

出来上がった剣を鑑定をしてみたが、何本作っても最大耐久値が255だった。

鋼の最大値が255なのかハイクオリティーの最大値なのかは分からない。

俺の作る物はスキル様のおかげで耐久値がゲームの時の最大値である、255になっているようだ。


もっと質の高いインゴットで上のランクを打ったらどうなるのだろうか?

これも調べないとね。


さて、そろそろ時間だ片付けようか。


『スキルのアシスト』に慣れればもう少し速く数も作れるかもしれない。

売り物なので在庫はある程良いだろう。

ただ、気になったのはインゴットの事である。

他の鉱石の事も知らなければこれ以上の物は出来ないだろう。


【今は考える時ではない、続けるのみってか?】


そしてその日は五本のロングソードを作れるようになった。

片付けを終えて休んでいるとずんぐりしている人が部屋にやって来た。

ドワーフ?

とは違う感じがするね。


何か特殊な種族なのだろうか?


『やあ、アンタが新人の鍛冶師さんかい?』


【こんにちは、鍛冶師と言っても端くれですよ?ヘファイストスと申します。】


『調子はどうだい?……ヨッコイショ。』


そう言って、その人は俺の隣に座る。


【現状で良いと思える物が打てましたよ、ギルドさまさまですね。】


本当はチートスキルのおかげなのだけれどもね。

そう言うとその人は笑顔を見せる。


『見せてもらってもええかの?』


【ええ、どうぞ、まだまだ精進が必要ですがね。】


その人は俺の打ったロングソードを手に取ると鞘から抜きはなった。


シュランッ


目を細めてロングソードを見ている。


『ほぉ……鋼のインゴットなのにハイクオリティーを作るか、それにこれは……。』


その人は続けて他の剣を見て行く。


『――こ、これ程の物が存在できるのか?』


【何かありましたか?】


『お主、気付いておらんのか?ブレの全くない物なんぞを作りおって……。』


褒められているのかな……?

だとしたら嬉しいな。

それにしても見ただけで分かるとは鑑定持ちなのだろうか?

スキルを使っていたようには見えなかった。


【ありがとうございます。】


『……もっと良質なインゴットで打ってみたらどうかね?』


【どんな鉱石があるのですかね?】


分からないから素直に聞いてみよう。


『鉱石には銅、鉄、銀、金、鋼、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイト、と、言ったところかのぉ?』


ゲームとは違ってインゴット自体に名前が付いているのかな?

ゲームでは九種類のインゴットがあってそれぞれに色があり属性の耐性が決まっていた。


例えばブロンズインゴット。

このインゴットには炎の力が備わっているので、ブロンズインゴットで防具を作成すると炎の抵抗値が四十%アップする、こんな具合だった。


基本的には防具の性能、それも抵抗値に関わって来るものだった。


『合金で青銅、ダマスカス鋼もあるがの、後は伝説の金属じゃのぉ。』


【・・・伝説ですか?】


『「ヒヒイロカネ」や「アポイタカラ」なんぞは、この世には聖剣や魔剣と言われる形でしか見つかっておらんよ。』


【聖剣と魔剣……。】


やっぱりあるんだ。

ゲームのように聖剣も魔剣も作れたら良いよね。

聖剣と魔剣は素材が無いからまず無理だろうけれど。

この世界でも作れると良いな。


『そうじゃ。王都の宝物庫に魔剣が有るとの噂じゃがのぉ。』


【ほほー。】


一般の人には宝物庫なんか除く事は出来ないだろう。

この人・・・何者だ?


『まあ、地道に見つける事じゃの、お主の世界は広いのじゃからのぉ。』


【今度採掘をして、運が良ければ見つけてきますよ。】


『ふむ、このオーカムでは鋼以外の希少金属はとれないからのう。』


【そうなんですか?】


『鋼だけなら採掘量は、この大陸一じゃぞ?』


【ほほう、勉強になります。】


何か考えているようにその人は言う。


『ふむ、この剣じゃと小金貨三枚といった所かの?』


【え?】


『売るんじゃろう?』


その人は剣を鞘に納めてそう言う。


【ええ、売る為に作りました。】


その人は目を細めて俺に言って来る。


『選ばれた者よ……精進しなさい。』


そう言って去って行った。


不思議な雰囲気の人だったな。

誰だったんだろう……。

あっと、時間がヤバイんだった。


慌てても良い事はないので落ち着いて剣を籠にしまうと背負って鍛冶場を後にした。


受付に行く。


【ナナリーさん。】


「あ、ヘファイストス様。良い物は出来上がりましたかー?」


【ええ、現状で「良い」と言える物が出来ました。ありがとうございます。】


背負っている籠を指さして言う。


「それは良かったですねー。」


切れ味に興味があったので確認してみた所、試し斬りができると言うので部屋に案内してもらう。


・・・ああ、やっぱり巻き藁なんだ。


異世界に来ても巻き藁だよ。

懐かしい。

前世の某動画サイトで見た事があるから真似してみよう。

後ろで、ナナリーさんが見ているから張りきっちゃうよ?


剣を携たずさえ巻き藁の前に行く。

鞘から剣を抜く。


シュラッン……


集中、集中……。

世界から音が無くなる。


ッス……。


巻き藁が斜めに……。


ストン


と、斬れた巻き藁が落ちた。

良い斬れ味だね。

後ろにいるナナリーさんにガッツポーズをする。


あれ?


ナナリーさんがポカーンとしている。


【あのー、どうかしましたか?】


「ハッ!ヘファイストス様!今の斬れ味はなんですかー!?」


剣術スキルも1000だったので手加減して斬ってみたのだが、そんなに斬れているのかな?

経験が無いのでその辺りは分からない。


「あんなに斬れたのは見た事がありませんよー!?」


クールビューティーとはかけ離れた様子のナナリーさんが俺の襟元をもってガクガク揺らす。


【ちょ、ま、待ってそんなにするなら、危険ですので剣をしまわせて下さい!】


「ハッ、し、失礼しましたー。」


いえいえ、『ポヨンポヨン』が当たって気持ち良かったですよ。

ポヨンポヨンがっ!


【とは言っても、ハイクオリティーですよ?】


ナナリーさんが疑わしそうな目でこちらを見ている。

すると諦めたかのように「ハァ」と溜息をついて言う。


「ドワーフ製のハイクオリティーの鋼の剣より、斬れていると思いますよー?」


そう言われてもチートの事は言えないからなぁ。

と、思っていると変な目つきで俺を見て来る。


「まあ、ヘファイストス様ですしね、ショウガナイデスヨネー。」


【ええ、ソレナラ、ショウガナイデスヨネー。】


「おほほほ。」


【あははは。】


どうやらナナリーさんはそれ以上考えないようにしたらしい。

あの不思議な雰囲気の人が「小金貨三枚」と言っていた意味が今更ながら分かったよ。


剣をしまってナナリーさんとカウンターに戻る。


「ヘファイストス様といると、驚かされてばかりですー。」


と、言われて二人でカウンターに戻って来た。

歩いているうちに、いつものナナリーさんに戻ったようだ。


【そうだ、それで明日も予約したいんですが。】


「あ、ありがとうございますー!」


ナナリーさんが嬉しそうに台帳のページを見る。


「えっと……今日と同じ場所ですね。同じく十時から使えますよー!」


【では、予約をお願い致します。】


「はい、かしこまりました!では本日の室料ですね。大銅貨一枚になります。それと此方の書類にサインをお願いしますー。」


【分かりました。】


銀貨を渡し確認した後に書類にサインする。


「確かに、それでは明日もお待ちしておりますー。」


ナナリーさんが頭を下げる。


【はい、また明日。お疲れ様でした。】


こちらも頭を下げる。

そしてギルドを後にする。

スタミナがチートだからっていうのもあるよね。


あれだけ仕事をしたのに全然疲れてない。


【良い仕事してるよ……ありがとうございますね、『アリステリア』様。】


そう言って天を仰いだ。


空の色は、もう夜の装いを呈していた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

次の投稿は時間が空くかもしれませんがよろしくお願いいたします。

次話、感情の変化(仮 でお会いしましょう。

それではお疲れさまでした。

追伸、11月7日 イイネと評価ありがとうございます!

大変励みになります!

ありがとうございます。

これからも応援よろしくおねがいします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読み始めたばかりですが、面白いと感じています。 [気になる点] うーん、この作品の世界では鋼と玉鋼も元素として存在している設定なのでしょうか? 現実の地球では、鋼は「炭素を含んだ鉄の合金…
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