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ゲームで伝説の鍛冶師だった、元アラフォーおっさんの異世界転移奮闘記  作者: Maya
第一幕 第一章:そして始まる異世界生活
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商人達との舌戦

皆様、新しい物語が綴られました。

お楽しみ頂ければ幸いでございます。

それでは、お楽しみください。

もうすぐ十時。


今日は話し合いの日だ。

さて、どんな風に決着するのかな。

ナナリーさんは書記で参加するらしい。

てっきり議長をやってくれるのだと思っていた。


・・・まさかのまさか。

この馬鹿者オレが議長です。


でも信頼されるのは悪い気はしない。

問題なのは、俺のプレゼン能力だ。

前世では、役付きになってからはとんとやった事が無い。

ううん、まあ、何とかしてみようではないか。


ナナリー御姉様の信頼度を上げるチャンスなんだ。

・・・頑張ろう、俺。


少しずつだが人が集まりだした。


そして思ったよりも多い。

十七名も集まってくれた。

それだけに話の注目度が分かる。

さて、気合を入れよう。


俺の前には六尺のテーブルが一枚広げてある。

後ろには黒板があるよ。

懐かしいな、黒板。

チョークの匂いも久しぶりだな。


カチリ


  ゴーン・・・ゴーン・・・


十時の鐘が鳴る。

さて、時間だ始めよう!


【本日は集まって頂きありがとうございます!進行役を仰せつかりました、ヘファイストスと申します。】


「知らん名だな。」


「ナナリー殿の懇願に我らは集まったのだぞ?」


「兄ちゃんは何者だい?」


「俺んところで瓶を買ってたあんちゃんじゃねえか!」


【御静粛にお願いしますね。俺も露店を出そうと思っている者でして、皆さんには忙しい中ですが集まって頂き、ありがとうございます。】


「で、そのヘファイストスさんが何の用なんだ?」


「そうだ、俺達だって暇じゃないんだぞ?」


【はい、早速ですが議題をあげさせて頂きますね。今日は二つの事を議題に致しました。まず、一つ目になるのは、購入者達の事です。】


「購入者?冒険者達の事か?」


【左様でございます。】


「何が問題なのだ?」


【先日の朝、東通りに行きました。そこにはポーションの買い待ちをしている冒険者で溢れておりました。】


「「「・・・。」」」


【今のままの売り方には問題があります。それを御話したいと思い、無理を言って皆さんに集まって頂きました。】


「ヘファイストス君、問題とは何の事かね?」


【それは無秩序なのです。冒険者も、ポーションを売る商人達も・・・。】


「今更のように言うが、それで成り立っているではないか?」


【成り立っているように見えているだけです。これは俺達だけの問題ではありません。】


「「「・・・。」」」


【その沈黙は、問題なのは分っていると受け取らせていただきますよ?】


「ヘファイストスさんよ、分っているがどうにもならない事もあるぜ?」


【どうにもならないと言う事はありません。まずは冒険者達がいる事で道を塞ぎ、他の御店の利用客が目的の物を買えないと言う事です。】


「ヘファイストス君、それは我らではなく、購入する冒険者側の問題では無いのかね?」


【私はそうは思いません。秩序が無いからそうなっているのだと、そう思っております。】


「秩序……か、ではどうするのが良いのかな?」


「この場に来ているのだ、考えはあるのだろう?」


【案としてですが、まずは列を作り隣近所の露店の邪魔をしないように致します。】


「おいおい、あんちゃん。あの冒険者共が素直に列を作ってくれるとでも?」


【商人と冒険者、どちらが上か下かなどはありません。どちらとも同じ人間です。それはただ買う、売ると言う関係ではないのです。】


「ほう・・・それだけでは無いと?」


【はい、買う人も売る人も同じ人間なのです。】


「「「・・・。」」」


【人が集まれば、秩序が必要になります。今回の提案は列を作ってもらう事で他の露店やお客さんに迷惑をかけないようにする事です。】


「確かに、列が出来れば我々にも利点はあるな。」


「どう言う事ですか?」


【列を見れば買える買えないがおおよそ分かります。それを判断する事が出来ます。】


「成程な・・・では無視をして秩序が無くなってしまったらどうするのかね?」


【そこです、その人達には罰則をもってあたりましょう。】


「罰則ですと?」


【はい、前列で、もめれば最後尾に並んでいただく等です。】


「成程、それならば罰則を恐れて列を作ってくれそうじゃな。」


【罰則については皆で決めて行けばいいかと思います。】


「良い考えじゃ、わしはヘファイストス殿を支持するぞ。」


「俺もだ!」


「わしらもじゃ!」


【ただ、最初から出来る事ではありません。】


「そうじゃな、最初は人を付けるのもやむを得んか・・・。」


【先行投資と致しましょう。】


「そうじゃな、確立できれば横入りなどを警戒せずに済む。」


「列が出来れば秩序が生まれる……か。」


「最後尾はどうするんじゃ?」


【最後尾の係には案内板を持って頂きます。それと最前列ですが、しっかりと列が出来れば以外に並んでいただけますよ?】


「やれる事はやっておかねばな。兵士の目も厳しくなっておるし、他の露天商から抗議を受ける事も少なくなるじゃろうしな。」


【その通りです。それに買えると分かった人に関しては安心して頂けると思われます。】


「一店舗だけではないのだな・・・皆と協力すると言う事じゃな?」


【はい、整然と列の出来ている我らが国の、冒険者の姿を他国の人達に自慢出来ます。】


「それは嬉しい事だな、もっと集客が見込めるではないか!」


「そうだな、良い提案だ・・・わしも支持するぞ!」


「俺達もだ!」


ここに来てくれた人達は賛同してくれたようだ。

近いうちに行ってくれるであろう。

頼もしい賛同者達を得る事が出来た。


「この件に関しては、ギルドの職員も見回り番を作り、協力させて頂きたいと思いますー。」


「ギルドの協力も得られれば・・・。」


「頼もしいな。」


皆の目の色が変わった。

協力を得られたのだ。

後はやってみるしかないがちょっと明るくなって来たぞ。


皆で頑張ろうね。


【では、次の議題に行くまで少々休憩を取りましょう。】


「「「御疲れ様!」」」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



十分ほどの休憩をとると皆が部屋へと戻ってくれた。


さて、始めましょうか!


【二つ目の議題はポーションの事です。】


「朝早くから並んでも買えないと怒鳴られるんだよな。」


「ウチもだ、仕入れ先に問題があるんだ!」


「そうだ、安定供給が出来ねえんだ。」


「そうだ、そうだ!」


「お高くとまりやがってよぉ!」


「・・・ふう、こちらの苦労も考えてほしいですね。」


「アドルフさんよ、仕入れ元のアンタに言わせてくれよ。もっと上級ポーションを作ってくれねえかな?」


ほほー、このいかにも昭和の博士みたいな人が上級ポーションを作れる一人なのかな?

先程は賛同を頂けなかったんだよね……。

さて、どんな人だろうか?


「秘薬代が高くなったから値上げをしたいと言ったら、商業ギルドに却下されたんだぞ?」


【よろしいですか?私もポーションを作っている立場の者です。】


「「「なんだって!?」」」


【証拠を見せましょう。】


そう言って通常品質の下級、中級、上級ポーションを取り出す。

昨日作っておいた三段階の品質のポーション達だ。


【左から、下級、中級、上級の通常品質のポーションです。】


「そんなに簡単に上級ポーションが作れる物かよ!」


「鑑定すれば一発で分かるんだぞ!」


「そうだ、鑑定させろ!」


【でしたら、アドルフさんにお願いしましょうか。上級ポーションには手慣れていらっしゃるようですからね。】


「アドルフさんならば大丈夫でしょう。」


「そうだ、ウチも納品させてもらっているからな。」


「俺んところもだ!」


「頼むぜ、アドルフさん!」


「わ、わしでは力不足だ。」


「そんな事を言わずにさ、頼むよ。」


「そうだ、上級ポーションの鑑定なんてアンタにしか出来ないだろう?」


「アドルフさん頼むよ。」


「し、仕方がないな、任されよう。」


【では、前に出て来て下さいますか?】


「良かろう。」


皆が見つめる中、前に出て来てくれた。


【それでは、お願いいたします。】


左側のポーションを手に取ったようだ。

あれ?

それって下級じゃ・・・。

説明したよね?


「鑑定。」


・・・あれ?

・・・。

青く光らない。

鑑定できていないな。


「うむ、間違いなく上級ポーションだ。」


え!?


【アドルフさん、鑑定はかかっておりませんよ?】


「今かけたであろうが!」


【アドルフさん・・・嘘はいけません。そんな事では恥をかくどころではありませんよ?】


「っく、小僧ごときが何を!」


【アドルフさんは上級ポーションを作れるのですよね?】


「も、もちろんだ!疑っているのか!?」


【疑うも何も、何故にそのポーションが鑑定出来ないのですか?】


「鑑定したであろうが!」


【いえ、されておりません。しかも今のポーションは左に置いてあった《《通常品質》》の《《下級ポーション》》ですよ?】


「「「!?」」」


「ま、まてまて、上級ポーションの製作者のアドルフさんが下級ポーションを鑑定出来ないのはどう言う事だ?」


「そうだ!何故できないんだ!?」


「アドルフさん?」


「ええい、その小僧の持って来たものが偽物なんだろうよ!」


「そ、そうなのか!」


「まあまあ、お待ちくださいー。」


「「「ナナリー殿?」」」


「こんな事があると思いまして、『鑑定眼』の魔道具を持って来てあります。こちらを使ってみましょうー。」


「そ、そんな事をしなくても、その小僧が疑わしいではないか!」


【互いの疑いを晴らすために、鑑定して頂きましょう。】


「そんな必要はない!」


【何故でしょうか?】


「鑑定はかかっている!」


【アドルフさん、嘘はいけませんよ。】


「・・・。」


【よろしいですね?では、ナナリーさん。鑑定をお願い致します。】


「はい、ヘファイストス様ー。」


【皆さんも、鑑定が出来ないのは商売人として失格ですよ?】


「それを言われると痛いですな。」


ナナリーさんはポーションを受け取ると鑑定眼の魔道具の上に置いた。

この魔道具は例のギルドカードを作る時に使用したものだ。

魔法陣が上がって行って・・・下がってきてー・・・。

鑑定が出来たのだろう。


ナナリーさんが結果を伝える。


「こちらは間違いなく「通常品質の下級ポーション」です。皆様も神の目には嘘が無い事がお分かりになりますよねー?」


「ば、馬鹿な!?」


【いかがなさいましたか、アドルフさん?】


「・・・。」


【皆さん、上級以上のポーションやハイクオリティー以上の武器防具には鑑定書がつく事を忘れておいでではないですよね?】


「そ、それは、もちろん知っておるとも!」


【でしたら、何故に上級ポーションを作れると言うアドルフさんは下級ポーションの鑑定が出来なかったのでしょうか?】


「偽物など鑑定できるかっ!?」


「アドルフ様、鑑定眼の、「神の目」をお疑いになるのですかー?」


「そ、そのような事は……。」


「ナナリー嬢、待ってくれるかな?アドルフさん、鑑定が出来ないのに上級ポーションだと言って俺達に売らせていたのか?」


「そ、そんなことはない!」


「しかし、現に出来なかったではないか!」


「まてまて、鑑定出来なかった物を上級ポーションとして売っていたなどと知れたら・・・。」


「そうだ!冒険者達が暴動を起こすぞ!」


「上級ポーションだと言う事で安心して買って行ってくれている冒険者達に何と言えばいいのだ!?」


「同じくポーションを作成している他の二人はどうなのだ?」


「まさか、他の二人も鑑定出来ぬなどと言う事はあるまいな?」


「・・・。」


ガタッ!


【逃がしませんよ?】


俺はそう言うと逃げようとした、アドルフさんを制圧する。


【ナナリーさん、兵士を呼んで下さい。】


「かしこまりましたー。」


「アドルフさん、責任は取ってくれるのだろうな?」


「こ、こんな・・・馬鹿な・・・馬鹿な事はあり得ん。」


【他の二名にも事情を聞く事が必要ですね。】


手足を縛りつけて口には猿轡さるぐつわをする。

疑わしかったので来ないと思っていた三人のポーション作成者。

一人でも良いか、後は伯爵さんやギルドの上層部のするべき事だ。

俺達の協力はここまでだ。


兵士が四人来てナナリーさんから事情を聞いている。


物を作り売る。

その事を、商人として冒険者を、皆を消費者だけではなく販売者をも裏切った。

詐欺をやっていたんだからね。

先程も言ったが後の事は伯爵様やギルドの上層部のやるべき事だ。


残念ながら、俺にはどうする事も出来ない。

兵士達に連れて行かれるアドルフさんのようにならなければ良い。


【では、引き続き話し合いを致しましょう。】


「待ってくれ、ヘファイストス殿。我々はもう上級ポーションを鑑定してもらう事も、それを確認する事も出来ない。」


「そうだ、しばらくはこの街からポーションの露店は消えるぞ?」


【それは他の二名の状態にもよりますね。騙されていたのか、知ってて売り物にしたのか。】


「知っているはずはない!」


「そうだ、我らはアドルフに騙されていたんだ!」


「そ、そうだ、そうだ!」


【ですが、貴方がたにも責任はありますよ?】


「「「・・・。」」」


【言わせて頂きますが、商品を仕入れる事が出来たと言う安心感から鑑定での「確認」を怠ったのです。これは、商人として失格です。】


「「「・・・。」」」


「少し聞かせてくれるかな、ヘファイストスさん。」


【どうぞ、答えられる事ならですが。】


「君はどう見ておるのかね?この場にいない他の二人の事を?」


【俺としては、この場にいない事が答えになっているのではないかと思っております。】


「・・・成程な、分かった。我らは今後、三名からのポーションを購入しない事に致そう。」


「信用が出来んから仕方の無い事であろう。」


【ですが、商売が出来なくなりませんか?】


「それは商人としての我々を甘く見ていないかな?」


【失礼を致しました。それは俺の驕りでしたね。】


「分ってくれたのならば良い。ナナリー君、君にも手間をかけたね。」


「いえ、皆様の為になるのならば、この程度の事はー。」


「ヘファイストスさんよ、聞きたいんだが良いか?」


【構いませんよ。何でしょうか?】


「君はポーションを仕入れる事が、いや、作る事が出来るのではないか?」


【はい、出来ます。】


「それはどうやって?」


【俺の協力者達が秘薬を集めてくれておりまして、その秘薬から俺が作成しております。】


「な、なんと・・・では鑑定も?」


【はい、正確な鑑定をし、その鑑定書も付ける事が出来ます。】


「「「な、なんと・・・!?」」」


「それは我々にも分けてもらえるほど数は無いのであろうか?」


【すみませんが、上級ポーションは少数です。】


「そうか、上級ポーションの事は、しばらくの間は君に任せよう。」


【了解いたしました。】


「それとな、ヘファイストス君。」


【何でしょうか?】


「安定して作れるようならば、その時は我らにも納品してもらえるかね?」


【それは構いませんが、条件が一つあります。】


「どんな事かな?」


【消費する材料をもってきて頂ければ、明日にでもお作りする事は可能です。】


「なるほど、それは確約しよう。」


「ありがたい事だ。」


高品質の上級回復ポーションには材料となる秘薬やくようにんじんが七個とポーション用の空き瓶一つが必要だ。

それを集められるなら俺が作るのも吝かではない。

その事を伝えると皆は納得してくれた。


「仕方が無いがしばらくは魔法ギルドに頼る事になりそうだな。」


俺としてはルイス達の仕事に影響が無ければ何も問題はない。


【受け渡しについては、商業ギルドでの依頼と言う形でお願いをしたいのですが、ナナリーさん大丈夫ですか?】


「ギルドにも卸して頂けると、ありがたいのですがー?」


【材料があれば大丈夫ですよ。それと皆さんにお願いがあります。】


「何かな?」


【ポーションの値段を動かさないで頂きたい。これは冒険者の為にも必須だと思っております。】


「分かった、値段はこれまでの通りにしよう。いいかな、諸君?」


「構わない、素材の値段が値上がらなければ我らに文句はない。」


「儲けが減らなければ良い。」


「その通りだ!」


【それではポーションの事はギルドに依頼してください。もちろんですが、材料があればギルドにも卸させて頂きます。】


「ヘファイストス様、ありがとうございますー!」


【ではこれでよろしいでしょうか?】


「構わん。」


「頼みますよ、ヘファイストス君。」


【はい、それと今後もこのように話し合いをしませんか?】


「それはこちらからもお願いしたい事だ。なあ、皆!」


「我らからも頼むぞ、ヘファイストス殿。」


「うむ、折角交流できるのだ。意見や情報の交換は今後ともお願いしたい。」


【では、ナナリーさん、商業ギルドに開催の連絡をして頂くようにお願い出来ますか?】


「構いません、こちらこそお願い致しますー。」


【では、今回の話はこれで終了とさせていただきます!】


「「「御疲れ様でした!!!」」」


そう言うと皆さんが席を立つ。

帰りがけに俺の所へと寄って一言声を掛けてくれる。


「ヘファイストス殿、これからもよろしくお願い致すぞ。」


【こちらこそ、お願い致しますね。】


ガッチリと握手する。

十人以上と握手をしたのだが名刺のようなものが無い為、顔と名前の一致しない人が・・・。

頑張るしかないか。


ナナリーさんにも苦労をかける。

でもこれで一段落着いたよね?

その人物に目を向ける。

目が合うと微笑んでくれた。


・・・この笑顔は俺だけの物だ。

ちょっと傲慢になってしまったかな。


こうして一回目の相談は終わったのである。

続きの最終話です。

読んでくれてありがとうございました。

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