そろそろ準備はOK?
執筆終わりました。
おっさんの日常をお楽しみください。
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これからもよろしくお願いします。
それから五日が経った。
問題と言う問題は無くそれなりに忙しい日々を過ごした。
その間にもルイス達は門を替えて秘薬の採取をしてくれていたので、十分な数をポーションに出来た。
ロングソードも今日は八本まで作れる様になってそれなりに本数が揃ってきた。
それこそ『ゲーム』では一日500本とか普通に作っていたが、流石に現実ではそうはいかない様だ。
けど、そろそろ露店を開いても良い時期かもね。
片付けを済ませ、鍛冶場を後にする。
ロビーに向かいナナリーさんを探す。
お、いたいた。
カウンター越しに見つけたので声を掛ける。
【ナナリーさん、今よろしいですか?】
「あ、ヘファイストス様、お疲れ様でしたー。」
【ナナリーさんこそ、お疲れ様です。俺の為にいつも残業をさせてしまって申し訳ない。】
頭を下げる。
「いえいえ、お気になさらないで下さいー。」
ニッコリと微笑んでくれる。
ナナリーさんに感謝しながら目の保養の為にチラリと二つの御山を覗き見る。
うん!
良いね!
今日もカウンターの上に乗っている二つの御山を見ながら室料を支払う。
【実は、今日は相談に乗ってほしい事がありまして。】
そう言うと、ナナリーさんはキリッとした仕事顔になって眼鏡をクイっと上げる。
「どの様なご用件でしょうかー?」
【そろそろ露店を出したいのですが、予約と場所はどうでしょうか?】
「ふむふむ、少々お待ち下さいねー。」
ナナリーさんはそう言うと街の地図を広げる。
「明日でよろしいでしょうか?それと売り物は何でしょうかー?」
【作っていたロングソードと高品質の上級ポーション等です。】
「高品質の上級ポーションですかー!?」
ナナリーさんが驚いている。
【何かありましたか?】
「ギルドからのお願いなのですが、高品質の上級ポーションは数が少ないのでギルドにも卸しては頂けませんかー?」
【残念ながら今回は店員を雇ってしまっていて、その子達の給金になるんですよ。】
「あら~、残念です。ポーションはヘファイストス様がお作りになったんですかー?」
【ええ、作りました。】
チートで、ですけどね。
「ヘファイストス様は多才ですね。錬金の才能もお持ちなのですねー。」
と、彼女は言っている。
ナナリーさんに言われるとなんか照れるな。
精神年齢は俺の方が上・・・だろうが、お姉さんに言われて喜んでいる弟のような気分だ。
何といえば良いのだろうか?
上手く表現出来ない。
そんな気恥ずかしく、喜ばしい思いだ。
「次はギルドにも卸して下さいねー?」
人差し指を立てたナナリーさんは、カウンター越しにずいっと迫ってくる。
おお、すごい迫力だ!
たわわな果実が!
たわわに実った二つの果実を見ながら【はい。】と返事をしてしまった。
だが良い物を見た。
眼福、眼福。
ナナリーさんが元に戻って続ける。
「あっと、では露店ですねー。」
【ええ、お願いします。】
もうちょっと見ていたかったが仕方ない。
「ポーションですと東通り等がよろしいかと思いますが、地図だとこの辺りになりますねー。」
露店の設営はギルドでやってくれるそうだしね。
【ふむふむ、ロングソードだと何処が良いでしょうか?】
ナナリーさんが地図の南の通りを指さす。
「武器関連ですと、南通りの露店がよろしいと思いますよー?」
ほう、南通りは武具の販売が多いのかな?
「南通りは門の外にある「オールド・オーカム」と近いので比較的冒険者の往来が盛んでございますねー。」
ああ、ゲーム時代にあったな「滅びの都」。
街の名前こそ違うけど「ゾンビ」とか「スケルトン」が出てくる所だ。
ゲームだと初期のスキル上げと金稼ぎの場所だね。
おっと話が脱線したな。
地図を見直す。
うーん、冒険者の往来が盛んならどちらの商品も売れそうだな。
【ふむ、では南通りでお願いします。】
「かしこまりましたー。」
そう言うと笑顔で書類を作っているようだ。
「では、こちらの書類にサインをお願いしますねー。」
【はい。】
「貸出料は大銅貨一枚ですー。」
確認をしてからサインをし料金を支払う。
「これで明日一日ですが十時から十五時までの間お店を出せますよ。この証書をお持ち下さいね。証明になりますのでー。」
【はい、ありがとうございます。】
一応聞いてみる。
【商売のパートナーがいるのですが、その人物が代わりに露店を開いていても、証書があれば問題は無いでしょうか?】
「その場合は、その人の名前を書き足す必要がありますので御名前を伺ってもよろしいでしょうかー?」
【はい『ルイス』と言います。】
ナナリーさんが書類に書き足す。
「ルイスさんですね・・・お伺いしたいのですが、パートナーは女性の方ですかー?」
【そうですが何か?】
「女性一人だと大変ですよー?」
【ああ、大丈夫ですよ。他にも店員がいますので。】
ナナリーさんは「成程ー。」と言っている。
【後は、荷車をお借り出来ないでしょうか?】
「ええ、借し出せますよ。入り口に運ぶように言っておきますね。貸出料は銅貨二枚ですー。」
【お願いします。そのようにして頂けますか?】
「それと、貸出なので露店が終わったら返しに来て下さいねー。」
そう言われて証書と地図を受け取り荷車の料金を支払う。
さてと、頼み忘れは無いよね?
これで、お仕事終わりかな?
「明日は露店ですね。頑張って下さいねー。」
【ああー、俺は別件で、出かける用事がありまして・・・。】
「お出かけですかー?」
【鋼のインゴットが少なくなってきたので採掘に行こうかと思いまして。】
「成程、ですが南西の鉱山の町ですか・・・途中にオーガが出るとの目撃情報がありますので気を付けて行ってらして下さいねー。」
【了解です。】
心配そうなお姉さんに言い聞かせるように言う。
【何、三~四日の事ですし、無理はしないですよ。】
そう言ってから、別れの挨拶をする。
【ナナリーさん、それではまた今度!】
「はい、お疲れ様です。お気を付けて行ってらして下さいねー!」
ギルドの時計を見ると現在の時刻は十八時十三分。
扉を開けギルドを出る。
二~三分程待つと、係の人が荷車を引いてきた。
受け取って【ありがとうございます。】と言っておく。
「ふう、この時間だともうお日様が出てないから寒いね。」
と、言いながら宿屋への帰路へ就く。
皆、お腹空いてるだろうなと思いながら急ぎ足で帰る。
宿に着き、荷車を厩舎の方の荷車置き場に置く。
他には利用者がいないようだ。
後は、明日の朝に荷物を積んでおけば大丈夫だろう。
入り口に戻り扉を開け中に入る。
いつもの晩御飯時のガヤガヤという喧騒が聞こえて来た。
「ヘファさんお帰りなのです!」
「お兄さんお帰りー!」
「お帰りなさい!」
声のした「いつもの」テーブルの方を見るとあれ?
姿が見えない。
と、思っていたら「ドーン」と三個の塊が襲ってきた。
【ああ、ただいま。皆は疲れていないかい?】
飛び付いて来た塊の方を見ながら言う。
「大丈夫なのですー!」
「元気、元気!まだ余裕ね!」
「まだ元気ですよ!」
アリス、リズ、マオが言う。
皆でテーブルに向かって行く。
「お疲れ様、お帰りなさい。」
「お疲れ様です・・・お帰りなさい・・・。」
ルイスとベスが労ってくれる。
【お待たせ。お腹空いただろう?】
「ルイスちゃんが我慢するのもお仕事なのですって言ってたのです!」
【そっかそっかー。】
指をくわえているアリスの頭をグリグリと撫でる。
「お兄さん、私も私もー!」
同じくリズの頭もグリグリと撫でてやる。
「ヘファさん私も!」
さらにマオの頭もグリグリ撫でる。
【荷物を置いて来るからもう少しだけ待っててね。】
「はいなのです!」
「分かったわ!」
「分かりました!」
三人がそれぞれ返事をして席に戻る。
急いで部屋に荷物を置きに行く。
戻ってくる頃にはルイスが注文をしてくれたのだろう。
料理が運ばれて来た。
きっといつものオススメだろう。
【さあ、食べようか。いただきます!】
「「「いただきます!」」」
今日のメニューは鶏肉とブロッコリーのシチューと黒パンとサラダだ。
女将さんが気遣ってくれる。
「良く暖まんな。」
そう言って女将さんが背中を「バシッ」と叩いていく。
「あっとそうだ、小僧。そろそろ宿泊を延長するか決めておきなよ!」
食事の料金を支払う。
【ありがとうございます、後で改めて伺いますね。】
と、言うと「ニカッ」っと笑いながら厨房に戻って行った。
ああ、もうそんな時期かと思う。
宿は延長するとして、等と考えながら食べているとアリスのハムスター顔が目に映る。
うん、変わらないねと微笑みながら他の子の様子を見る。
リズとマオはシチューの大食い競争を始めている。
恒例になったのか周りの人達から応援の声?が上がる。
「今日こそ、リズちゃんに銅貨五枚だ!」
「いやいや、今日もマオちゃんだろう!」
「リズちゃん!昨日の負けを取り戻すんだ!」
「マオちゃん!今日も勝つんだ!」
「「ぐぬぬぬ。」」
とリズとマオが張り合って食べている。
周りを見ると応援?している人達が二十人程いる。
・・・これ賭けになってるよね?
出来ればゆっくり食べさせてあげたいんだけどな。
ルイスの方を見ると「やれやれ」といった感じで二人を見ている。
「喉に詰まらせないようにしなさいね?」
ルイスが怒っていない様なのでまあ・・・良いのだろう。
ふと、ベスの方を見る。
「今日のオッズはリズ1.6のマオ1.4です・・・。」
とか言っている。
ベスが胴元かよ!
「ベスちゃん、リズちゃんに銅貨五枚ね!」
「何の!俺はマオちゃんに五枚だ!!」
ベスは俺の視線を感じたのだろうか、視線が合うと「ニヤリッ」と笑ってくる。
ちゃっかりしてんなと苦笑いをする。
まあ、騒がしいのは気づいていたんだけど、まさかリズとマオの二人が賭けの対象になっているとは思わなかった。
俺が食べ終わると二人の勝負も決着したらしい。
喜んでいる人もいれば「明日こそは・・・」と膝をついている人もいた。
どうやらリズが三杯、マオが四杯でマオの勝ちらしい。
マオが椅子の上に立って応援をしてくれた人達に「応援ありがとう!」と、お辞儀している。
ルイスに「椅子の上に立たない!」と言われて拳骨を貰っていた。
リズは「もう食べられない・・・。」とお腹をさすっている。
チラッとアリスの方を見ると食べ終わったのか、口の周りがシチューだらけだったので拭いてあげる。
大食い競争が終わってギャラリーが去って行くと締めの挨拶だ。
「「「ごちそうさまでした!」」」
楽しい食事が終わりとなる。
ルイスに言っておく事があるので引き留める。
【ルイス、この後だけど、少し良いかな?】
「ええ、良いわよ。後で部屋に行くわね。」
と、短く話をすると各々部屋へと戻って行く。
女将さんに二十日延長と伝えると喜んでくれた。
ついでにお湯も頼んでおく。
料金を支払いアリスと一緒に部屋に戻る。
アリスが手を繋いできた。
「今日も美味しかったのです!」
と、アリスはいつも通りニコニコしていた。
【そうだね、美味しかったね。】
そう答えて部屋に入る。
十五分ぐらいするとお湯が来たのでアリスが準備をする。
「行ってくるのです!」
そう言って着替えを持ってルイスの部屋に向かう。
宿のお姉さん達も分かって来たようで、ルイスの部屋に湯桶を三個置いて行ってくれる。
【行ってらっしゃい。】
アリスが部屋の外に出て行く。
【さてと、俺も体を拭くかな。】
ボソッと言って身支度をする。
今日もいっぱい汗を掻いたので念入りに拭いておこう。
三十分程掛けて頭を洗い体を拭う。
【うん、サッパリした。】
更に十分程だろうか?
寝間着に着替えて待っていると、部屋のドアがノックされた。
【はーい。】
そう返事をするとアリスが部屋に入って来た。
「ただいまなのですー!」
ペタペタとスリッパの様な音が聞こえる。
寝間着と一緒に買ったのだろう。
可愛いし、暖かそうだ。
「お、お邪魔するわね。」
寝間着に着替えたルイスも入ってきた。
ルイスも部屋履きを履いている。
二人はアリスのベッドに腰を掛ける。
アリスは何するの?
みたいな顔で俺を見上げている。
そんなアリスに微笑みかけてからルイスに向かい話を始める。
【さて、ルイス、連日の秘薬の採取ありがとうね。後、籠も助かったよ。】
そう、ポーションを入れる袋が無かったので籠を作ってもらっていたのである。
紙袋は、羊皮紙が高いうえに通常の紙は高すぎた為に却下した。
「ううん、仕事だもの。期待に応えられたのなら良かったわ。」
「アリスも手伝ったのですー!」
【うん、アリスもありがとうね。】
と、言って頭を撫でるとアリスが笑顔になった。
【それでね、明日は露店を出そうと思うんだ、場所は此処ね。】
そう言って予約して来た証書と場所の地図をルイスに渡す。
証書と地図を広げてルイスが確認する。
「そう、とうとう出すのね。ふむふむ、場所は南通りの中央辺りな感じね。分かったわ。」
【うん、前にも言ったと思うんだけれど売る物は各ポーションとロングソードね。ルイス達のおかげで結構な量が出来たから頑張ってね。】
「分かったわ。ん?・・・頑張ってね?」
【ごめんね、俺は露店に参加で出来ないんだ。】
「ええっ!?」
「ヘファさん、いないのですー?」
俺は現状を報告する事にした。
【鋼のインゴットが不足して来たので、南西の鉱山に鉱石を掘りに行ってくるよ。帰りは三日~四日後を目安にしている。】
「そうなのね・・・。」
ルイスが心細そうに言う。
【露店を出すのは一日だけだし、売れるかも分からない。】
不安そうな顔をしているルイスに言う。
【気負う事はないさ、初日なんだから売れなくて当然だからね。】
「分かっているわよ。私の考えてるのは別の事よ。」
【逆の事?売り切れる事を心配しているのかい?「ネーム・バリュー」がある訳じゃないんだからそんな心配は無いと思うよ?】
「ねーむ・ばりゅーなのです?」
【ああ、えっとね、名前が売れているお店じゃないって事かな?】
「分かったのですー!」
「私が心配しているのは違う事よ。せっかくアンタが一生懸命作った品物なのに、売れなかったらどうしようと思って・・・。」
心配そうに言う。
【ルイス達の営業努力には期待しているんだ。】
「営業努力なのです?」
【アリス達がいかに頑張って売ってくれるか?って事だよ。】
「頑張るのです!」
【ルイス、大丈夫だよ。売れれば良いって考えで良いんだよ。】
「・・・。」
ルイスの肩に手を乗せる。
【大丈夫、ルイス達なら普通に出来るさ。】
「ふふっ、そうね。売れるかも分からない商品なら今までも扱ってきたものね!」
俺の方を見ながら「ニヤリッ」と意地悪そうな笑顔をする。
【っぐ、その納得の仕方はどうかと思うぞ?】
テンプルに右フックが当たったようにグラっときたよ。
「うふふっ。」とルイスが笑う。
釣られてアリスも笑う。
うん、いつものルイスだ。
【後、荷物は朝のうちに裏手にある荷車に積んでおくからね。それを牽いて行くんだけれど大丈夫かな?】
「大丈夫よ、リズもマオもいるから。」
右手を上げて力こぶを作るポーズをする。
【終わったら荷車は商業ギルドに返しに行く事を忘れないで。それと何かあれば俺の担当をしてくれている「ナナリー」さんを頼ってね。】
「アンタの担当だと相当苦労を掛けているだろうから、しっかりと挨拶をしておくわね。」
そう言うとルイスがニッコリと笑う。
むう、毎日残業させているみたいだし否定出来ないな。
【そうそう、制服を作ってみたんだよ。】
「え?制服!?」
【前にリズが言ってたじゃん?】
「本当に作ったの!?」
バックパックからルイス用の服を出してみた。
【サイズは見た感じで作ってあるから、きつかったりしたら直すよ。】
ルイスは体に当てて確認している。
「へー、フリル付きの可愛い意匠なのね・・・ってちょっと!スカートが短いわよ!?」
そう言って赤い顔でこちらを見る。
っふ「ブリリアントなメイド服」だぜ!
ゴムが無いからタイツは無いのだが・・・。
【エプロンドレスって言うんだ。頭にはそのカチューシャ・・・その「ホワイトプリム」だっけかな?を付けるんだ。一緒に付いている長めの靴下を履いて寒くないようにしてね。これできっと売り上げも伸びるよ。】
「まさか、服の一着で売り上げが変わる事は無いわよー。」
とか言って笑っている。
むう、ルイスめ、なめているな?
それならば!
【ルイス、せっかくだから試着してみよう!】
「え?ちょ!?っは!?」
【外に出ているから着てみてね!】
「ちょ、ちょっと待って。ねえ!」
後ろからそんな声が聞こえて来たが無視して部屋の外に出る。
時計を見て十分してからドアをノックする。
【は、入って来て良いわよ・・・。】
心配なのかそんなルイスの声が聞こえる。
【さてさて、どうだろうか?】
楽しみでしょうがない。
ウキウキして部屋に入るとメイド服を着た天使がいた。
天使から声が掛かる。
「・・・黙っていないで何とか言ったらどうなのよ?」
【可愛い・・・。】
自然に呟いてしまった。
「ルイスちゃん、可愛いのですー!」
ルイスは顔を赤くして言ってくる。
「スカートが膝までなんて恥ずかしいわよ!しかも何でサイズがピッタリなのよ!?」
【そう?すっごく可愛いよルイス。】
そう言って屈みこみ説明を付け加える。
【本当はさ、太腿まで「タイツ」っていう物で隠してあってさ、ガーターベルトで留めるんだよ。】
「それで、なんでそのタイツっていう物と、ガー何とかが作ってないのよ!」
【『ゴム』っていう物が無いんだよ。あー、試しに作るからちょっと待ってね。】
そう言ってメジャーを取り出す。
【足を採寸させてね。】
「分かったけれど覗かないでよね!」
【了解。】
そしてしばらく採寸する。
【ちょっと待っててね。】
そういうと布でタイツもどきを作る。
フリルを作りガーターベルトも作る。
タイツを止める所の金具は細工スキルで作った。
ものの十分で作ってしまった。
「すごいわね・・・。」
ルイスは俺の裁縫技術に驚いている様だ。
出来上がった物を見せる。
【これを履いてみてくれない?】
ガーターベルトとタイツを渡す。
「履いてって履き方が分からないわよ!?」
即答される。
それなら手伝おう。
【仕方ない、履かせてあげよう!】
調子に乗ってスカートに手を掛ける。
「アンタはー!」
パシーン!
ビンタが飛んできた。
痛い。
せっかく作ったのに!
仕方ない。
ガーターベルトの件は今後何とかしよう。
だが!
明日の露店で、俺の力作の力を味わいたまえルイス!
ルイスが寝間着に着替え終わる。
もちろんその間は俺は外だ。
くぅ、寂しい。
だが、良い物を見た。
今日は良い夢が見れそうだ。
思い出していると中から声がかかる。
「へ、部屋に入って良いわよ。」
部屋に入ると皆の分のメイド服をハンガーに掛けて渡しておく。
その日は剣の試し斬りの事と各種類の商品の値段をもう一度確認して眠る事にした。
ふと、アリスに目を移すと船を漕いでいた。
ルイスがアリスをベッドに寝かせると毛布を掛ける。
「じゃあ寝るわね。お休みなさい。」
【うん、お休み、ルイス。】
そして部屋を出て行く・・・が、ルイスが戻って来て俺に抱き着く。
「あ、あのね・・・いつもありがとう。」
そう言って頬にキスをされた。
「お、おまじないよ!気を付けて行ってくるのよ!じゃ、じゃあ、おやすみなさい。」
と、言って真っ赤になったルイスが今度こそ部屋を出て行く。
俺は何をされたか分からなくてしばらくぼーっと立っていた。
気を取り直し思い出すと顔が赤くなる。
あのルイスが感謝を?
いやいや、キスとか!?
俺はキスをされた頬を押さえながら悶々とした夜を過ごすのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
次話 初めての露店 でお会いしましょう。
今後ともおっさんの冒険をよろしくお願いします。
次話執筆中。