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誤算



ガレイオンを倒したのを確認した後、裕太達は3時間ほど掛けて村人の死体を村から少し外れにある崖沿いの地面に埋めた、その上には適度な大きさの石を置き目印とし簡易的は墓を作った。

 フェミルは暫く墓の前で泣き崩れていたがいずれその泣き声も止む。



「裕太とミリス一つ謝らないといけないことがある」

「ど、どうしたんだ?」

「本当は裕太達の事を騙してドラゴン討伐に行く様に誘導させるつもりだった……私は最低だ、だからみんなこんな目に……」

「いや、そんな事はないだろ? 俺だって同じ立場ならそうしただろうし……」

「そう言う問題じゃない、実行するだろうと実行したでは天と地程の差がある……」



裕太は励まそうとして行ったのが寧ろ逆効果になったのではないかと思い、少し申し訳なく思う。



「だとしてもこれは貴方は悪くないわ」



ミリスは口を開く。



「人は死ぬときは死ぬ、案外とポッキリね……でもね、それは貴方のせいなのかしら? 貴方が殺したの? 違うでしょ?」


「……でも、私がこんな事しなければ……」


「貴方が私たちを此処に連れてきて来なかったとしても結果は変わらないわ、寧ろ貴方も死んでいたかも知れない、それにその状況なら私も裕太を利用してただろうしね」


「煩い……大切な人を失ったことが無い人がそんなこと言わないで……」



フェミルはミリスの発言に苛立ちを覚える、マリスがまるでフェミルの事を全て理解している様に話すその口が余りにも鬱陶しかった。



「そんな事ないわ、私だって百年以上生きてきて何人も大切な人に別れを告げたし、裏切られてきた……だから貴方の気持ちにも多少の理解はできる、勿論裕太もね?」



ミリスは悠太を一瞥する。

 裕太はえっ俺も?、とミリスに訴えるがミリスは返事を返す事はない。



「……」



フェミルはミリスに返す言葉が見つからず黙りしてしまう。

 もしかしたらこのミリスと言う悪魔との混血は自分よりも本当は辛いのかも知れない、とフェミルは思う。



「勿論、その辛さはわかってるつもりだから、慰めて欲しいならそうするし、関わらないで欲しいなら関わらないわ」

「その……悪い事を言ってしまった……ごめん」

「別に気にしなくていいから、寧ろ私の少し無神経だったかもね……」

「それと話は変わるけど、ファミルの魔草は村の倉庫にあるかもしれない、後そこにある物資は使う人がもう居ないし好きに使って良い」

「……わかった、そうさせて貰う事にするわ」






裕太とミリスは村の倉庫へと向かった。

 フェミルは少し一人の時間が欲しいとの事だったので彼女は少し放置して置くことにした。



倉庫は石造りの半地下の建物で、そのおかげもあってか殆ど襲撃のダメージを受け付けては居なかった、しかしそこには数人の氷人族の死体があり誰もが鋭利な何かで首を刈り取られていた、恐らくガレイオンが入り込んだのだろう。

 倉庫内は干し肉やその他保存食が大量に置かれていた、それ以外にも生活に必要な道具や樽が置かれていてある程度氷人族の生活ぶりが窺えた。



「確か魔草はあるんだったら、倉庫の奥に置いてあるんだよな?」

「えぇ、確かそうだったわね」



二人は死体を踏まぬ様に越えて奥の戸棚が置かれているあたりまで行く。

 戸棚には金槌や弓と矢、採掘用のハンマー、その他雑多な物が置かれていた。



「確かにこの戸棚はいろんな物が置かれてるしあるんならこの辺だよな」

「取り敢えず物色してみましょう、私はこっちをやるから裕太はそっちをお願い」

「嗚呼、わかった」



裕太は任された範囲の戸棚を調べて回る。

 目的のものは意外とすんなりと見つかった。



「この壺の中に入ってるやつか?」



裕太は壺の中に少なくは無い量の色の抜けた楓の葉の様な物が入っていた。



「多分、これよ……まぁこのままでは使え無さそうだけど」

「と言うと?」

「効力を出すには調合しないと行けないのよ、まぁ煮詰めて絞って汁出すだけなんだけどね」

「成る程、簡単な料理器具とかがあれば何とかなる感じか?」

「えぇ、そうね」



ミリスは裕太から魔草の入った壺を受け取ると少し嬉しそうに微笑みを見せる。

 しかしその笑みは直ぐに消える事となる。



「裕太、馬の足音が聞こえない?」

「馬の足音? 特には聞こえないが……」

「とりあえず外に出ましょう、敵かもしれないし、ファミルが心配だわ」



ミリスはそう言うとそう言うと倉庫を飛び出していく、正直馬の足音など聞こえないが、少なからずミリスは馬の足音が聞こえるらしい。

 裕太はミリスの跡を追う様に倉庫を出て行く。




ミリスと裕太が村から遠くを眺めていると馬に近い生物に跨った騎士風の集団が此方に向かっているのが見える。

 人数は十五人程度で恐らく肌の色からして氷人族なのであろう、皆全身に鎧を纏い槍や剣で武装している、馬も通常の種類より足が太く逞しく毛深い白い毛で覆われている。



「見たところ氷人族みたいだけど、どうする?」

「とは言え味方と分かった訳では無いわ、警戒しときましょう」

「にしても、なんで馬の足音があんな遠くならわかったんだ?」

「特性よ、種族的なね……」



やがてその集団が村に近づくと裕太達を視認したのかこっちに一直線に向かってくる。



「裕太……」

「分かってる、何かあったら逃げる用意はしてある」



その集団は裕太とミリスの周りを取り囲む、その集団は槍や剣を裕太とミリスに常に向けており、敵意を持っているのは明白だ、やがてその集団の代表者らしき人物が前へと出てくる。

 氷人族の男で端麗な顔立ちで冷酷な瞳をした男だ、他の者が装備している鎧よりも一回りグレードが高いものを装備している様だった。



「我らは村々を襲う龍王討伐を命じられやってきた討伐隊だ、そして俺は総族長から氷聖の称号を頂いたアシル・ガフルだ、事情を説明して貰おう」



アシルと名乗った男はそう言い放った。

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