出発の朝
翌日の朝ーーー
「何してくれてんのよ‼︎」
裕太はミリスの蹴りが腹部に命中する。
「ぐふぅ⁈ ……ってちょと待て‼︎ 誤解だ、第一最初に入ってきたのミリスの方だろ⁈」
「嘘言わないで‼︎ 確かに昨日私は自分の部屋で寝たはずよ⁈ どうせ夜体調が悪くなるからその意識が朦朧とした時に部屋に連れ込んだんでしょ⁈」
「いや、違うって本当にっ‼︎」
「じゃあ聞くけどなんでこんな私ははだけてるの? 理由を教えて欲しいわね‼︎」
いや、それこそ本当に知らないよ‼︎ 逆になんではだけてるの⁈ 寧ろこっちが知りたいわっ、と突っ込みたくなるがそれをグッと抑える。
「まぁ、いいわ今回は許してあげる……でも、次こんな事あったら許さないからね」
「あっ、はい、すいませんでした……」
「どうせあそこまではしてないんでしょ?」
「あそこだけじゃわかんないんだけど? 詳しく教えて欲しいんだが」
「最低」
ミリスは裕太の頬を思いっきり引っ叩く。
割と本気のビンタは裕太の頬に赤い手形を付ける。
「痛い……酷い……」
「もういい‼︎」
裕太の頬を引っ叩いたミリスは部屋から立ち去ろうとする。
「そんなにしたいなら直接言ってくれればいいのに……」とミリスは裕太に聞こえないように呟く。
「ん? なんか言ったか?」
「な、な、何も言ってない‼︎ この変態‼︎」
ミリスは裕太に問われると赤面し暴言を吐きつけ部屋から逃げるように出て行く。
扉を思いっきり閉めたのかバタァンと音を立てる。
(なんか嫌われたかな……? なんもしてないんだけどなぁ)
裕太はミリスに叩かれ恐らくは赤く腫れているだろう頬をさする。
「取り敢えず謝りに行っておくか……俺悪く無いと思うんだけどなぁ」
裕太はベットから起き上がりミリスが向かったであろうリビングへ向かう。
ミリスは案の定リビングの椅子に座っていた。
「なぁミリスさっきは悪かった……でも本当に俺なんもしてないんだよ、そこだけはどうか信じて欲しい」
しかしミリスはそっぽを向いて裕太と目を合わせようとすらしない。
「本当に悪いと思ってるんだ、それに険悪な関係のまま旅に出たくないんだよ、な?」
「……もういいわよ、許すって言ったじゃない、でも今後貴方は変態のクソ野郎って認識するわ」
「えぇ……」
「てか朝ごはん作っててよ、旅に出る前に……」
「嗚呼、わかった、それで機嫌なおしてくれるなら幾らでも作るよ」
裕太は調理場へ向かっていった。




