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白昼夢



裕太は何処かの半径100メートルはありそうな塔の上で倒れ伏せていた。

腹部には穴が空き口からは吐血し血まみれであった、何故生きてるのが不思議なくらいにーーー。

裕太はそんな中、仰向けになり虚ろな目で虚空を見つめていた。



「どうしたの、 負けてしまったの? 情けないわね」



その瞬間、どこからも無く謎の少女が嘲笑うかの様に姿を現わす。

その少女は端麗な顔立ちで白銀の長髪、黒と赤のオッドアイであった。



「……なぁ、アルシェル……俺は……ミリスを止められなかった……」



裕太は息も絶え絶えで喋る。



「私はお前にはあの小娘を打倒出来る力くらいは授けたのだけどねぇ、少なくても今のお前はこの世界の住人が幾ら努力を重ねてもたどり着けない領域の力は持ってるはずよ」

「だったら何で……?」

「それは技量よ、踏んできた場数が違ったのよ、あの小娘とはね」

「なぁアルシェル……俺に……また力をくれ……」




裕太はアルシェルと呼んだ少女に悲願する、その目には涙を零していた。



「それは嫌よ」

「な、なんでだよぉ……俺はミリスを助けなきゃ……ミリスを止めなきゃ行かないんだよ……だからーーー」

「なんと言おうとも嫌ね、だってつまらなもの、それにお前には充分に力をくれてやったわ」

「そ、そんな……でも、そんな事したらこの世界の秩序は崩壊するぞ……?」

「問題無いわ、だってあの小娘は私が殺すもの、だからお前は心配しないで安らかに眠ってくれてもいいのよ?」




アルシェルは不敵な笑みを浮かべる、まるで裕太の反応で弄んでいるかの様にーーー。



「お願いだよぉ……頼むからぁ、力をくれ……俺が……止めなきゃ……」



裕太はアルシェルの足を強く掴み、アルシェルを睨みつける。



「そう怖い顔をしないでよ、そうだ条件付きでまた力をくれてやってもいいのよ?」

「……なんでもいい……力を貰えるなら……」

「そうね、過去のお前に今のお前の力をくれて上げる……そうすれば過去のお前は更なる力を得ることができるわよ? ただしその代償は今のお前の命で……」



裕太はその話を聞いて暫く考え込む、段々と意識が薄れていく事にも気づいてくる。



「それで……ミリスは救えるのか……?」

「そうね、物は捉えようよ、私が過去のお前に力を与える事で今は変わるかもしれないわ」

「それだったら……」

「でもそれは無いわ、何故なら今のお前は私が殺すから……つまりは世界は分岐する、最低でもこの世界線ではミリスは私が殺す、でもこれから分岐する世界線ではもしかしたらお前はミリスを止められるかもしれないって事よ、それでどうするの?」

「……」




裕太は再び考え込み、答えを出す。




「何処かの……何処かの別な自分とミリスが救われるなら……それで構わない……」

「契約は成立、ね」







ーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーーー








裕太は目を覚ます。




そこはミリスから貸し出された部屋の一つだ。

裕太は食事を終えた後しばらくしてベッドの上で眠った、そして今に繋がる。




「今の夢はなんだったんだ……?」



裕太は夢の内容を振り返る。

無駄に現実味を帯びた夢はまるでさっきまで事実の出来事のようだった。



(あの夢はなんだ? ミリスを止められなかった? どう言うことなんだ……と言うかあのオッドアイの少女は一体……)



裕太はあの夢がただの夢だとは到底思えなかった、無駄に現実味を帯びたその感覚、まるで今後それが起こるかな様な不信感。




ーーーそしてあの少女の発言、あれが単なる夢だとは思えない、何か因果があるのではないかと思う。




(しかし、脳って解明されてないことが多いとかなんとか言うしこう言う夢もあるのかもしれない……やな、確かあの少女は分岐した世界の俺に力をくれるとかなんとか……だったらステータスを確認すればわかることだよな? これで変化なかったならただの夢だったて事だし)





裕太はステータスを開く。




上野裕太(19)



lV50



筋力277  体力308 

魔力150 知力24  

俊敏力196  精神力120

HP500 MP980




火系魔法90 支援系魔法90 死霊系魔法90 爆発系魔法90 回復魔法70 支援スキル90 攻撃スキル90 マーシャルアーツ90


自動HP回復 自動NP回復 異常状態耐性 ダメージマイナス補正 即死耐性






「えっ……何これは?」



裕太は余りにもの事に呆気ない声を漏らす。




「へ? へ? まじでなんなの⁈ …… えぇ……えぇぇぇぇぇぇ⁈」




それに続いて出たのは驚きの声である。



「嘘だろ⁈ てことはあの夢は……いやいやそんなことあってたまるか‼︎ す、少し冷静に考えろ……あの夢では恐らくはミリスと何らかの事が原因で敵対していた、そして謎の少女……なんだよ、これ⁈ 状況が読み込めねぇよ、どうなってんのもう‼︎ てか俺のステータスが化物になってんだけど⁈ 多分その気になれば街とか滅ぼせるよねぇ⁈ もう人間辞めちゃたの⁈ 何がなんだかわかんないんだけど‼︎」




裕太はあたふたして叫び散らす、夢の内容が事実なのかもしれないど言う意味で困惑もしていたが、自分のステータスが国滅ぼせるレベルの化物になっていた事が何よりも驚きを隠せなかった。





「俺って……もう……人間じゃないのかなぁ……」



今の裕太は予想でしかないがその気になれば小国程度であれば容易く滅ぼせるステータスはあるだろう。

そんな事が出来るなど人だとは思えない、強いて言うなら人の形をした怪物だ。

裕太はそのレベルの化物になった気がして虚無感に襲われる。




「悪い夢かもしれない、そうだ、そうに違いない、顔を洗えば目を覚ますかもな……」






もし悪い夢であるのなら顔をてきとーに洗えば目を覚ますかもしれないーーーそんな安易な考えで顔を洗おうと洗面台に向かおうとした時だった。





ーーー裕太の右腕に重みを感じる。






「ん? なんだ……右腕が重いな、まさか右腕がよくわからん鉤爪みたいになってないよな?」







裕太はまさかと思い腕のあたりに恐る恐る目を向けると、そこには腕に抱き付き眠るミリスの姿があった。



「ふぁ⁈ ちょ、ミリスアクルファさん⁈」




裕太はミリスをさすったりして起こそうとするが一向に起きる気配は無い。

確かに言われてみればこんな大声で騒いだりしていたのにミリスは起きることは無かった、もしかしたらミリスは眠りが深いタイプなのかもしれない。






(てかなんでミリスが俺に抱きついて寝てるんだ⁈ 確かに同居人だし仲もいい……それでも一緒に寝たりする中では無いはずだーーー、いや待てよ? もしかしてミリスは俺のことが好き? ……なのか? いやいやいやいやいやいやいやいや、流石にそれは無いだろ‼︎ 前の世界では彼女一度もいたこと無い童貞だぜ? なんでこんな可愛い娘に見向きされるわけ無いだろ? それにミリスみたいなタイプがこんな大胆に攻めてくるとも思えない……やっぱこれは夢なんだ、そうだそうに違いない)




裕太はミリスの顔を見つめる。

相変わらず整った顔立ちである、少し幼さは残るがそれでもかなり美人な部類だろう。




(ミリスってこう見ると顔整ってるよな、外年齢的には15くらい? もしかしたらそれより若いかも知れないけど)




そして裕太はある事に気づく、ミリスが高熱を発していたのだ。

ふと額に手が触れ、彼女が火照っている事に気づく、恐らくは38〜39度、もしかしたら40行くかもしれないと裕太は思う。





そしてさらには自分の手、布団、シーツなどにさほど古くはない血液が付着している事にも気づく、裕太はこれが吐血だと素早く察する。




(って、ミリス吐血したのか? もしかしたら代償の症状は夜に現れやすいのか? 待てよ、顔を洗うより確実で簡単な方法があるじゃないか‼︎)





裕太は自分の頬を思いっきり引っ叩く。

パシィンといい音を鳴らし、頬に痛みが走る。



それと同時に裕太は確信するだろう。





あ、これ現実だわ、うん





(おいおいおいおい‼︎ 普通にビンタして痛かったよ⁈ てことはこの訳の分からん夢もステータスも隣でミリスが寝てるのも本当って事だよな⁈ ……いや嘘だろ⁈ 第一情報量多すぎんだろ……いや、待てよ、何も悪い事だけでもない、そうミリスだよ! ミリス、隣で寝てるって事はある程度お触りも許される……よな)




裕太はミリスを抱き寄せてみる、罪悪感は多少はあるが先にベッドに入り込んできたのはミリスの方ーーーなはず、である。


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