第三十話 一騎打ち
ミリーナたちと別れた俺たち騎士団は、魔王国の敵兵にばれないように森の中を進んでいた。途中オーガ等に遭遇したが逃がさないように殺してアイテムボックスにしまった。
「もうすぐだ、あいつの魔力をガンガン感じる。―――あぁ、頭に響く。」
そのルクスリアが言葉を発した後、ヒロキの頭の中にも声が聞こえた。
「―――英知ある弱者よ、我との一騎打ちを」
途端、辺りの風景ががらりと変わり、目の前には玉座があった。そこにいるのは眼鏡をかけた細身の男。
―――
この城の主、アワリティアは嗤っていた。圧倒的な力を持ち、大国をたった一人の力で支配したほどの力の持ち主に対して、挑むものがあったからだ。その者の名はヒロキ=ヤマセ。彼のかつての同志であるルクスリアやインウィディアたちを魅了した興味深い男。その男が今まさに自分の元へと向かっている。
「いいねぇ、血がたぎるようだよ。ふふふ、早く戦いたいなぁ。…ちょっとぐらい…いいよね」
アワリティアはそういうと短く魔法を詠唱し、目の前にヒロキを召喚した。
「此処は?―――お前がアワリティアか?」
アワリティアは歓喜した。普通の人間であるならばアワリティアの召喚方法―――肉体と精神を切り離し、魔力に還元してから手元へ呼び出し肉体を再構築する。―――では精神が崩壊してしまうからだ。
「そうだよ。初めまして…だねヒロキ君」
ヒロキは、アワリティアが自分の名前を知っていることに驚いたが、直ぐに平静を取り戻してアワリティアを見据え、言った。
「そうだ。―――死ね」
刹那、ヒロキの刀がアワリティアを横に薙いだ。だが、そこにはアワリティアの姿はなく、アワリティアの羽織っていたマントが千切れただけだった。
「怖いね。―――自惚れるなよ人間風情が」
背後からアワリティアが現れ、アワリティアがヒロキの脇腹に火属性魔法の『爆発(プロ―ジョン)』を叩き込む。
「ぐ…!」
ヒロキはその魔法の威力の強さに吹き飛ばされる。
「クククッ。流石のお前でもこの魔法の威力には敵うまい。さぁどうした?起きろよ。俺を殺すんだろう?」
アワリティアの言葉に返答はない。
「…俺の見込み違いだったk」
アワリティアが落胆し、気を緩めた瞬間、アワリティアの口の中で爆発が起こる。
「!!!」
アワリティアが驚き、自己再生スキルを発動させている間にも攻撃の手は止まない。
「形勢逆転…だな」
ヒロキは攻撃の手を全く緩めることはなく、起き上がり言った。
「ウグルァァァァァァ!!!!!」
刹那、アワリティアの咆哮が城内に響き渡る。それに驚いたヒロキは攻撃の手を緩めてしまう。
「はぁっ、はぁっ…。その能力奪わせてもらおう」
アワリティアの右手から青白い光が出てヒロキにぶつかる。ヒロキは火属性魔法かと身構えるが、痛みや衝撃は来ない。
「クククッ。奪えたぞ。お前のその能力の正体は…、火属性魔法…だと。馬鹿な!ありえない!」
アワリティアは動揺するが、それもそのはずだ。ヒロキは口内に含まれる唾液を水素と酸素に分解し、そこに術式を唱えることで火花を発生させ口内での小爆発を起こしていたにすぎないのだから。これは魔法が使える者ならだれでも可能な魔力操作の応用でしかない。実際、この不可解な攻撃を可能にしているのはスキルではなく知識であるのだから。
「バカな…生物の体内に含まれる魔力は他の生物が操作することはできない…。それをお前は操作したというのか!?馬鹿などうやって!?」
―――ここで、アワリティアの探求心が仇となった。アワリティアの探求心が邪魔をして、ヒロキの攻撃に対して構えるのが数舜遅れた。
「教えるかよ」
今度こそ、ヒロキの刀がアワリティアの胴を薙いだ。
戦闘シーンがむずいです…。




