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三十二話 「ハゲの理由」
大家はハゲていた。
生まれながらではない。
「ハゲちゃん」
今日も大家は彩葉に遊ばれる。
しかし知って頂こう。彼がハゲた訳を。
彼は努力家だった。
大学に通っていた彼は、大学の学費がかからないよう、死に物狂いで勉強していた。三ヶ月に一回は円形脱毛症になった。
親から晴れて独立出来たと思った彼は、結局のところ、体が悪くなった死にかけの親の世話をせざるを得なくなった。
大学の成績は落ち、彼は学費を払わなければならなくなった。
しかし、彼にも彼の親にも、そんなお金はない。あるのは、ボロボロで住民が寄りつかないアパート。
彼は大学を諦め、毎日を繋ぐ日々を送るようになった。
親は亡くなり、彼は一人となる。
親の保険金でアパートを改修して、そこに優子たちが住んだのだ。
では、一体いつハゲたのか?
それは、髪の毛が生えるという怪しい田舎のカップ麺を食べてからである。
彼の髪は、カップ麺のようにモジャモジャになったのではなく、それに反比例するように消失した。




