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kawaii研究所♡ラブ実験室  作者: 櫻木サヱ
研究所スカウト編

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2/7

突如のスカウト

夕暮れの街並みを、ももかは制服のスカートを揺らしながら歩いていた。今日も部活はサボったし、帰り道にある小さな商店街で特売のパンを探すのが唯一の楽しみ。

「ふぅ、今日のパンは何かな…?」


角を曲がったその瞬間、目の前に異様な建物が現れた。

見た目は普通のビルなのに、壁に大きく「kawaii研究所」と金色の文字が浮かび上がっている。まるでライトアップされた舞台のようだ。

ももかは一瞬足を止めた。


「え、こんなところに…? いつからあったんだろう…」


引き寄せられるように建物の入口に近づくと、ガラスの扉が勝手に開いた。

「……え?」


中から、妙に甲高い声がした。

「君こそ、我が研究所の萌え人材!!」


ももかは驚いて後ろに飛び退き、通りに置いてあった看板にぶつかる。

「うわっ!? ちょ、ちょっと痛いんですけど!」


声の主は、白衣を着た男性――桜井教授だった。顔は真剣そのもので、でも目の光はどこか危うい。

「君、萌えの才能を秘めている! 我が研究所でその能力を科学的に解析しないか?」


ももかは口を開けて固まる。

「え、才能…? 私、ただの普通の女子高生ですけど…」


「関係ない! その天然さ、ドジっぷり、そして笑顔――すべてが研究対象に値するのだ!」


ももかは眉をひそめた。

「……いや、無理です。普通に帰りたいんですけど」


しかし、桜井教授は身振り手振りで熱弁を続ける。

「君がこの研究所に来れば、世界中の恋愛ギャグ理論を一気に進化させることができる! さあ、来るのだ、ももか!」


「……え、名前どうして知ってるんですか?」


「知っている! 我が研究所の萌えデータベースに君のプロフィールは登録済みなのだ!」


ももかは頭を抱えた。どうして私の高校生活は、こんな方向に行ってしまうのだろう…。

とりあえず、無理やり手を引かれ、研究所に入ることになった。


中は異世界のようだった。壁一面にはカラフルなモニターが並び、そこには「萌え指数」「胸キュン度」「恋愛ドジ率」など、見たこともない指標が表示されている。


「わ、わぁ……」

ももかは目を丸くした。なんだかアニメの世界に迷い込んだみたいだ。


そこへ、もう一人の人物が現れた。先輩研究員・桃瀬りくだ。

「……また新人か」


ももかは一目でクールそうな雰囲気を感じ取った。長い黒髪を一つにまとめ、冷たい瞳でこちらを見ている。

「……えっと、先輩ですか?」

「ふん。研究所では、感情よりデータが大事だ」


なんだか怖い。けど、どこか…ドキッとする。ももかは自分の顔が赤くなっているのに気づいた。

「いや、私、赤くなってないです…ただ、夕日で…光の加減で……」

「うるさい」


ももかはまたしても噛み合わないツッコミに頭を抱える。しかし、りくの冷たい態度に、なぜか心臓がドキドキしている自分に気づいた。


桜井教授はそんな二人を気にも留めず、机に置かれた「萌え分析器」を指差す。

「さあ、君の才能を早速計測するぞ! まずは天然度からだ!」


ももかは恐る恐る装置に手を置く。すると、ピピピッと音が鳴り、モニターに「天然MAX」「ドジ指数120%」と表示された。


「え、そんな…」ももかは思わず顔を手で覆う。

「素晴らしい! これぞ、天性の萌え力!!」

桜井教授は満面の笑みだ。


りくは冷静にモニターを見つめ、「……なるほど」と一言。ももかは思わずその声にドキリとする。


その瞬間、ももかの視界の片隅で、ピヨ助という小さなロボットが転がるように登場。

「ぴよぴよ! 萌え指数、乱れています!」


「わ、わわ!? ロボットまで…!」

ももかは逃げるように後ずさるが、またしても装置にぶつかり、研究所内は小さな爆発音とともに煙がもうもうと立ち込める。


桜井教授は拍手をしながら叫ぶ。

「これぞ、萌えドタバタ実験の初日! 大成功だ!」


ももかは煙の中でむせながら、「あ、私…普通に帰りたいんですけど…」と小さくつぶやく。


りくは目を細め、モニターを指差して小声でつぶやく。

「……この新人、面倒くさいけど……ちょっと面白いかもしれない」


ももかはその言葉に反応する余裕もなく、次のトラブルに巻き込まれることも知らず、研究所の扉の向こうに立ち尽くしていた。

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