初心者ダンジョンだった⑨
遅くなってすいません。
思ったよりリアルが多忙で時間が取れません。
一夜明けダンジョン攻略の最終日がやってきた。
本日は目の前にあるボス部屋をクリアすれば、今回の演習は終了する。
皆の準備が終わる頃、リカルドからラスボスについての説明があった。
「今日で演習は終わりだが、最後はこのボス部屋だ。 この部屋の定員は一人なので、一人ずつ入って戦ってもらうが負けても死ぬことはない」
このダンジョンがチュートリアルダンジョンと呼ばれてる所以は、致命傷を負っても死ぬ前にダンジョンの入口に戻されるからだそうだ。
俺たちは今知らされたが、ダンジョンのどこでヤラれても絶対に死なないらしい。
最初に教えてくれればビクビクせずに済んだのにと思うけど、ダンジョンの外での戦闘が主になるから事前に言われていたら訓練にならなかっただろう。
「この部屋で出てくるモンスターは完全にランダムで、自分のステータスと同等のモンスターが現れる。 今のおまえたちのレベルでは出現することはないが、高レベルのヤツがこの部屋に入るとドラゴンが出て来たリすることもある」
俺たちのレベルだと出てきても、強くてもワイバーンくらいで基本的にはオークやオーガが出てくるそうだ。
「ボスを倒すと奥の魔法陣が発動するので、その中に入ってもらうとダンジョンの外へと転移できるのでそこで待っていてくれ。 もし負けて入口まで戻された場合は、そのまま外に出て他の者と合流してくれ」
ラスボスとの戦いは一回のみで、負けても勝っても一度王城に帰るつもりらしい。
これ以上は話すことはないようで、二人の騎士を残してリカルドと騎士はボス部屋に入り、転移陣で入口へと戻って俺たちを待つそうだ。
リカルドたちは前にこのダンジョンを攻略しているので、戦闘をせずに転移陣を使えるらしい。
俺たちはリカルドたちが転移し、ボス部屋に入れるようになるまで待つ。
数分待つとロックされていたボス部屋の扉が開くようになった。
誰から行くかの話になったが、どうせ死なないのだし待つのは嫌だし、皆が話あっている間に勝手にボス部屋へと入ることにした。
タクとヒカルは気がついていたが、苦笑しながらも見逃してくれた。
他の皆はまったくもって気づかなかった。
俺がボス部屋に入ったのに気がついたのは、ジャンケンで決めた一人目がボス部屋に入ろうとした時だったらしい。
こういう時は存在感が薄いのことに感謝だな。
ボス部屋に入って俺の相手を確認するため、部屋中を見渡す。
すると部屋の真ん中が光だし、人間みたいなトカゲが現れた。
この世界ではリザードマンはモンスター扱いのようだった。
俺にとっては人間に近いモンスターは、急所がわかりやすいのでありがたい。
生命力が強い昆虫タイプや、この世界独自のモンスターなんかは一撃必殺で倒すのが難しいので相性はあまりよくない。
なので今回は割と当たりを引いたと思うが、あのリザードマンの表皮の鱗がどれくらいの耐久性があるかが問題だな。
俺のナイフで切り裂ければいいのだが……
とりあえず影縛りで、リザードマンの動きを止めることにした。
隠密スキルを全て発動させて気配を完全に消す。
今までもスキルを発動させずにリザードマンの目の前にいたが、気づかれなかったからスキルを発動させれば近づくのは余裕だろう。
戦い方が決まったら即実践、ダメだった場合は普通に戦おう。
先手が必ず取れるだけで、十分すぎるアドバンテージだ。
ナイフを構え、リザードマンに向け走り出す。
トップスピードのまま正面から、リザードマンの首へとナイフを突き入れる。
勢いがしっかりついていたからか、それともナイフのスキルのおかげか、ナイフはすんなり首へと突き刺さった。
俺はナイフを手放し、安全圏まで後退しリザードマンの様子をみる。
リザードマンは突然攻撃させたことにテンパったのか、武器として持っていた槍をがむしゃらに振り回していた。
致命傷に近いダメージのせいか、いまだに俺のことを認識出来ていない。
だがすぐに攻撃範囲から離脱したのは正解だった。
あの場に留まっていたら、少なからずあの槍の攻撃を受けていたと思う。
致命傷には程遠いが、当たるとそれなりに痛そうだ。
俺はその場で刺したナイフをスキルで手元に戻すと、刺さっていたナイフが無くなりリザードマンの出血らしき光が増大する。
だんだん弱ってきたのか、振るっていた槍の速度が遅くなってきた。
このまま待っていても倒せそうだが、後ろにまだ九人もいるから巻でやった方がいいだろう。
俺は影を細くの伸ばしていき、リザードマンの影と繋げ影縛りを発動させる。
スキルの発動と同時に、フラフラ槍を振り続けていたリザードマンの動きが止まる。
多少抵抗していたがダメージのせいか、すぐ動けなくなったようだ。
俺はそのまま近づきリザードマンの首に、もう一度ナイフを突き入れ引き裂き完全に首を落とす。
それが止めとなりリザードマンは、倒れ光の粒となって消えていく。
少しするとリザードマンが倒れた後にドロップ品だと思われる、一本の長めのナイフが落ちていたので拾い収納へとしまっておく。
武器のスキルは転移してから確認すればいいだろう。
ボス戦終了の合図である転移陣が部屋の真ん中に現れたので、俺はそそくさとその魔法陣に入りダンジョンの入口へと転移する。
一瞬で転移した先にはダンジョンの入口の前だった。
振り向くと先行していたリカルドたちがいたので、こちらから声をかける。
「終わったみたいだけど、このまま待ってればいいのか?」
「……っ」
話しかけるとリカルドはかなり驚いていた。
俺が戻ってきたことに気づいていなかったようだ。
「お、おう! 一番乗りは暗殺者のおまえか。 人数はいるがそんなに時間はかからないと考えているから、そのまま皆が来るのを待っていてくれ」
俺はリカルドの指示に従いその場で、ボーっとしながら待つことにした。




