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懐かれたようだった



オタクじゃないクラスメイトたちも魔法には興味があるようで、王様の言葉を聞いて目を輝かせている。

 一番興奮していたのは本田だ。

 元の世界でも使おうとしていたくらいだから、魔法を使うことに憧れは強いんだろう。

 もちろん俺たちオタク組も早く使ってみたいと思う。


「みなも魔法に興味があるようなので、よろしくお願いします」

「あぬしらが乗り気であるのであるのであれば僥倖、だがまずは昼食だ」


 王様も俺たちの表情をみて笑っていたが、お昼が先だと軽く注意する。


「昼食は昨日話し合いに使ってもらった大部屋に用意させよう」


 王様との話はこれで終わりとなった。

 大部屋への付き添い兼案内は、エリザ様が買って出てくれた。

 当たり前のようにリーダー騎士もついてくる。

 その様子を見て、エリザ様はなにも言わなかったが大きくタメ息をついていた。


 ビックリしたのは、今エリザ様の隣を歩いているイリス様だ。

 俺たちが謁見の間を出たあと、こっそりとついてきたみたいで、最後尾を歩いていた俺がなんとなく振り向いたら、満面の笑みで俺の後ろにいた。

 そのことをエリザ様に告げたら、軽く説教していたが今更自分の部屋へ帰すのも手間だと、エリザ様が手を繋ぎ先頭の方に連れて行った。

 エリザ様に連れていかれるイリス様が、去り際にこちらを凝視していたが何だったのだろう。

 俺のこと普通に見えているみたいだし、勘違いではないだろう。


 イリス様でのトラブルがあったが無事大部屋へと戻ってきた。

 大部屋の中には出ていく前はなかった長机が搬入されており、昼食の準備も出来ている。

 王様が始めからお昼の準備を指示していたようだ。

 朝は個室の方に置いてあった、マドレーヌとかクロワッサンだったのでお腹は空いていた。


 いいニオイが部屋に充満していて涎が垂れてくる。

 部屋に入って行くとみんなわれ先に席に座るっていく。

 もちろん俺もすぐさま席に座った。

 隣にタクとヒカルが座ると思っていたら、右側にタクとヒカル二人ともいた。

 左側には誰が座るってるんだ……?

 反対を見ると……なぜかイリス様が座っていた。

 ……どういうこと?


「イリス様?」

「はいなの!」


 疑問に思い名前を呼ぶと笑顔とともに、元気な返事が返ってきた。

 なにこの可愛い生き物……


「えーっと、なぜここに座ってらっしゃるんですか?」

「いりすもいっしょにごはんたべるの!」


 イリス様はここでお昼を食べるつもりのようだ。

 でもなぜ俺の隣に……ここしか空いてないのかと思い、周りをみると普通にエリザ様の隣が空いてるし。

 てかエリザ様もここで昼食を摂るのか。

 エルザ様も隣にいるはずのイリス様がいないのに気づいたようでキョロキョロしていた。

 おっ、こっちに座ってるイリス様に気づきこちらへくるようだ。


「イリスなんでこっちに座っているんですか。 私の隣に来ればいいでしょ?」


 俺も今日会ったばかりの知らない人の隣に座るより、エリザ様の隣にいたほうがいいと思うよ。


「きえるといっしょにごはんたべたいの」


 イリス様は俺の服の端を引っ張りながらエリザ様にそう答えた。

 意外なことにイリス様の口から俺の名前が出た。

 イリス様に見つけてもらって自己紹介したがさのせいかな?

 だがなぜこんなに懐いてもらえてるのだろう。

 剣持よ。 そんなに睨まないでくれ……俺なにもしてないよな……


「えっと……キエルさん? イリスがこう言っているんですが大丈夫でしょうか?」


 エリザ様にも名前を呼ばれた。

 イリス様みたいに覚えていた訳ではなく、イリス様が言ったのを復唱しただけだろう。

 名前を呼ばれたことで、男子どものヘイトが俺へと集まりだしたみたいですごい睨まれている。

 タクとヒカルはやっぱり笑ってるだけで助けてはくれない。

 これはエリザ様だけでも遠ざけなければやばい。


「私にもイリス様と同じくらいの妹がおりますのでお任せください」


 俺の家は両親が共働きで、妹の面倒は俺が見てきたのである程度は見れる。

 妹は同い年の子よりは大人びているが、俺がいなくなって大丈夫だろうか……


「なら昼食が終わるまでイリスをお願いいたします」

「了解しました」



 返事するとエリザ様は元いた席へと戻っていった。

 それと入れ替わりで剣持がこちらへ来てイリス様の隣に座った。

 なぜ元いた席を移動してまでこっちに来るんだ?

 一緒に双槻もこちらへ移ってきた。


「きえる、ごはんたべないの?」


 気がつくと他のみんなはもう食べ始めていた。

 イリス様も口周りを汚しながらお昼食べていた。

 

「いや、俺も食べるよ」


 俺は汚れたイリス様の口を拭きながら返事をする。

 俺なんかに気を使ってくれるなんて……なんていい子なんだ。

 そして剣持はそんなイリス様を見てニヤニヤしていた。

 女の子だからいいが男なら通報されるぞ、その顔……


 イリス様の相手をしながら、俺も飯を食べ始める。

 王様が甘やかしているのか食べ方が本当に王女様って感じだった。

 口元を拭いたり、食べにくそうにしているのを食べさせたり、自分の妹相手にもここまで面倒みたりしないぞ。

 イリス様の相手をしていると、剣持がその度に睨んでくるのはなぜだ。


「渡来ちょっといいか?」


 シビレを切らしたのか剣持が俺に話かけてきた。


「なんだ?」


 俺がイリス様を挟んでいるので剣持と話すので、イリス様も剣持の方を見る。

 自分の方を向いたイリス様を見て剣持の目じりが下がる。


「イリス様に私の紹介をしてもらえないだろうか?」


 今度は真面目な顔をして俺にそう頼む。

 なんか今までと印象が違うな……もっとクールで無表情な奴だと思ってたが、なんだかこの三十分くらいで百面相してるぞ。


「イリス様こちら私の仲間の剣持ユイです」


 紹介するの別に問題ないのでイリス様に名前を教える。


「紹介にあずかりました剣持ユイです。 ユイとお呼びください」


 俺とは別に自分でも名前を告げ自己紹介する。

 てか自分でやれるなら俺にワンクッション入れさすなよ。


「わたしはいりすなの! よろしくなの。 それでキエルは……」


 イリス様からはそれだけだった。

 すぐにこちらを向き俺に話しかけながらご飯の残りを食べ始める。

 それだけの対応では、剣持怒るんじゃと恐る恐る様子を窺うと……

 とてもだらしがない顔でニヤけていた。

 剣持さん……美人が台無しですよ。

 すると剣持の後ろから、双槻が顔を出した。


「迷惑かけてるね、渡来くん。 実はユイってこう見えて小さい子が大好きでさぁ、よく保育園とかにボランティアに行ったりしてるんだよ」

「そうなのか。 普段からは全然想像つかないな」


 なんていうか学校で見ていたイメージが全崩壊したぞ。

 カッコイイ系美人はどこ行った!


「でもその表情はさすがにやばくないか?」


 見ていてヤバイ人ぽいぞ。


「だよねー。 犯罪者ぽいよね。 私も何回か注意したんだけど治らないから諦めたよ」


 犯罪者ぽいって言っちゃてるし……親友だからいいのかね。


 そんな感じでイリス様の相手をしながらお昼の時間は過ぎていった。



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