七章 思い出すあの日、あの言葉
そして、リノとサナンとグイードが運び出され、一通りの検証などが終わったフィルが、部屋から出ると、外には、一人の男が待っていた。
「大佐」
「終わったか?」
「はい。犠牲者二名、捕縛は総帥一人。あと、サナンの部下がいろいろ差し押さえたり、公安の連中が動いて……」
「大混乱だ。まったく、楽しいことをしてくれるな」
「楽しい言うんですか?」
淡々と血に汚れた手を拭いて、フィルは医務室に向かう。
そのあとをキースがついていく。
「グイードに会いたいんだが」
その言葉に足が止まりかけたが、無理やり進めたフィルがいつもどおりの口調で言葉をつむぐ。
「ああ、それなら、医務室の隣の安置所においてあると思います。たぶん、部下がえぐいところを縫合しているところだと思います」
「大変だな」
「ええ」
うなずいて目を伏せる。
フィルは目を伏せながらずっと続く廊下を無言で歩いていた。
ふと隣にキースが来る気配。
見上げようと顔を上げた瞬間、頭に暖かな手が乗った。
「よくやったよ、お前らは」
深い声に思わず立ち止まってキースを見る。彼はとまることもなく片手を上げて足早に歩いていく。
「……」
その背を見送りながら、フィルはぐっと唇をかみ締めてうつむいた。
閉じたまぶたから、涙があふれる。
「……はい」
うなずいて、しばらく立ち止まって涙を流していたフィルだったが、切り替えるように顔を上げて涙をぬぐうと医務室へ早足で向かった。




