15. フェイリン
数日後。
「スノウさーん!」
「フェイリン」
教会に行ったらフェイリンがいた。なんと会いたかったらしく、フェイリンが召喚してほしいとホーリーに連絡してくれたそうだ。
「もう、呼んでくれないと会えないんですから!」
「ごめん」
「勇者のパーティを追放されたと聞いて、驚きました。でも、無事でよかった」
「フェイリンも元気そうだね。」
「はい。むしろ、みんなスノウさんがいなくなるって。精霊たちは大騒ぎで」
「え…いつから知っていたの?」
「追放された直後から知ってます。だって、スノウさん、ふらふらと森に来たんですよ。
もしかしたらと思って、精霊のみんなが心配して、必死に呼びかけていたんです。」
「え…しらなかった。」
「みんなスノウさんが心の病気になったって。どうしようどうしようと」
「アハハ。あのときは一番弱っていたからね。」
「森はとりあえず出たという報告は受けていましたが、無事でよかった。
ずっと会いたかった」
「心配かけてごめん」
「こほんッ。困りますよ、そんなことでは」
ホーリーにいわれて、フェイリンはムッとしていた。
「いいじゃないですか!」
「まず、用件を早く済ませましょう。」
「はーい。」
フェイリンたちによって、宿屋襲撃事件の全容がわかった。
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<< ガッツ視点 >>
なんだんだ、あのバードというゴミは。
たしかに勇者の特権はなくなってしまった。そんなことはどうでもいい。なぜバードの名前を使ってもだれもなにもしてくれない。
「あー、バードさんのお仲間でしたか。それはそれは。がんばってください。」
ちげーっての。協力しろよ。
「スノウさんがいないんでは無理です。通常料金ですね。」
「スノウさんと直に話しますから。いないんですか。なら並んでください。」
装備を整えなおそうと武器屋にいっても、移動するために馬車の乗合所にいっても
全部通常扱い。
「あー、今日満室です」
「なに。バードの仲間にその態度はないだろう。」
「スノウさんがいれば別ですけど。雑居部屋なら」
宿屋までふさげるな! バードはそんなに信用ないのか。
「あ、いいことを思いつきました。私におまかせを」
サイモンがうまくやって見せるというので交渉させてみると、
「そうでしたか。それは、大変でしたね。」
「ええ。それで、宿屋で休んでるんで、いま連れてくるのはあまりにも」
「あ、そうですよね。」
サイモンうまいぞ
「あ、それじゃあ、私からその宿へ伺います。」
おい!サイモン、まずいぞ。俺たちは宿屋さえもないだから!
「い、いいえ、そんな、ご迷惑になってしまいますし。」
「いいえ。スノウさんともう一度会えるなら行きます。今から支度します」
「あ、いえ。あのう」
「なんです?。あ、商品の売買もそこでしましょう。」
「いや…あ…失礼しましたー」
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俺たちは結局別の宿屋に頼み込んだ。
「へぇ。スノウさんのお友達なんですかぁ?」
「ああ。一緒なんだ。そしたら、オレたちに宿をとって来いって」
「そんなこというわけないでしょ。」
「ホントなんだ!」
「わかりました。スノウさんのために用意しましょう。」
うまくいった。
「サイモン、こうやってやるんだ。わかったか。」
「はい、・・・もうめっそうもございません。」
ところが用意されたのは納屋だった。
「ああ? こんなところで寝られるか?!」
「スノウさんは以前ここでいいって上手に寝ましたよ。では、失礼。」
そういって宿屋の亭主は出て行った。
「スノーウ! てめぇー! おぼえておけ!」
「こ、こんなところで寝たなんて、何していたんでしょう。」
「まじだぜ」
俺たちは眠れない夜を明かそうとしていた時、外で大きな騒ぎが起きた。
なんだと外に出るとそこには大きな竜があたりをさまよっている。
「ファースト!」
スノウの飼い竜がもどってきた。オレの声に気が付いてまっすぐこっちに向かった走ってきている。
「ハハハハハハッ! ファースト、よく帰ってきた!」
ファーストはバードのパーティの象徴で最大戦力。これさえあれば無敵だ。
「さあ、おれたちのもとに飛び込んでこい!」
ところがファーストは俺たちの前で止まらずそのまま突進してきた。
「ま、まて! ファースト!」
「ぎえおおお!」
踏みつぶされた。いてぇ! 全身がいてぇ!
「スノー! てめえだけはぜったいぶっころす!」
叫んだとたん全身が悲鳴をあげた。病院にもいけない状況でこれはまずい
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「へ?」「は?」
唖然としているボクたちをまえにフェイリンは胸を張っている。
「意味わかんない。どういうこと?」
「ざまぁあみろってことです。いい気味です。」
ホーリーが耳打ちしてきた。
「言葉づかいがちょっと…」
「うん。ホーリー、以前にもいってたよ」
いつまのにかパーティーメンバー全員が集まっていた。
「なぁ、フェイリン。疑問がある。」
ザードが手を挙げた。
「それはどこでみた情報だ。」
「王都から少し西の宿場町だそうです。」
「ホーリーほんとか」
「報告は王都に近い教区です。」
「合致するな。」
フェイリンが心配そうにボクに近づく
「スノウさん。ファーストはこっちに向かってくると思います。
依頼されたファーストの捜索。途中経過となりますが、
ガッツさんたちをぺしゃんこにしたあと、突然向きをかえ、
いま、確実に向きはこの街です。」
ど、どうしよう。ボクもふみつぶさちゃう!
よく召喚士冥利につきる最高の最後と学院で笑っていたやつだけど、
ボクがそうなっちゃった。
「お前の不安になる気持ちはわかるが、絶対にそうはならん。」
「どうして?」
「王都から近い西の宿場町ってことは、俺たちが最後にあった宿からすると
北へ戻っている。俺たちがなぜあの宿に泊ったのか。
それは、王都の入口が南側しか入れず、回るしかなかったからだ。」
そうだ。そして、東側のダンジョンとは別で、西側ともダンジョンができてしまって、これを超えないと王都には到達できないから、その前と泊ったんだ。
「スノウ。そういえばお前は「ボクいいですから」と遠慮して納屋にとまったな。
遠慮じゃないよな。ほんとは、あそこで何してた」
「えっと…」
「ドラゴンたちを、あそこで、大量放出して、休ませていた。」
「…うん。そのとおり」
「だからだ。だからファーストは自分の知っているねぐらに帰ってきたんだ。
お前がいると信じて」
ザードが僕の前にきた。
「おまえはファーストと面と向かったあわなきゃならね。
オレたちの時みたいな方法ではなく、面と向かって、きちんと親として再会しろ。
それは死ぬことじゃない、責任をとることじゃない。
帰ってきたわが子と喧嘩となってもいい。しっかりとこの」
ザードがボクの腕をつかんだ
「細くて白い腕で抱きしめてやれ。」




