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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第二章

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聖女様の転入



 ユーリス先生が任務で不在の間、アシュレイ殿下と課題をこなし数日が過ぎた。


 その週末「聖女様が召喚された」というニュースが国中を駆け巡った。


そう、召喚(・・)されたのだ。



 そして、週明け…


「えっと、聖女の安達優花です。よろしくお願いします」


 学院に聖女様が転入されることとなる。

私達と同じ学院に通うご年齢ということもあり、まず我が国を知っていただくため、召喚されて早々に学院入学が決定したそうなのだが。


 ち、近づけない…。


「婚約者のいらっしゃる殿方と始終ご一緒というのはどうなのでしょう?」


「あれは聖女様のご意志なのでしょうか?」


「それはそうでしょ、嫌なら断ることもできるはずよ。なんたって聖女様なんだから」


 聖女様の学院転入から数日、私の周りのご令嬢達は早くも聖女様に対し憤慨していた。


 それもそのはず、どこに行くにもロジェット殿下やその側近候補の方々とご友人方が聖女様の周囲を取り囲んでいる状態なのだ。


見方によっては、聖女様が既に婚約者のいる男性達を侍らせているようにも見えるだろう。

これは、非常にまずい。


 ユーリス先生の言に従い、聖女様と交流をと思うのだけど…。


 私はあの魔法実習の授業以降、ロジェット殿下の視界にも入れていただけない為、聖女様にご挨拶することもままならない。


それどころか聖女様よりロジェット殿下達の方が背が高いこともあり、聖女様のお姿をまともに拝見したのは転入直後に自己紹介された時のみだ。


 同じクラスなのに…!


「フィリリア様はどう思われますか?」


「ええと…私は、状況が分からないので何とも…聖女様が過ごしやすい環境であれば良いなとは思いますが」


 突然話を振られて焦る。

何とか誤魔化せているといいのだけど。


彼女達が聞きたいのは、ロジェット殿下の婚約者としてどう思うか?だということは分かっている。


 正直なところ、ロジェット殿下の婚約者として10年以上勤めてきた私としては…


ロジェット殿下が他の女生徒とご一緒されていることは今までもままあるので、そこはどうでも良い。


ただ…もし現状がお嫌だった場合、こちらの世界に来て間もない聖女様がロジェット殿下の圧の強いご厚意(・・・)を断れるのかが不安だ。と思っている。


 学院が終わった後、アシュレイ殿下に王宮での聖女様のご様子を聞いてみよう。


 そう思っていたのだが…



「え…お会いできてない…!?」


「はい。僕の方もこの間の入学前テストの結果が兄上の時を上回っていたらしく…それ以降、口を聞いていただけなくて」


 そうか、アシュレイ殿下も来年は学院へご入学される。

そろそろ最初のクラス分けのテストの結果が発表されていてもおかしくない時期だった。


「それは、その…アシュレイ殿下は大丈夫ですか?」


「すみません、ご心配をお掛けして。僕の方は大丈夫です。ただ、王宮でも同じように兄上とそのご友人達が常にご一緒で。聖女様に声をお掛けすることもままならず」


 それは本当に大丈夫なのだろうか、色々と…。

まさかアシュレイ殿下までそのような状態とは知らなかった。


ロジェット殿下から拒絶されているのが堪えているのか、心なしかアシュレイ殿下の元気がない。


 それに、ロジェット殿下がアシュレイ殿下を拒否されているのは分かったけれどもう一つ疑念が残る。


「なぜ、王宮に殿下のご友人方まで?」


「…聖女様の護衛だそうです?」


 学院ならともかく、それは王宮の騎士がした方が確実なのではなかろうか。

アシュレイ殿下も不思議に思っているようで語尾が疑問系になってしまっている。


「お食事などは…」


「別室で兄上達と取られています」


「そ、そこまで…」


 徹底している…。

警備が行き届いており比較的安全な王宮で、ロジェット殿下達は一体何から聖女様を守ろうとされているのだろうか…?


「と、ともかく、めげずに聖女様とお話しできるように様子を伺ってみますね!」


「僕の方でも機を見て、なんとか聖女様との接触を試みてみます」


 お互いに聖女様と交流を持てるよう努力する方向で固まったのは良いが、やはりアシュレイ殿下はかなり沈んだお顔をされている。


聖女様やロジェット殿下の件以外にも何か落ち込まれることがあったのだろうか?


 ユーリス先生のようにはいかないかもしれないけれど、私もアシュレイ殿下のお心を少しでも軽くすることができれば…と思う。



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