表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

【第4章|イェニチェリの影と法の詩】



『帝国のかたち ― スレイマン大帝の都にて』


(キャラクター名変更版)


――場所:16世紀のオスマン帝国、スレイマン1世の宮廷都市・コンスタンティノープル


リィアたちは、黄金に輝くスレイマニエ・モスクを背に、喧騒と香辛料の匂い立ち込める石畳の市場に立っていた。


リィア「スレイマン1世の治世って、オスマン帝国の絶頂期なのよ。領土だけでなく、法制度や文化も含めて“帝国らしさ”が完成した時代ね」


エファ「“立法者スレイマン”と呼ばれる所以、ですね。具体的には、どんな法律を整えたんですか?」


リィア「まず重要なのが、シャリーア(イスラーム法)に加えて、スルタンが発布するカヌーン法を制度化したこと。宗教的原理だけじゃ統治できない現実に対応するため、政治・財政・軍事のルールを補完したの」


セイル「つまり、二種類の法律があるってこと? 混乱しないのかな?」


エファ「むしろ合理的だったのよ。たとえば、税制度とかはカヌーン法で決めた方が現実的ですし。そうしないと、軍の給料も払えない」


リィア「その通り。オスマン帝国では、軍人に土地の徴税権を与えるティマール制が採られていて、徴税と軍事動員をリンクさせていたわ。一定の収入を持つ軍人が、戦時には兵を連れて参戦する仕組み」


セイル「あ、それって“中世の封建騎士団”みたいな感じ?」


リィア「似ているけれど、中央集権が強く、制度として洗練されてた。加えて、オスマンには“皇帝直属”の常備軍――イェニチェリがいたの」


エファ「イェニチェリって、確か……元はキリスト教徒の子ども?」


リィア「そう。バルカン半島でのデヴシルメ制度によって、非ムスリムの少年を徴用、改宗させてエリート兵士に育てたの。忠誠心が高く、火器を用いた精鋭部隊だった」


セイル「うわ……現代なら絶対アウトだな、それ」


リィア「でも帝国としては極めて合理的だった。常備軍は皇帝の権力を支える柱だから」


エファ「そして、文化面でも“黄金時代”。スレイマン自身が詩を詠む**“詩人君主”**でもありましたよね?」


リィア「ええ。彼は“ムフティー(法学者)”とも協調し、カディ(裁判官)制度や**ワクフ(寄進制度)**を活用して、都市や貧民救済にも力を注いだ。建築家ミマール・スィナンのモスク建設も象徴的ね」


セイル「うーん……なんか、強いし賢いし詩も書くし……ズルくない?」


エファ(皮肉っぽく)「あら、あなたも詩の一つでも詠んでみたら?」


セイル「お、俺だって――

“空腹に モスクの前で 立ちすくむ”……どうよ?」


リィア「……それは詩というより、現地民の愚痴ね」


対応する一問一答(入試形式)

1.「立法者」と呼ばれたスルタンは誰か?

 → スレイマン1世

2.スレイマン1世が整備した、シャリーアを補完する世俗法は何か?

 → カヌーン法

3.軍人に土地の徴税権を与えるオスマン帝国の制度は何か?

 → ティマール制

4.非ムスリムの少年を徴用してイェニチェリに育てる制度は?

 → デヴシルメ制度

5.スレイマン1世の治世に活躍した建築家は誰か?

 → ミマール・スィナン

6.裁判官制度の名称は?

 → カディ制度

7.慈善や教育目的の寄進制度の名称は?

 → ワクフ

8.イェニチェリのような常備軍がスルタンに対して持つ役割は?

 → 皇帝への忠誠を担保する軍事基盤

9.スレイマン1世の文化的側面として特筆されるのは?

 → 詩人としての才能

10.スレイマン1世の治世が“黄金時代”とされる理由は?

 → 法、軍制、文化の整備とバランスが取れていたから


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ