【前世】第16章4話 赤と翠 共闘
下で
翠の影が急降下する
シュー
全力で
背中を開く
盾になるために
バサァァァッ!!
翠の翼が
最後の風を掴む
落下線へ割り込む
ドンッ!!
衝撃
受け止めた
骨が
ミシ……と鳴る
翠のオーラが
バチィィッ!!と爆ぜる
それでも――
落とさない
その意志の塊が
二人を包んでいた
地面が迫る
最後――
シューが翼を折る
滑る
逃がす
ドガァァンッ!!
砂と草が舞い
大地が揺れた
沈黙
ラヴィは生きていた
カイザーも
シューは
人の姿へ戻った
だが――
ビクッ
右腕が跳ねた
続いて
肩
背中
脚
全身の筋肉が
痙攣する
ガク……
膝が落ちた
呼吸が乱れる
肺が焼ける
立とうとしても
力が入らない
翠のオーラが
パチ……ッ
と小さく弾けた
翠の光が
乱れている
身体が
まだ空の形を
覚えているみたいだった
筋肉が
悲鳴を上げている
それでも
シューは倒れない
歯を食いしばる
視線だけは
ラヴィとカイザーへ向いていた
落とさなかった
守れた
その確認だけが
先だった
カイザーが
静かに息を吐く
安堵は短い
だが
確かにあった
ラヴィは
地面へ手をついたまま
呼吸を整えた
肺が痛い
喉が焼ける
それでも
笑いそうになる
生きている
守られた
赤と翠が同時に
自分へ届いた
その意味だけが
胸の奥で熱を持っていた
だが――
森の奥で
青黒いオーラが
ズ……ン……と沈む
気配は消えない
潜っただけだ
暗闇の中で
冷たく響く
ソォラァ……シシシィ……
“音”だけが
笑うみたいに残る
ラヴィの背筋が
ゾワ……と逆立つ
助かった
だが
終わっていない
カイザーも
シューも
同時に
森の奥を見ていた
平和の匂いは
もう戻らない
少なくとも――
今この瞬間だけは
風の味が
変わっていた
二度と
元には戻らないみたいに




