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五郎とたまの、のんびり四季ごよみ  作者: 浅見つむぎ


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5/9

「ひんやり小川と青いおさかな」

五郎:初夏の山刀と、研ぎ澄ます音

朝のうちはまだ空気がひんやりとしていて、気持ちが良い。


朝食を済ませ、縁側に腰を下ろして愛用の山刀サバニを引き抜く。


この時期の山は草木が生い茂り、蔦や小枝を払う機会が増えるため、刃物の手入れは怠れない。


砥石に水を少し滴らせ、刃をあてて静かに前後に動かす。


シュッ、シュッ、と規則正しい音が静かな庭に響き渡る。


刃先が朝日に美しく光るのを確かめ、最後に軽く油を引いて鞘に収めた。


「にゃお」


見上げると、たまが縁側のすぐ側にある物干し竿の上から、じっとこちらを見下ろしていた。


まるで私の手元を品定めでもしているかのような、真剣な目付きだ。


「よし、たま。今日も少し奥まで歩くぞ」


声をかけると、たまは器用に竿の上で身を翻し、トンと地面に降りて私の足元に寄り添った。


たま:初夏の山刀と、研ぎ澄ます音

朝のご飯が終わると、五郎は縁側に座って、腰から大きくてピカピカする「刃物」を取り出した。


たまは、お外の細い棒(物干し竿)の上に飛び乗って、高いところから五郎をじっと見つめる。


五郎が四角い石に、お水をちょんちょんと垂らす。


それから、シュッ、シュッって、とっても静かで かっこいい音をさせながら、刃物をこすり始めた。


たまはその音が聞こえると、なんだか背中がシャキッとする。


五郎の目が、いつもより少しだけ真面目で、鋭くなっているのも知っている。


「よし、たま。今日も少し奥まで歩くぞ」


五郎がこっちを見て、低い声でお話しした。


たまは「はーい」って心の中で言いながら、高い棒の上から地面にぴょんと飛び降りる。


五郎の長靴の横にぴったりくっついて、きょうの冒険の準備はいつでもばっちり。

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