理想的な追加点
四回表。
最奥は落ち着いた表情でマウンドに立つ。
一番打者を二球で追い込み、最後は外角低めのストレートで見逃し三振。
審判「ストライク! バッターアウト!」
続く二番打者は粘られる。
七球目。
カキンッ!
打球は三遊間へ。
だが、三谷が横っ飛び。
グラブに収めると、そのまま一塁へ矢のような送球。
審判「アウト!」
スタンドから拍手が起こる。
観客A「さすが三谷だ!」
観客B「あの守備は高校トップクラスだな。」
二死。
三番打者。
最奥は首を横に振り、捕手・飯塚のサインに頷く。
シュッ!
ドンッ!
審判「ストライク!」
追い込むと、最後はフォーク。
空振り三振。
三者凡退。
最奥は静かにベンチへ戻った。
飯塚が肩を軽く叩く。
「いいテンポだ。」
最奥は短く答える。
「一点あれば十分です。」
四回裏。
先頭は一番・三谷。
初球から積極的に振り抜く。
カキンッ!
打球はレフト前へ。
無死一塁。
続く柳田は送りバントを決める。
一死二塁。
三番・馬能。
追い込まれながらも右方向へ流し打ち。
二塁ランナーは三塁へ進む。
二死三塁。
再びチャンスで四番・飯塚。
球場全体が静まり返る。
初球。
シュッ!
カキィン!!
打球はライナーでセンター前へ。
三塁ランナーが生還。
2-0。
飯塚は一塁ベース上で拳を握った。
安条ベンチが大きく盛り上がる。
古田監督も小さく頷く。
「理想的な追加点だ。」
その頃、ベンチの嶋口はバットを握り直していた。
次の打席。
今度こそ、自分のバットで試合を決める。
そんな思いが、胸の中で静かに燃え始めていた。




