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隣のOLが、俺の部屋で宅飲みしている  作者: 白い彗星
第三章 夏の海と、海辺で揺らぐ距離

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第17話 スクール水着だって立派な水着だぞ



 築野さんとその妹楓ちゃんに引っ張られ、海へ。足が水に浸かり、冷たさを感じる。

 すでに海に潜り遊んでいた詩乃さんと宇宙くんは、実に楽しそうだ。こうなりゃ、俺たちもうんと楽しむか!


 泳いだり、水をかけあったり、のんびりと浮かんでみたり……思いつく限りの遊びをしていく。


「それにしても、楓ちゃんはわりと泳げるんだね」


 驚いたのが、楓ちゃんだ。浮き輪必須の兄に対し、まだ小さいのに結構泳げているのだ。

 もちろん、楓ちゃんの年にしては、だけど……それにしたってすごい。ビート板や浮き輪なしなのだから。


 宇宙くんは少し不服そうだった。兄の威厳……ってやつかな。

 だが、ムキになっても仕方ない。こればかりは慣れだからな。


「お姉ちゃん、泳ぎ方教えて!」


「ふふ、いいよー」


 宇宙くんはすっかり詩乃さんに懐いたみたいだな。

 俺も泳ぎ方を教えてもらいたいよ……教えてもらわなきゃいけないほど、下手なわけでもないけど。


 詩乃さんとの、きゃっきゃうふふをイメージしていたが……


「はい、足をバタバタして。力は入れなくていいからね」


 ……小さい子に指導している詩乃さん。これはこれで良き……!


 俺も手を引っ張ってもらって、バタ足指導を受けながら……いや、絵面的にさすがに恥ずかしずぎるわ。

 とはいえ、海はまだ始まったばかり。今は小さい子たちの相手でいっぱいだが、後でしっかり詩乃さんとも遊ぼう。 


「おや、もしかして築野ちゃんじゃない?」


「え?」


 俺たちは俺たちで遊んでいたところ、築野さんを呼ぶ声があった。

 首を動かすと、そこにはおかっぱ頭の女の子が立っていた。当然水着を着用している、それはいい。


 ……のだが……


「え、椎名ちゃん?」


「やっぱりー。偶然だね」


 ……築野さんは驚いていたが、すぐに笑顔になった。やはり知り合いか。

 二人はお互い近寄り、そのままハイタッチをする。


 お友達……だろうか。見たことはないが、築野さんは交友関係広いからな。

 見た感じ、同い年かな?


「んー? ほほぉ……築野ちゃん、やるねぇ」


「な、なにが……!?」


 なんだろう、俺に対する視線を感じる。初対面のはずだが。

 それも、やたらと楽しそうに。そんなにジロジロ見られると恥ずかしい。


 それから楓ちゃんにも目をやり、笑みを深めた。


「夫婦ごっこ?」


「違います!」


 ……なんかとんでもない言葉が聞こえた気がするんだけど。


「いやでも、そう見えるって。子連れの夫婦ってね」


「え、そ、そんな……夫婦なんて……」


「いや、俺たちまだそんな老けてないと思いますよ?」


 俺はともかく、築野さんに失礼だろう。もちろん、本気で言っているわけではないだろうが。

 ここはやんわりとフォローしておこう。


 ……なぜだ、二人からの視線が冷たくなったように感じた。俺変なこと言ったか?


「ところで築野さん、この人はどちら様?」


「! そっか、白鳥はまだ会ったことなかったんだね


 はっとしたように、手を叩く。

 会ったことがない、とは?


「こちら、バイト先の先輩……椎名 太郎(しいな たろう)さんだよ」


「どもー」


 そのまま手で示し、紹介してくれる。なるほど、バイト先の人か……確かに、会ったことはない。

 同じバイト先なら、いずれは会うことになるだろうが……


 それよりも……太郎?


「キミが例の新人くんか、よろ。

 名前のこと弄ったら沈める」


 なにも言ってないのに、睨まれた。怖いっ!


「ええと、白鳥 甲斐です。

 ……お友達? 学校じゃ見たことないけど」


「それはそうだよ、学校が違うから」


 なるほどね、クラスではなく学校が違うから、見たこともない……と。

 てことは、バイト先で仲良くなったんだろう。


「海に来たら、まさか築野ちゃんが男連れて遊んでるなんて。驚いたわ」


「言い方! 私としては、海にスクール水着で来てることが驚きだけど!?」


 珍しい築野さんの姿……だが、無理もない。


 なぜなら椎名さんが着ているのは、スクール水着なのだ。

 いや、海にスクール水着はダメって決まりはないけど……さすがに他に、同じ人は居ない。ある意味目立つ。


「なんだ後輩、体型が幼いとでも言いたいのか」


 椎名さんは、じろりと俺を見る。またなにも言ってないのに……考えていたことが、バレてしまったのか?

 そこまで考えていたわけではないが……高校生で海にスクール水着というのは、予想していなかったというか……


「そうは言わないけど、大学生なんだからもう少しちゃんとした水着をさぁ。ねぇ白鳥?」


「そうそう、大学生なんですか……ら?」


 ありがたく築野さんのフォローに乗っかろうとしたが、無視できない言葉が聞こえた。

 今……大学生って言った?


「だい、がく……?」


「そうなの。椎名ちゃん、こう見えても大学生なんだよね」


「こう見えてもは余計」


 ……驚きすぎて言葉も出ない、とはこのことだ。そして、開いた口が塞がらない、とも。

 そんな俺を、築野さんは苦笑いして見ていた。


「言ったでしょ、学校が違うって」


「それそういう意味!?」


 単に、通っている高校が違うって意味じゃなく……

 高校と大学と区分が違うってことだったのかよ。


 それにしたって、彼女が大学生に見えないのは、体型の理由だけじゃなく……


「遠慮なしに話していたから、てっきり……」


 築野さん、年上は敬うタイプだし。同じ高校生……それも一年生かと。

 あれは同級生に話すような態度だったから。


「私が許してるんだ。築野ちゃんとは気が合うし」


「そういうもんですか」


 まあ、本人たちが納得しているならいいけど。


 すると築野さんが、俺に耳打ちする。


「けど、名前に関しては……みんなに名字で呼ばせてるみたい。白鳥も、下の名前で呼んじゃだめだよ?」


「うん、わかった」


 太郎という名前や、先ほどの反応。本人としては不本意なものなのだろう。


「それに……私だって、名前で呼ばれたことないし」


「ん?」


 離れた築野さんがなにやら呟いていたが、波の音に消され聞こえなかった。


「……なるほど、そういう感じね」


「?」


 そして椎名さんが、俺たちを見てなにやら意味深に頷いていた。しかもにやりと笑っている。

 なんか怖い……


「なぁ後輩、スクール水着だって立派な水着だぞ。学校の授業で使われるくらいだ、利便性は申し分ない。

 それに、男はスクール水着が好きなんだろう?」


「どこ情報ですかそれ!」


「だから、築野ちゃんもスクール水着を着れば、後輩もドキドキするんじゃないか?」


「え……そうなの、白鳥?」


「別の意味でドキドキはするよ」


 ……悪い人じゃないんだろうが、苦手だこの人……

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