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最低最悪の王子の最期と、穏やかには過ごせそうにない予感がする現在

 それはあっという間の出来事だった。

 侵入してきた美しい王子と仲間達は、一瞬で全ての王族の命を奪った。  

 王族以外は誰一人ケガをする事も無く、入念な下調べをしていたようだった。 

 そして、王子は言った。


「わたしは今、この時、リコリスの王となった。これからは、誰も虐げられる事の無い幸せで豊かな国となるように尽力していく!」


 会場にいた全ての人が一瞬静まり返った後、歓声を上げた。

 貧しい人だけでなく、豊かに暮らしていた貴族も王族に怯えて暮らしていたのね……

 でも、恐ろしかった王族を一瞬で倒したこの王子……

 簡単に信じてもいいのかな?

 まだ、あどけなさも残る感じには見えるけど、あの王の血をひいている。

 悪い人という事は無いのかな?


「うう……」


 え?

 元婚約者の王子が苦しそうに声を出している。

 生きていたんだね。

 でも……

 もうダメそうだ。


「殿下……」


「……アン……母上は……?」


 首を横に振るわたしの姿を見て、王子が涙を流す。


「すまな……かった……アン……傷つけて……すまな……」


 王子が謝る姿を初めて見た。


「いつも……誰かの……せいにして……逃げて……卑怯だった……」


 王子……


「怖かった……母上が……だから……いつも母上の言う通りに……生きて……」


 ずっと近くで見てきたから知っている……

 王子が虐げられてきた事も……

 自分の意思を全部潰されてきた事も、その度に傷ついてきた事も知っている。

 だから、王妃様のお気に入りのわたしを憎んでいたんだ……


「やっと……自由に……」


 苦しそうに顔を歪める王子が穏やかな表情になる。


 あぁ……

 王子は、エミリアとお腹の子の所に行ったんだ……

 王子、今度こそ幸せになって……



 新王はスラム街や過疎地の人々の家を建てたり、橋を渡したり、下水を整備する仕事を貧しい民に与えた。

 橋を渡す仕事をした民には、かなりの額を支払ったらしい。働きに見合ったお金を貰える事がわかると民は喜んで働いた。

 また、前王の時には許されていなかった露店商を許可して、各地に露店商市場が作られ、街が活気づいた。

 家を持ち、仕事も与えられリコリス王国の人々は笑顔で暮らすようになった。


 わたしがやりたかった事をたった数ヵ月で……

 信じられない……

 もちろん、貴族達の中には新王のやり方に反感を持つ人もいるけれど、圧倒的な強さと、民を導く力には一目おいているようだった。

 

 新王は驚く事にまだその時、十四歳だった。

 まさか、同じ年だなんて……

 新王は、娘を王妃にしたい貴族達が煩わしくて、公爵家と侯爵家の年頃の娘を全員お妃候補にした。

 前王の王子の時は皆嫌がっていたのに……

 それだけ新王は立派な王という事かな?


 また、お妃候補に戻ってしまった……

 まあ、わたしが選ばれる事は無いだろうし、これからはのんびりスイーツ店巡りでもしようかな?


 でも、最近わたし付きになった騎士がやたら好意を向けてくるんだ……

 男は王子で懲りているから……

 一生独身でのんびり暮らしたいよ。

 もう、振り回されるのはうんざりだ…… 

 

 あぁ……

 でも、ピンチの時に突然素敵な人が現れたりとかしたら……

 好きになってしまうかも……

 


 って、あれ?

 わたしが、聖女様の先生になるって!?

 しかも初恋の相手が、すぐ裸になりたがる変態!?

 わたし、もしかしてとんでもない事に巻き込まれている!?

 これから一体どうなるの!?

 ただ穏やかに暮らしたいだけなのにいぃぃぃ!

 

これから先のアンジェリカの物語は本編へと続きます。


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