02話 屋敷の外は、
暫くは乙女ゲーム関係ないです。
学園に入ってから本格的にスタートします。
あ、題名変えようと思います。
「合格です。街へカイサ様達に内緒で行っても構いません。」
一年。一年という時間をかけてアルはようやく街への外出を許可された。
「ありがとうございます。」
不機嫌そうに下を向いて喋るアル。しかし、よく見ると押さえきれずに口元がニヨニヨと緩んでしまっているのがよく見える。
「では、私は街へ行っても宜しいでしょうか。」
口調も、ここ一年でかなり矯正した。
「良いですが、抜け出してもいいのは一週のうちの二日のみです。いいですね?」
「はい。」と言いつつコクリ、と頷きそのまま踵を返して走り出し部屋を出てしまった。
しかし、一年とはいえアルの伸び代は全く見えませんでしたね、と家庭教師は呟く。
特に魔法の上達には目を見張るモノがあり、素晴らしい逸材だと言える。
「それだけに、考えが甘いのがいけないですね。」
そう、アルは圧倒的に考えが足りなかった。
子供だからだろうか?
仮にも貴族の息子がそう簡単に外に出られる訳が無いのだ。
そう、実はライルは両親(カイサ達)に既に相談して、護衛を気付かれないように尾行させることになっている。
「どちらにせよ、カイサ様やロウ様ももっと分かりやすい形で愛を注いで欲しいものです。そう、私に弟に示す愛のようにね。」
ライル(ブラコン)がそんなことを言っているとき、アルは始めてばかりの街の様子に興奮していた。
「これは凄いな。街とはこんなにも活気があるものだったか。それに堅苦しい喋り方を使わずに住むしな。」
アルが今居る場所は様々な人々が入り交じる市場。
魚を売る人。
脂を売る人。
花束贈呈を売る人。
はたまた何に使うのか分からない穴の空いたコップまで、本当に様々なモノが売られていた。
「なぁ、オジサン。」
「おい、俺はまだオジサンじゃねぇ、お兄さんだ。」
「それは何だ?」
そう言ってアルが指差した先には小さな四角い、黒い箱があった。
「あぁ、それはなぁ。最近発明された魔道具でな、なんでも遠くにいる人とすぐに会話が出来る代物らしい。なんでも魔道具職人の間で《若き天才》、なんて呼ばれている奴が作ったらしい。凄いとは思わねぇか?」
「あぁ。そう思う。これを作った奴に一度会ってみたいものだな。」
「だろうだろう!…………………ん?そう言えばガキ、お前妙に身なりがいいがどっかの商人の息子か?」
突然の質問にビクッとなり、慌てて答えるアル。
「そ、そうだ。そうだが……………何か?」
「おぉ、そうか!ならここは一つどうだ?俺の店に最新の魔道具とかをおろしてくれないか?」
「取り扱っているのは香辛料とかだからそれはムリだな。」
やってしまった、と思いつつも必死に誤魔化すアル。
「む、そうか……………なら仕方ないな。」
その後、道具屋から出たアルは服を買いに行こう、と思ったのだった。