第21話 結婚式準備
前半ルーカス視点、後半シャルル視点です。
(ルーカス視点)
結婚式の配置図面を見て絶句した。
警備が多すぎないか?
ラーゼン「殿下の控え室は?」
エドワード「必要ない」
ウィルド「なんで視界ゼロなんです?」
エドワード「彼女は見世物じゃない」
俺「新婦控え室前の警備2人は、まぁわかるが、式場入口の警備多くね?」
エドワード「シャルルの安全の為だ」
俺は思い切って口を開く
「なあ、エドワード」
「なんだ」
「お前、シャルル嬢を“守る”って言葉で“管理”してないか?」
一瞬。
ほんの一瞬、彼の動きが止まった。
俺は、踏み込む。
「彼女、最近どうだ?」
「穏やかだ」
「笑ってるか?」
「笑っている」
「本音、言ってるか?」
沈黙。
「……問題ない」
その答えが、答えだった。
俺は、深呼吸した。
「エドワード。俺は、お前の味方だ」
「だが」
声を低くする。
「それでも、これは違う」
エドワードは、静かに首を傾げた。
「何がだ?」
「全部だよ」
「自由も、愛も、お前の中だけで完結してる」
彼は、笑った。
優しく。
「俺は、間違っていない」
「彼女は幸せだ」
……だめだ。
「じゃあ、聞く」
俺は、最後の賭けに出た。
「シャルル嬢が『離れたい』って言ったら?」
即答。
「ありえない」
「仮定だ」
「不要だ」
目が、冷たい。
「その言葉は、彼女を壊す」
背筋が、ぞっとした。
「壊す?」
「そう」
「俺が整えている世界から、彼女を引き剥がす」
淡々と。
「それは、暴力だ」
俺は、笑ってしまった。
「……逆だろ」
「逆じゃない」
エドワードは、静かに言う。
「彼女は、俺の中で生きている」
その瞬間。
俺は悟った。
止められない。
理屈でも、力でも、正論でも。
「……分かった」
俺は、肩をすくめた。
「忠告はした」
「ありがとう」
エドワードは、穏やかに言った。
「だから」
ゆっくり、続ける。
「式当日は、余計なことをするな」
「……は?」
「警備の都合上、君の動線も制限する。ラーゼンとウィルドもだ」
にこやか。ラーゼンとウィルドは唖然としてる。
「シャルルに、余計な不安を与えないためだ」
俺は、乾いた笑いを漏らした。
「なるほど」
「俺らも、“守られる側”か」
「そうだ」
即答。
俺は、背を向けた。
廊下を歩きながら、思う。
エドワードは、悪者じゃない。
狂ってもいない。
ただ。
愛の定義が、誰よりも強固なだけだ。
そして、それを、壊せる者はいない。
振り返ると、
彼はもう図面に戻っていた。
結婚式は、完璧に行われる。
――誰にとってかは、分からないまま。
影で見ていた王妃陛下の姫君の王女2人 。
「エドワード兄様、異常よね?」
「執着の仕方に怖さを感じますわ」
「まさか、準男爵令嬢の為に継承権放棄とか正気の沙汰じゃないわ」
「自由が無さすぎて私なら逃げますわ」
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(シャルル視点)
結婚式の準備は、思ったより賑やかだった。
「こちらのドレスはいかがかしら?」
「花は白を基調に?」
「准男爵家としては破格ね……」
王城の一室で、たくさんの大人たちに囲まれている。
国王陛下と王妃陛下は、とても穏やかだった。
王妃陛下は、私の手を取って微笑む。
「緊張していらっしゃる?」
「少しだけ」
「大丈夫よ。あなた、とても可愛らしいもの」
……普通に優しい。
側妃殿下――エドワードのお母様も、上品に微笑んでいた。
「この子、昔から自分のことは後回しで」
「良い伴侶ができて安心しましたわ」
その言葉に、私は思わずエドワードを見る。
彼は、いつも通り落ち着いている。
王太子殿下は少し苦笑気味だった。
「……君の方が、早いとはな」
「兄上も、ローズ姉様と早く挙げれば良いのに」
あ、先輩のローズ様。
王太子殿下の婚約者だった。
お姉様になるんだ。
王太子殿下は、それ以上何も言わなかった。
他の王子や王女たちは、
好奇心と警戒が混じった視線を向けてくる。
でも。
誰も、反対はしない。
私は少し不思議に思った。
――あれ?
思ったより、平和?
ドレスの採寸を終えたあと、
エドワードは自然に私を外へ連れ出した。
「少し休もう」
「はい」
廊下を歩きながら、私は正直な感想を口にした。
「王族の皆さん、優しいですね」
エドワードは一瞬、目を伏せた。
「……君には、な」
その言葉の意味、
婚約発表した時の、
「彼女を傷付ける者は誰であろうと容赦はしない」
王族であっても、って意味、なのかな...
お読み頂きありがとうございます。
シャルルに優しくしないとエドワードが怖いですからねw
次回もお楽しみに。




