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目覚めたらピンク頭の屑ヒロインだった件~罰は醜怪騎士団長との婚約だそうです  作者: 灰銀猫


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聖那と王子の現状

 聖那が見つかったとのクローディアの言葉に、私とセラフィーナは直ぐには反応出来なかった。ごめん、またフリーズしてるよ、私。そんな高性能な脳じゃないから想定外の処理は弱いんだって…!


 聖那と王子の捜索を始めてから一月半余り。王家やマクニール侯爵家の影を使って捜索していたのに、聖那の痕跡は欠片も見つからなかったんだよ?影を使えば人探しなど容易で、それが黒髪黒目のこの世界では珍しい容貌をしているとなれば、一月もあれば十分の筈だって二人は言っていたんだから。


 だから私達は、聖那の身体は日本にあるのではないかと、そちらの可能性を強く疑うようになっていた。

 実際、私の最後の記憶は車か何かに轢かれる寸前だったから、もしかしたらそのまま…という可能性も考えていたのだ。これは王子が死んだと言うのも同然なので、さすがに二人には言えなかったけれど…


(本当に…聖那が?よく似た別人じゃなくて?)


 正直言って、俄かには信じられなかった。いや、信じたくなかったのかもしれない。チラ…とあの人の顔が浮かんだ。


「…それで、聖那は今どこに?」

「ああ、今は赤晶騎士団と一緒に王都に向かっている」

「赤晶騎士団?それって…」

「お兄さまの所属する騎士団ですわ」

「ああ、そうだね。実はセラフィーナの兄君のライナス殿も一緒だ」

「兄が…」


 セラフィーナが複雑な表情を浮かべたのは、異母兄との仲が上手くいっていないせいだろうか。そう言えば私もまだ会った事はなかった。国境周辺の警備のための遠征に出ていると聞いていたけれど、何ともまぁ、こんなところで異母兄と繋がるとは…


「まだはっきりした事はわからないが…聖那とみられる女性が国境の森で倒れていたらしい。それを保護したのが赤晶騎士団だったんだ」

「国境の…森?」

「ああ。特徴が聖那によく似ていると、影から報告が上がってきたんだよ。影は騎士団に所属している者もいるからね。距離があるから報告に時間がかかったらしい。今は内々に王都に連れて来て貰っているんだ。あと一週間ほどでこちらに着くだろう」


 どうやらマクニール侯爵家の騎士が書いた似顔絵が功を奏したらしい。あれはかなり似ていたから、本人の可能性が高いかもしれない。うん、やっぱり百聞は一見に如かずだよね。これまで一人もそれらしい人物が上がってこなかったので、俄かに期待が膨らむのを感じた。


「怪我とかは?」

「ああ、そっちは問題ないらしい。目立った怪我はないそうだ」

「そっか…」


 まずは身体が無事な事に安堵のため息が漏れた。怪我をしているんじゃないか、慣れない環境で病気になっていないかと、ずっと心配ばかりしていたからだ。

自分でも言うのもなんだけど、運動もアウトドアも苦手で、森に放り出されて一人で生き延びる自信は皆無だ。そんな私が騎士団と一緒にって…物凄くお荷物感が否めない…


「ただ…」

「ただ?」

「どうも記憶がないらしいんだ。本当にそうなのか、そう装っているのかはわからないけどね」

「はぁああ?!」

「記憶がない?」


 なんてこった!聖那の中の王子らしき人物も記憶喪失?それって…私と同じ便宜上じゃなく?いや、ちょっと待ってよ。それだったら中の人が王子かどうかもわからないんじゃない?


「それって…中の人格が王子かどうかが…」

「そうなんだよ…参った事に…中にいるのが殿下なのかわからない可能性もあるんだ…」


 クローディアが、心底困ったという風に額に手を当ててため息を付いた。


(なんて面倒な事に…!)


 一番のキーパーソンが記憶喪失ってどういうことよ?私と一緒で都合が悪いから黙っておけ~ってノリじゃないの?


 実を言うと私達は、今回の騒動の原因は王子だと思っている。と言うか、ほぼ確信していた。

 というのも…王子の部屋から魔道具が見つかったからだ。この魔道具は古のまだこの世界に魔術があった頃に作られたもので、クローディアが王子の部屋で見つけたのだ。この魔道具の使い方まで書いた古文書付きで。

 引っ込み思案で本が好きと言うよりも本しか好きじゃないんじゃないかと言われた王子は、聞けば王宮図書館の常連と言うか…半ば主だった。そんな人物が魔道具とその取説を持っていて、しかもこの状態なら、もう確定でしかないだろう。いや、そうでなきゃ困る…


「記憶がなかったら…元に戻る方法も…」

「そうなる、かな…」


 王子がいなければ、いや、王子の記憶がなければ、元に戻る事も出来ないんじゃないの?どうやって入れ替わったのか知らないけど。そこは国家機密だからって、私やセラフィーナは教えて貰えないんだよね。何れは…ってクローディアは言っているけど…


「とにかく、聖那の身体が戻ってくるまで待つしかないね」


 クローディアにそう言われてしまえば…全くその通りで、私達は何も言えなかった。



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