#9 白の部屋と日記
昨日は、黒い隠し部屋に入って床の紙を剥がし、暗号をメモしたところまでだったんだよな。
「暗号、ですか…。」
「何に使うかは分からないんだ。それと、この辺りの壁も紙で貼ってあるから、早速外そうか。結構広範囲だからね。」
上の方まであったりとで、剥がすのに時間がかかった。天井近くまで貼ってあったので、チャーリーさんやジョンに頼んだ。
「ふぅ…流石に肩こるねー。」
「はい…あ、ドアだったんですね。」
「でも、数字を入力するみたいだね。4桁の数字…?」
数字なんて何処かにあったか…?それと、あの暗号は?
「昨日見つけられた暗号というのは?」
「あぁ、これよ。」
「これ…逆さに見てみては?」
「え?…あ、確かに!数字ね、これ!」
成程…『EILO』を逆さにすると『0713』に見えるな。つまり、ドアの暗証番号は『0713』?…お、当たりだ。
「ありがとう、ジョン!」
「いえいえ…お役に立てて光栄です。それでは、中に入りましょう。」
ドアを開けると…今度は一面真っ白な部屋だ。
「黒に続いて今度は白か…。」
「目に悪いよねー。」
「あら、ノートがあるわね。…何これ、日記?」
机の上に誰かの日記がある。まるで、俺らに読めと言うかのようだ。
「『今日はお姉ちゃんとクッキーを焼いた。バニラ味とチョコ味で、まるで私達みたい。美味しかった。明日は私の誕生日。何か良い事あるかな。』…これ女の子の日記ね。」
「…あれ、何ページか破れてる。翌日以降のは書いてないね。」
日記の持ち主…誕生日の日に何があったんだ?
今のところは、このくらいしか分からないので、解散する事にした。
「あ、桃太…話があるんだけど。急ぎじゃないんだけどね?」
「分かった、昼食の時でいいか?」
「えぇ。12時集合ね。」
アンと昼食を食べる事になった。何だ、話って。とりあえず、何処か適当に廻るか。
まず最初に、ゲーム部屋に戻った。ダーツは昨日散々な目に遭ったから、暫くはやりたくない。ビリヤードは一人でやった所で面白くはなさそう。案の定、神久夜さんがいた。
「あら、桃太じゃない。丁度いいわ、ちょっと付き合ってくれない?」
「あ、うん…いいけど。何やるの?」
「ゲームかパソコン、それか談話。どれにする?個人的にはゲーム、ってところだけど、この状況だから調べた方がいい気がして。他の人達も情報共有してるんじゃないかなと。」
成程…俺もやってたな。ネット情報は神久夜さん詳しそうだけど。
「じゃあ、談話で。パソコンで調べたい事って特にないし。」
「分かったわ。」
まずは何から聞こうか…と考えていたら、逆に質問された。
「私から聞くわね?仕掛けを解くの、進展あった?」
「あぁ。昨日は黒い隠し部屋で床に暗号が書いてあるのを見つけて、今朝はジョンも加えた面子で、壁にドアが隠れているのを見つけたんだ。暗証番号も分かったし、ドアを開けてみたら、白い隠し部屋があったんだ。」
「多いわね、隠し部屋。他には?」
「机の上に日記があった。まぁ、今やれる限りは解いたな。」
「そう。…それにしても、昨日は散々だったわね…大丈夫?」
「今は大丈夫だ。にしても彼奴、ヤバい奴だな…。」
「見た目じゃ分からない事の方が多いわ。気をつけなさい。」
「はーい…。」
母さんみたいだ…。この人は悪人ではなさそうだな。
「そういえば、昨日俺らが仕掛け解いてた時って、何処か行ってたのか?スーザンと一緒だったし、ゲーム部屋にいる事が多いけど。」
「あぁ、あの時ね。私の部屋にいたのよ。ゲームで気を紛らわせたの。今は落ち着いているから問題ないけどね。」
そうだったのか…
「あ、ちょっとゲームやっていかない?お薦めしたいゲームがあるのよ。」
「結局やるんだな…。」
「いや、本当ちょっとだけだから!それにこれ、脱出ゲームよ。参考になるんじゃない?」
あ、それならやってみよう。しかもこのゲーム、興味があるやつだし。
ゲームするとは言っても、神久夜さんがプレイしてるのを見ているだけだった。でもいいんだ、俺は見る方が好きだし。
「え、これどうやって解くんだ…?」
「こことかに絵があるじゃない?これがヒントなのよ。」
「…あ、本当だ!成程なー」
結局は1時間半ゲームをやって、2周目までクリアした。この人の“ちょっと”って長くないか?時間にルーズな人なんだな…。それにしても、サクサク進んでたな。
「あー、面白かった。本当に見るだけでいいの?」
「いや、俺見る専だから。」
「あら、勿体ない。…いけない、もうお昼時ね。」
え?…あ、もう12時10分だ!アンに呼ばれてたし、待たせてるだろうな。
「うわ、急がないと!」
俺は駆け足で食堂に向かった。




