#10 秘密の言の葉
食堂に着くと、案の定アンは退屈そうにしていた。
「もう、遅いわよ。何してたの?」
「ごめん、ゲームやってた。」
「はぁ…そういう所は普通ね。」
つまり他の感覚がズレてると。ってそこじゃない。とりあえずご飯を取って席につく。
「それで、話って何だ?」
「あまり大きな声出さないで。まず一つ目、昨日の話し合いの時、あんたの声に“拘束感”がしたの。それで、ついポロっとね。能力と関係してるんじゃない?」
え、拘束感…?言葉に?
「…その話、本当ですか。」
ジョン、何でそれを⁉声、やっぱり大きかった?でも皆平然としているな。
「声の大きさのせいではありません。能力を使ったまでです。」
「えっと、それってもしかして…」
「はい、アンさんの心を読みました。私の能力は“読心”です。」
心を読むって事だよな?確かに便利そうだな。
「その反応…何か目星でもついてるの?」
「はい。声が拘束感を持つ…『言霊能力』ではないでしょうか。」
「こ、言霊って何?」
「人の話す言葉の持つ、精霊の力です。使い道によっては凶器になるくらい、効果があるんですよ。」
なるほど、それなら納得だな。
「それで、二つ目は?」
「二つ目ね。これは気のせいかもだし、ここで言っていいか分からないんだけど…昨日のあれがあってか、桃太やチャーリーさんに対してのヘンゼルの目つきが変わったのよ。話していても違和感はないんだけど、ちょっと睨んでるような…いや、睨んでるわね。」
睨んでるって…妹が殺された原因作ったからか…?
「ヘンゼルさん、頭がキレますしね…。ところで、アンさんの能力について、例えば何かありましたか?」
「ここに来てからだけど、死んだお母さんと遊んだ映像が見えるの。小さい頃の私も映ってるわ。」
「残留思念ってやつですかね…『サイコメトリー』という能力じゃないですか、それ。」
そんな能力あるのか!初めて聞いたな。
「にしても博識なのね、ジョンさん。」
「いえ…昔、興味本位で調べていたのです。」
へぇ…俺なら興味が湧いてもそこまでしないだろうな。
「…脱線したから話を戻すけど…兎に角、気をつけてね。チャーリーさんも心配だけど…。」
…あの時、グレーテルはチャーリーさんを庇って、結果テーマに合っているという事で処刑されたんだ。確かに、恨まれてるだろうな。
「あの、桃太様…この後、お供させて頂けますか?」
「あぁ、勿論いいぞ。とはいっても、行き先は特に決めてないんだけど。」
「はい…それでは、倉庫に行ってみませんか。」
倉庫…初めて行くけど、どんななんだろう。
倉庫はやはり、物が沢山置いてあった。ナイフなどの凶器も、梯子などの道具もあった。凶器は流石にコンビニでは売られていない。
「本当に何でもあるんだなぁ…。」
「はい、必要な道具は此処で揃えれば良いんですね。…そういえば、ジャックさん達が脚立を探していたのですが…此処ですかね?」
ジャック達…?二人で脚立を探してみる。折りたたみ式とかなら隙間に入るしな。すると、結構な高さの棚の上にあった。いや、そこかよ!
「まさかこんな上にあるとは…私の背でも、もう少しの所で届きません。桃太様の身長って、確か163cmでしたよね。」
「あぁ。ジョンはどうなんだ?参加メンバーの中でも一番高そうだけど」
「私ですか…194cmです。」
たっ、高くね⁉その身長で届かないとか、どんだけだ?
「どうしましょう、結構な高さの所を調べるつもりのようでしたが…踏台とかってありますかね?」
「ないな。あったらそっち持ってってるだろ。」
「ですよねー。」
「でもどうすれば…。」
「…あ、私が桃太様を肩車すれば取れるのではないでしょうか?」
「かっ、肩車⁉昔なら分かるけど、俺ももう中3だぞ?」
「いえ、鍛えているので問題ありませんよ。」
あの、俺が気になるのはそこじゃない…。男同士だから恥ずかしいし…俺が女だったら事例だぞ?そんな俺の心配を他所に、ジョンは軽々と俺を肩車する。うわ、高いなぁ。
「どうです、取れそうですか?」
「あぁ、大丈夫そうだ。…よっと」
脚立を取る事は出来た。…ジョンが若干辛そうだな。俺は早めに降りた。
「お疲れ様、何とかなったな。じゃ、ジャック達の所行くか。何処にいそうか、分かるか?」
「…コンビニを調べたいと言っていました。天井が怪しいとか何とか…」
「…そうだな、行ってみるか。」
俺とジョンは、試しにコンビニへ向かった。
甘蜜です。もうすぐハロウィンですね。今、ハロウィンネタの話を書いている所です(このシリーズではありません!)。
さて、こちらは桃太やアンの能力も分かってきましたね。ジョンの能力が汎用性高いと言われた理由も、ですね。
次の話がまだ全然書き終わっていないので、少しの間こちらは停止するかもです。デスゲームって書くの難しいんですね。
では、次回も楽しみにして下さい。