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ワラベノエンド  作者: 倉 奈ノ佳
一章 〜自己犠牲の話〜
1/17

#1 此処は何処だ?

 冬のある日。放課後、俺は友達と帰路にいた。俺の名前は小河桃太。母親がメルヘナーで、桃太郎みたいな名前で恥ずかしいので、この名前は好きじゃない。でも桃は好きだから間違ってない気がする。いや、名前に間違いとかないよな。


「着いたな、桃太。少し駄弁ろうぜ」


「別に良いけど。ちょっとポスト確認するわ」


いつも帰りにポストを確認している。溜まると面倒だし。確認してみると、俺宛の手紙が一通入っている。


「何だ、これ…」


「気になるなら読んじゃえばいいじゃん。」


「うん、そうするわ。」


封を開け、中の便箋を取り出す。


『小河桃太様


 冬も深まり、ますます寒くなってきましたね。さて、今度の土曜日にパーティーを開催する事にしました。その参加者に選ばれましたので、ここに場所や時間を記しておきます。

場所 ロータスホール

時間 10時0分


私服でも結構です。お待ちしております。

童人』


誰だよ、『童人』って。つか今度の土曜って明日だぞ⁉そもそも、パーティーになんて応募していない。…でもまぁ、予定は入っていない。


「…へぇ、楽しそうじゃん。行ってくれば?」


「そうだな、行ってみるか。たまには良いかもな、こういうの。」


俺はこの後、そう思った事を後悔する事となる。




 迎えた当日。私服でいいとは書かれていたけど、やっぱりきちっとさせた方がいいな。俺は水色のワイシャツに桃のアップリケ付きの青いベスト、下はフォーマル用の黒の短いズボン。若干子供っぽいけど、フリースを着ていくよりはマシだ。

 今は9時59分。そろそろ時間だ。そして、10時になった直後、急に意識が遠のいた。




 目が覚めると、知らない部屋にいた。辺りを見回すと、童話に出てきそうな服装の人達がいる。…自分も合わせて11人だ。

こんな所でずっと何もしないのも嫌だ。…赤い頭巾をかぶった同い年くらいの女子が話しかけてきた。


「あ、同じ学校の人がいた!…急にごめん、私は赤羽アン。ハーフの中3なの。貴方は?」


「俺は小河桃太。同じく中3、A組だ。昨日招待状が届いてて来たらここにいたんだ。えっと…赤羽さんは?」


「アン、でいいわ。私はE 組よ。境遇なら私も同じなの。多分、他の人達も同じだと思うわ。割と絡みやすいわよ。年も近いし」


俺以外の人も同じ様に…?ロータスホールは俺らの街にある名所の一つ。俺も友達と行った事がある。だから、少なくとも此処が住んでる街から離れていると分かる。とすると、拉致でもされたのだろうか。


 各々が過ごし方を探る中、部屋に付いていたテレビに映像が流れ出した。


「少年少女の皆さん、こんにちは。異界までわざわざありがとうございます。あたしはワラベ、皆さんをサポートさせていただく、本物の魔女です」


魔女…本当にいるんだなぁ。ってそうじゃなくて。


「こんな所に集めて、何が目的なんだ!」


「さぁ、あたしは頼まれてこうしているだけなので分かりません。ですが、皆さんにはあるゲームを行って頂きます。童話に関するゲームです。これ、ゲームでの担当です。」


そう言ってワラベは俺達に一枚ずつカードを渡した。俺のは…『桃太郎』と書いてある。


「そ、それが終わったらここから出れるの?あと、見たところ国籍バラバラだけど…」


「はい。あ、言語の問題はありませんよ。魔法で自動的に翻訳されるようになっていますから。」


「あのー、魔法とか言ってるけど、本当に使えるの?」


「勿論です。…ほら、どうでしょう?」


うわ、本当だ!テレビ近くの暖炉に急に火がついた!異界だし、何でもありなのか?


「それでは、ゲーム頑張って下さいね。先程配ったカードの担当なら話しても結構です。出来るだけ快適に過ごして頂く為、個室も完備しております。…出来るなら、誰も消えないでほしいのですが」


ん、今何か言ったような…。


 画面が消えた。残された俺達はどうしようか…。


「お互い初対面だから、どうしようもないよね。まずは自己紹介でもしておこうか。あ、気使うの禁止ね。」


全員一致で自己紹介をする事に。しかも俺から。


「えっと…俺は小河桃太、中学三年生だ。担当は『桃太郎』らしい。名前は正直気に入ってないけど…」


「大丈夫、良い名前だと思うよ。自信持ちな。」


あ、さっきの人。嬉しいな…


「赤羽アン、ハーフの中学三年生よ。担当は『赤ずきんちゃん』よ。」


さっきも自己紹介したけど、同い年なんだよな。


「僕はヘンゼル・マルテ。グレーテルは僕の妹なんだ。僕達の担当は『ヘンゼルとグレーテル』。そのままだね。」


「グレーテル・マルテですわ。担当はお兄ちゃんがまとめて言いましたわ。」


この兄妹…仲良いんだろうな。


「ジャック・ロックです!未知のものに興味があります!担当は『ジャックと豆の木』ですよー!」


元気そうだな。こういう子好きだ。


「わちきは天衣おとぎ。『天の羽衣』担当らしいの!」


羽衣なんてつける人いたんだ、と思った。


「針打一茶、こう見えて小5だよ。僕の担当は『一寸法師』」


なんか…小さくて可愛い…。


「はぁ、面倒くさ…月詠神久夜。月で姫やってましたー。あ、運動とか本当嫌いなんで。『かぐや姫』担当よ。」


え、マジのかぐや姫⁉いや、そうなんだろうけど…ひきこもりかい!


「モーテン・ルーカスです。『幸福な王子』担当です。別に王子ではありませんが」


「スーザン・スカイ…汚くてごめんなさい。ルーカスさんとは知り合いなんです。『マッチ売りの少女』担当です…」


モーテン…良い人そうだな。この二人も良い雰囲気だな。


「チャーリー・キャラハンだよ。オレの担当は『空飛ぶトランク』だってね!そんな事よりさ、誰かデートしよ?」


チャラい!というか、担当名が全部童話…


 解散後、一度部屋に入ってみる。ベッドも机も完備されている。各部屋に風呂やトイレもある。何があるか分からないので、今のうちに休んでおかないと。

甘蜜です。一回書いてみたかったデスゲーム系です。今回は主人公が草食系でもない男子なので、女子校行ってる身の私にはちと難しいです。あの、口調が。連載ものが増えて、負担が大きく…まぁ自分で撒いた種ですけど。

閲覧ありがとうございました。次も見て下さると…!

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