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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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76◇国軍飛行隊

76◇国軍飛行隊

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さて、次の日から「スカイコンドル」は本格的な訓練に入る。

まず離陸と着陸を低い高度で繰り返し行わせる。

離陸して広場を2周して高度を30m程度まで上げたらすぐに下降して着陸。

当然風向きは周回している最中に確認させる。

これを短時間の内に繰り返しさせることで半日程度で全員が危なげなく離着陸出来る様になった。


さて、ここからはデビット教官の出番だ。

6人が着陸出来る様になったのでもういきなり墜落はしないだろう。

昨晩、叔父宅で夕食後に今日からのトレーニングメソッドの打ち合わせをしていたのだ。

デビッドの操縦技術はもう一人で飛んで不安の無いレベルだが、人に教えるにはまだ少し足りない。

そこで俺の教育方針を伝えて効率的な学習をさせたり、不測の事態に備えることを覚えてもらった。

高度も2000mまで上げて8の字飛行や無動力飛行、失速や錐もみに陥った場合のリカバリー方法を実地で教えると効果的だろう。

あと、前後の搭乗席を交代し、飛行中にコントロールバーとエンジン制御を渡すこともやってもらう。

まぁ一気には無理だろうから何日かかけてだな。

これから3号機には俺と訓練生1番、2番、3番。

4号機にはデビッドと訓練生4番、5番、6番が乗ることになる。

これで訓練効率がぐっと上がるな。


午後からは3号機と4号機は同時に飛ぶ。

空中衝突はしたくないので、予め飛ぶルートを半サイクルずらす。

飛ぶ空域も裏山を中心にして学園側と農地側に振り分ける。

裏山の更に裏は農地なので、不時着しても何とかなるからデビッドはそちらだな。

今回から俺は飛行している時に魔力探知を発動している。

普段の俺なら平地で半径50mくらいが人や魔獣の探知範囲だ。

空中なら半径40mくらいかな。

だが、同時に飛ぶ4号機は強力な魔石ジェットエンジンを2基も積んでいる。

動作させると周囲に莫大な魔力を放出するので、魔力探知で見たら暗夜の灯台の様に見える。

勿論、自機の3号機の魔石ジェットエンジンも猛烈な魔力を発しているので魔力的に非常に眩しい。

だが、エンジンは機体の後ろにあるのである程度無視出来る。

前方向の半球状に魔力検知を広げておけばまぁ空中でぶつかることはあるまい。

目視でも4号機の位置は見ているしな。

昨日の訓練時には1000mの上空に上がっても、地上で魔石制御の訓練をしている4号機のエンジンが輝いて見えていた。

これなら2000mくらいでもはっきりと存在が分かるので、空中衝突をすることは避けられるだろう。

まぁ魔力探知は今後の課題としておこう。

まずは目視だな。


午後の訓練は順調に行っていると思ったが、デビッド側の訓練生にちょっとした問題が起こった。

訓練生5番が空中で突然魔力制御が出来なくなったのだ。

いきなり全開になったり停止したりを繰り返し、デビッドが咄嗟に魔力ベルトを切り替えて事なきを得た。

どうやら緊張し過ぎて神経過敏になったのが原因の様だ。

しかも若干の高所恐怖症もあるらしい。

普段は呼吸法の様な鍛錬で押さえ込んでいるらしいが、緊張が続くといきなり魔力操作が出来なくなるとか。

まぁそれまでは飛べていたのだし、今後の慣れで問題無く飛べる様に思うが、念のため5番は俺の方の2番と交代することにした。

俺ならいくら5番が暴れても押さえ込む自信はあるしな。

その日はアクシデントはそれくらいで無事訓練は終わった。



次の日も訓練の続きである。

5番は離陸前に地上で俺と一緒にタキシングして魔力操作の確認をする。

噴射口の大きさを一番開いておくと、いきなり全開にしても翼の先端を下向きにしておけば離陸はしない。

直線で思いっきり魔石ジェットエンジンの操作をしてもらい、平常心で扱える様にしてもらう。

最初はちょっと不安定だったが、1時間もするとほぼ安定した。

これなら大丈夫だろう。


デビッドの組はもう上空に上がっているので、タイミングを見計らって俺の組も離陸する。

とりあえず目視で4号機の位置を常に把握する様に言う。

いきなり魔力探知は無理だろうし。

魔石制御と同時にするにはちょっと敷居が高い。

俺はチートだからいいんだよ。

ちゃんと出来るし。


だいたい全員が危なげなく操縦出来る様になって来たので、午後から魔石ジェットエンジンの噴射ノズルの操作方法を教える。

今までは高度1000mで一番効率の良い位置に固定していたのだ。

まぁそのまま触らなくても問題は無いが、ちょっとでも速く飛びたい場合や燃費を稼ぎたい場合は操作が必要だ。

これも計器が無いので感覚的な物になるが、まぁ数をこなせば何とかなるだろ。

何とかならなくても標準位置にしとけばとりあえずはまともに飛べるしな。


この日は噴射ノズルの操作方法を感覚で扱える様にするのにだいぶ手間取った。

加減速の感覚がよく分からないらしい。

ノズルの最適直径は燃費も最大になるので是非覚えておいて欲しいので、あの手この手で繰り返し体験させて体に覚え込ませる。

夕方までには全員何となく分かった様なのでこの日の訓練は終了とし、最後に魔石ジェットエンジンの魔力残量と魔力補充の方法を教える。

まず専用の魔方陣でエンジンの魔力残量を計測する方法を実演する。

これは突っ込むだけなので簡単だな。

確認したら紙の裏表を両手で挟んで軽く魔力を流すと測定結果は初期化されるので何回でも使える。

魔方陣を描いた面をあまり擦ると精度が落ちたり計測不可になったりするが。

次にエドモンドが格納庫に貯め込んでいる拳大の充填済み魔石を取り出し、専用の転送魔方陣が描かれた紙に裏表間違わない様に包んで吸気口から入れる。

10分程度待って再度魔力残量を調べると7割程度だったので、もう一回突っ込んで10分ほど待つ。

再び魔力残量を調べても9割程度しか充填されていなかったので、拳大の魔石を交換して5分ほど突っ込むとやっと満タンになった。

最初の拳大魔石はもう魔力残量がゼロなので専門の魔石専用魔道具で充填する必要がある。

エドモンドは自前で持っているが、ランニングコストがかかるので王都の専門店に出しているらしい。

勿論、支払いは軍だ。



次の日には最初から自分で離陸と上空訓練と着陸をさせる。

勿論、俺とデビッドは後席に乗っている。

20分間単位で3人で1時間。

これを6回繰り返して6時間飛行し、一人当たり2時間はみっちり訓練出来た。

俺とデビッドは一日中乗っていたのでかなり疲れたが。

まぁ操縦しているわけではないのでさほど神経は使ってはいない。

バイクの後ろに乗せられて高速道路を長距離ツーリングしたようなものだな。


最後に全員に一人で飛ばせてみた。

俺が2号機改で先行し、5秒くらい空けて3号機、さらに5秒空けて4号機と縦列で飛ぶ訓練だ。

同時に飛ぶ機体の目視は教えていたので、機体の間隔をスロットル調整で一定にする。

時速100kmで5秒空けると約140m間隔なので丁度良いくらいだ。

追突を避ける為に縦列とは言っても30mずつくらいは横にずらしている。

これなら後続の方がうっかり速度を上げても追突する心配は無い。

機体の前後バランスを自分で調整する方法も今日の1回目の訓練で教えていたので、割とスムーズに操作しているな。

この編隊飛行訓練は30分ずつくらいで終え、チームが何とか使える様になったと判断した。



今日は何故か情報局のモーガン中将が昼過ぎら来ていたらしい。

訓練が終わるのを予想していたのかな?

まぁ待ちきれなくて来たのだろうが。

俺達が訓練を終えて格納庫に機体を収納し、スカンクワークスの部室に戻るとエドモンドと話し込んでいた。


「やぁ君たち。訓練の状況はどうかな?」


「一応、一人で飛べる様にはしました。複数機での編隊飛行も訓練しましたので、3機同時に連なって飛ぶことも出来ます。まだ長時間連続で飛ぶ訓練はしていませんが、それはこちらの環境では無理なので軍の方でお願いしたいと思います。」


「それは6人とも同じ様に飛べるということかな?」


「そうです。かなり優秀ですね。一人も脱落することなく飛行出来る様になりました。」


「それはありがたい。では軍の方で3機の機体ごと引き取って問題無いかな?」


「はい、問題無いと思います。夜は飛ばない方が良いので、明日の朝6人で3機に乗って情報部に帰られてはどうでしょう。」


「うむ、そうさせてもらおう。6人は学園の学生寮に泊まっているのだったな。では明日の朝に全員王都に帰還したまえ。」


6人の訓練生は中将に敬礼し、俺とデビッドに対して「ご指導ありがとうございました。」と挨拶した。

声が揃っていたから示し合わせていたんだろうな。

でも嬉しいことだ。


「マーティン君。明日の朝は君も6人の飛行に同行して貰えないかな。もう1機あるんだろう?」


「はい、それはこちらから言おうと思っていました。国軍飛行隊「スカイコンドル」の正式初飛行に同行させて貰えるなら嬉しいですね。」


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