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魔法使いは自衛隊で無双したい  作者: 賽の目四郎


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115◇見積書

115◇見積書

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そういえば父上から魔導銃関連の見積の返事が来ていたな。

父上からの伝書鳩の返事を叔父上が正式な見積書として清書してくれていた。

2枚あり、1枚は発注書と兼用だ。


魔導銃

 1丁 :10万シエク(100万円)

 20丁:8万シエク(80万円) ・単価

鉛玉(千個):5万シエク(50万円)

発射薬(千発分):10万シエク(100万円)

フェルト(千枚):1万シエク(10万円)

納期:40日

納品場所:国軍情報局玄関前


うーん、ぼったくりとまでは言わないが、作る手間暇考えたらこんなもんか。

1丁作るのに鍛冶師2人がかりで6日かかる。

同時に木工師がストックも作る。

細工師が撃鉄引金周辺の部品を作る。

結構かかるな。

うん、妥当な線だ。


鉛玉も最初はこっちで作ろう。

下手に鋳型を渡して粗悪な鉛玉を作られたら命中精度に大きく影響するしな。

フェルトはまぁ買ってもらえたらそれでいいだろう。

自分で調達されてもさほど影響しないし。


叔父上にこれを出してもらおうかと思ったが、やはり俺が出すのが筋だろう。

内容を聞かれても叔父上では説明できないし。


国軍情報局 ロナルド・モーガン中将宛に手紙を書く。

見積書2枚と共に封筒に入れて封印を押す。

明日の放課後に直接情報局に持って行こう。

配達便で送って万一紛失や誤配送されるとえらいこっちゃし。


あと、ランバート領の生産能力の問題もあるから軍部工場でのライセンス生産も説明しよう。

鍛治師11人で月産20丁前後しか作れないので、魔導銃を国軍に行き渡らせるにはどうしても助けが必要だ。

もし大きく分担してくれるなら余力を鉛玉や発射薬の製造に充てられるしな。


見積書を持って登園し、順当に授業を受ける。

久しぶりにがっつり受けると途中で飽きてしまった。

まぁ小学生の群れにオッサンが混じって授業を受けている様なもんだしな。

それでもセリナの魔法授業だけは面白く受けられた。

しかし俺の魔力量が教師の平均を超えているみたいで、かなりの無茶振りをされてそのままこなしてしまうと逆にマズい。

周囲の生徒の状況を見ながら加減するんだけど、セリナの妙に鋭い観察でバレそうになったことが何回もある。

あくまでもトップクラスの最優秀生徒程度に抑えて、目立つのを回避していた。

まぁスカンク・ワークスの仕事内容を聞かれて説明しても、逆にセリナが理解してくれなかった時はどうしようかと思った。

説明の途中で泣きそうになってたもんな。

俺のは純粋な魔術じゃなくてメカトロマジックなんで、魔法の知識だけでは手に負えないんだよ。


放課後になったのでそのまま情報局に直行する。

俺馬車改が速い速い。

今日はデビッドが御者をしてそのドライバビリティを堪能していた。

やっぱり途中でヤバそうな速度域になったのでデビッドをどうどうと抑える。

交通事故をしたら馬は傷つくし馬車は破損するし人にぶつけたら対人補償をどうするかも出るしでいいことが全く無い。

乗っている自分たちも下手したら死ぬし。

こりゃー馬車用のシートベルトでも作るかな。

エアバッグは無理としても、軽量薄肉ミスリルパイプでロールケージを作ってもいいかも。

うん、いっそのこと、足回り以外を全部ミスリルパイプでバードケージ状フレームを作り直した方がいいな。

前後に多少のクラッシャブルゾーンを作っておけばより安全だし。


あっという間に情報局に到着し、中将にアポを取った。

1時間ほどで会えるとのことで待合室で護衛と共に待つ。

今回も30分過ぎくらいに中将の部屋に案内された。


「いつもお世話になっております。以前ご依頼いただきました、魔導銃につきましての見積書が出来ましたのでお持ちしました。」


「その13歳らしからぬしゃべりをやめてくれないか。どうも調子が狂う。」


「あ、そうなんですね。お互い貴族ですし、公的な場なので必要と思ったんですが。」


「あー、わざと大仰にやってるわけではないんだな。まぁ普段の言葉使いにしてくれ。」


「はい、わかりました。では、父からの回答を元に叔父に清書してもらったランバート領主としての正式見積書です。」


「うむ、見せてもらおう。」


中将は俺の渡した封筒の封を切って中の3枚を取り出して読み始めた。

俺の挨拶文はチラ見でスキップされ、見積書をじっくり眺めている。

ひととおり読むとじっと考え込んでいた。


「ちょっとこれは高くないか?」


「いえ、結構手間がかかっているんですよ。全て鍛造ですのでかなりの加工時間が必要です。人が手に持って使える重量に収めないとならないので、安いけど重たい鋳造は使えないんですよ。」


「そうなのか。剣でも鍛造品が結構高いのは手間がかかっているからなんだな。参考までに鋳造で作ったことはあるのか?」


「試作で作ったことはありますが、設計上の安全率を見込むと重量が3倍くらいになり、とても1人では持てないくらいになりました。」


「なるほどな。鋳造品は割れるもんな。銃の価格は分かった。鉛玉ってこれは自分でも鋳造できるって言ってたけど、結構するんだな。」


「鋳造自体は誰でも出来ますが、真球に仕上げるのは難しいです。鉛を金型に流し込む時の温度や速度で歪みますし、鋳造後も金型の合わせ目のバリや鉛を流し込む湯口を削ったり修正するのに結構時間と腕が必要です。鉛玉の真球度は命中率に直結し、下手に自作されるともともこもないので今回完成品で提供することにしました。」


「では発射薬なんだが、鉛玉より高いのはどういうことなんだ?」


「これも純粋に加工の手間がかかるからですね。鉱山から掘り出した発火魔石を最適な粒度の粉末にし、発火魔石の純度に応じた反応制御剤を配合する必要があります。硬い石を粉末にするだけでも結構な手間と時間がかかり、純度を調べた上でそれに適合する配合を決めるのにも時間がかかります。一定の発射威力にするために結構手間がかかっているんですよ。」


「うーむ、分かった様な分からない様な..まぁこれは初回だものな。今後の改良や効率向上で安くなることを期待して今回はこれで発注しよう。」


「ありがとうございます。ではこの発注書欄に所属とお名前の記入をお願いします。あと魔導銃の発注数の記入もお願いします。」


「ホントに手慣れているんだな。どこで習ったんだこんなこと。」


あちゃー、前世で日常的に業務でやってたもんでスラスラと出て来るんだよな。

こっちの世界でも似た商習慣だったので何気なしにやっちゃってたよ。

まぁ俺が前世持ちってのはバレてるんでそっちからの流れということにしておこう。


「ありがとうございます。記入内容を確認しました。これにて正式発注とし、父に伝書鳩便で製造開始の連絡をします。」


「分かった分かった。真面目にやろう。納期は40日でここに納品だったよな?間に合うのか?」


「それは問題ありません。今までに作り溜めた物が若干ありますし、馬車での運搬の1週間も入れてあります。」


「至れり尽くせりだな。完璧な商売人だ。」


「ありがとうございます。ではここから少し踏み込んだお話を。」


「なんだ、まだあるのか?」


「今後軍に正式採用された後の大量生産についてなのですが、ランバート領での生産数は鍛治職人の人数に限りがあることから数量的に無理があるんですよ。それで魔導銃を軍部工場でライセンス生産されてはどうかと思いまして。」


「ライセンス生産?それはどういうものだ?」


「設計図提供、製造治具貸与、製造指導をこちらからの職人派遣で行い、軍部工場で魔導銃の製造をしていただきます。お任せするのは製造に関する部分だけで、改良や改造は一切禁止します。また、知り得た情報や部材の流出も制限していただきます。これを守っていただけるのでしたら、一定の割合のライセンス料のお支払いのみで好きな量をこちらで作っていただけます。」


「ライセンス料ってどれくらいだ?」


「最初は1丁あたり2万シエク(20万円)を想定しています。これにはこちらの職人派遣料、技術指導料、品質管理指導料なども含まれています。安定して単独で量産可能になりましたらその時点で再考いたします。」


「うーむ、確かに数を確保する上では魅力的な案だな。だがこちらが勝手に作り始めたらどうする?」


「その時は改善を要求して、それが叶わない場合は以降のお付き合いを停止するだけですね。当然、発射薬の販売も停止します。」


「うっ、それは厳しいな。そうか、それがあるから一領主が国軍相手に条件を突きつけられるんだな。」


「ようやくお分かりいただけた様で何よりです。まぁ切り札は手放さないものですよ。」


「わかったわかった、君の提案に乗ろう。正直に付き合えばこちらのメリットも大きいしな。」


ふぅー、やっとこのオッサンを納得させられた。


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