神庭海凪の失踪
プロローグ
今時特に珍しくもない鄙びた地方都市、神露町。
その町で最も栄えた社である神庭大社の跡取り娘、神庭海凪はある夏の日、忽然と姿を消した——。
プロローグ2〜境界にて〜
——身体が重いような、はたまた軽いような、そもそも現実感や重力すら曖昧な文字通りの虚空——、そこに私は漂っていた。
依然として前途不透明、ついでに前後不覚ではあるが私、なんでここにいるんだっけ?
『おや?境界に人間が迷い込むなんて珍しいね……』
唐突に、鈴のなるような耳に心地良い少女の声がした。
あ な た は、 誰 ?
曖昧な思考の中でも、この少女が尋常ならざる存在なのはなんとなく感じ取れる。
『ボクの名は、■■■■■。■■■でもいいよ?キミ達の基準で言うところのカミサマで、一応は境界の管理者でもある』
『キミの名前は?』
私 は、吾 輩 は、
——神 庭、 海 凪——。
曖昧になりつつある意識と自分自身を再定義するように、己の名前を口に出す。
『海凪……か、いい名前だね。ここで会ったのも何かの縁、ボクと友達になろうよ?』
そうして、吾輩はカミサマと友達になった。
その後、さんざん彼氏自慢や惚気話をされたような気もするが、気が付いた頃には吾輩は何故か病院のベッドにいた。
ただ一つ確かな事は、吾輩が経験した出来事は夢でも幻でもなくて、この世に神秘は間違いなく存在する——、そして吾輩はカミサマと友達になったと言う事だ。
プロローグ 終




