第七部 第十章
「<剣鬼>ってマジか? 」
<疾風>さんの走る速度が落ちた。
伝説の冒険者である<疾風>さんですら動揺していた。
当り前だ。
真面目に宮本武蔵が待っているようなもんだ。
「タシカサイキョウノケンシデハナカッタカ? 」
リリーも動揺していた。
「無茶苦茶、報酬が高いだろうに。呼んだのか」
俺が呻く。
「どうする? 」
<疾風>さんが呻く。
「それでも逃げるしかない。神聖帝国のゼス皇帝が和貴なら、絶対に俺達を殺すはず。もしくは進藤結衣……ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に対しての人質に使うか」
そう考えて、つくづく詰んだと思った。
妙に俺の事を良く知っていると思ったが、そうか、そう言う事か……。
「俺が<悲鳴>を倒したと思ったから、それに勝てる奴を用意したんだ」
「ああ、そう言えば<剣鬼>は<悲鳴>を唯一撃退したと言う噂だな」
「そう言う事。<悲鳴>の記憶で見た事がある。<悲鳴>に仲間を拷問されていて、それで激高して<剣鬼>が斬って撃退していた。<悲鳴>の右手を斬って、上手く右手が動けなくしたのが<剣鬼>だ。<悲鳴>の記憶で、激高していたので、奴の剣先がぶれたから助かったって言う思いが凄かった。ぶっちゃけ、間違いなく<悲鳴>より強いと思う。だから、<悲鳴>に勝った俺に対抗する為に、<剣鬼>を呼んだんだ」
俺が呻く。
俺の技量が1流の下とか読めるくらいだから、最初から特殊スキルを警戒はしていたのだろう。
それでも、俺に勝てると見て<剣鬼>を呼んだのだと思う。
参ったな。
どうして、そんなに俺の評価が高くなるのか。
それでも足は止めない。
和貴に会えば殺される可能性が高く、良くても進藤結衣の事がバレてしまう。
あいつは俺達に拷問する事を躊躇しないだろう。
どうするか。
自然と上に上がる速度が遅くなる。
当り前だ。
それでも、行かざるを得ない。
「上手くすればアドリアヌス・ラウレンス・ヘールツ伯爵が間に合うかもしれない」
などと<疾風>さんが言うが俺は期待してない。
「アイツドンクサイゾ」
などとリリーが言ってしまったが、俺の評価も実は同じだ。
というか、ライトノベルのギルドキングダムのキャラクター紹介ではそんな感じなのだ。
性格が違ってたら、進藤結衣であるベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が警戒して信頼するはずもない。
だから、俺が期待するとしたら、ベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が救援に来てくれることだ。
そう言う意味では信頼しているし。
なんとか、ならんものかなとしみじみ思う。




