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第四部 第十六章

 そもそも、アチアチカップルのアニサキスって俺の言わば造語だから、そう言うのってあの時にいた人間しか知らないはず。


 だから、これは私への符丁だとベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が俺のコードネームの申請を知って涙を流して喜んだわけで。


「ええええと……俺はあの時に死んだから……他に誰かいた? 」


 などと素でベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に聞いてしまった。


「いや、あの時は救急隊員を待って、貴方が冷たくなるのを抱きしめ続けていたから……」


「じゃあ、まさか……和貴か? 」


 信じられない話だが、あいつしかいない。


 近くで俺のつぶやきのアチアチカップルのアニサキスを聞いたのは他にいないはずなのだ。


「いや、彼は死んだから」


「ふあっ? 」


 俺がベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下に言われてビビる。

 

 いや、一方的に俺が刺されただけだよね。


 何もしてないし。


「え? どういう事? 後で事故でもあったの? 」


「貴方を刺すのを止めるために背後から、私がタイガースープレックスで地面に叩きつけたから……」


「た、タイガースープレックス?  猛虎原爆固め? 」


「ええ? 」


「な、ナイフを持ってたはずだけど……」


「それをチキンウィングで止めたの」


「で、そのまま」


「肩じゃなくて頭をコンクリの地面に叩きつけたわ」


「ふあぁぁぁあぁぁぁ! 」


 彼女の父親がプロレス好きで、そう言うのを良く知っていると話していたのは知っていたが、よりによって使った技がタイガースープレックス? 


 しかも肩口を叩きつけるのではなくコンクリの地面に頭から? 


「あれは、……受け身が取れない技だよね」


「羽交い絞めにするつもりが力が強くて不可抗力でって話には表向きはしたけど、実は狙いました」


「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ! 」


 顔がムンクの叫びのようになる。


 もともと、古流の武術でジャーマンスープレックスもパワーポムも雪隠固めとか言う名前とかで相手を下にある石に叩きつける一撃必殺の技としてある。


 主君の命令とかで絶対に相手を殺さないといけないときに使う技としてた。


 故ジャンボ鶴田みたいな天才はスープレックスの落ちる角度と叩きつける場所で、相手をノックアウトさせて試合を終わらせたり、その後も相手と続けて戦える程度のダメージを与えたりして試合を終わらせるか続けるかをコントロールできたらしい。


 で、タイガースープレックスは腕を極めてホールドしているので、実戦で使うと死にます。


 普通の地面でやっても死ぬかもしれない。


「必死だったし。許せなかったし。そう言う意味では後悔してないわ」


 などと言い切る進藤結衣であるベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下だった。


 という事は実は凄く強い性格だったのか。


 分かんなかった。


 いやいや、なんてこった。


「だから、すでに頭が破壊されて死んでたと思うんだけど……」


「警察は? 君は捕まったの? 」


 まさか、刑務所にいたのか? 


 慌てて聞いてしまう。


「いや、良い弁護士をつけてもらったし、殺されるのを止めようとしてもみ合ってって事になったから」


「良かった。緊急避難か正当防衛で終わったんだ。」


 などとほっとしてしまう。


 俺などの為に進藤結衣が捕まったのなら申し訳ない。


 まあ、俺のせいで異世界を作っちゃったんだけど……。


 知らなかった話が次々と出て来て、俺も呆然となった。


 死んでいたんだ、和貴は。


「じゃあ、あり得るのかな? 」


 俺がめまいを起こすように呟いた。


 まるで、決めたられたような話だ。


 最後の俺達の敵として、また和貴? 


 嘘だろ? 


 それで、俺もベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下も無言になった。

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