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第三部 第四話

「何かあったのかね? 」


 そう俺は何だかんだ言っても二十三歳の若造なんで、高級官僚のゴールドサポーターである事が分かるように金色の腕輪をちらちらと見せて聞いた。


 もちろん、わざと俺はギルドキングダムでは高級官僚として偉い立場なんだぞと分からせる為だ。


 だが、それをちらりとそれを見たものの、執事の格好をした俺の担当は冷静だった。


 まあ、貴族とかそういうのも相手にしているから、それでそう言う格好をさせているだけでなく、そう言う経験豊富な人材を雇用しているのだと思われたが……。


「あ、いえ、申し訳ございません。なんでも、緊急の御用という事で、重要人物を探させろと近衛軍が歓楽街を封鎖したとのことで……」


「こ、近衛が……」


「はい。べアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下の直属の近衛軍でございます」


 俺がその言葉を聞いて震えた。


 いやいや、まさか俺じゃないだろうな?


 まさか、近衛軍が俺を探しているのか?


 そんな事は無いはずだけど……。


 そんな馬鹿な。


 俺の童貞が……俺の童貞が……そんな国家の重大事に?


 俺の頭の中で、アリアーネ嬢の俺にべアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が執着していると言う言葉がゆらゆらと浮かぶ。


 いや、それは無いだろう。


 だって、着任の時に一度会ったきりだもの。


 チャラい奴等の法則でも執着していたら、そんなはずは無いはずなのだ。


 もっと接触があるはず。


 それが無いのだから、それはおかしい。


 人と言うものは正直なもので、相手に執着すると、それは行動に現れる。


 ストーカーがわざわざ相手が移り住んだ隣の隣の市を徘徊したりするものなのだ。


 そもそもベアトリクス・フォン・アレクスト女王陛下が、俺の為には戦争を辞さないとか言ってたけど、大げさなんだよな、あのアリアーネ嬢は。


「近衛軍は百人くらいで来てるのか? 」


 俺がそう心の動揺を隠して冷静に執事の様な案内係に聞いてみた。


「いえ、それが本当に重要人物のようで……全軍です。近衛の全軍で歓楽街を封鎖してます」


「ぜんぐぅん? 」


 俺が震えまくる。


 執事の様な案内係の人物がコクリと頷いた。


「いや、全軍って……近衛の全軍って一万人くらいいるよ? 」


「そうなんです。その一万の近衛軍全軍が戦闘隊形でこの歓楽街を包囲しているのです」


 執事の様な案内係が真剣な顔で答える。


「せ、戦闘隊形? 」


 俺の震えが止まりません。


「一体、そんな大物は、だ、誰なんですかね? 」


 俺が心配そうに聞いてみた。


「実は、ここだけの話ですよ。どうやら、相手はテンフィンガーらしいです……」


 そう執事の様な案内係が声を潜めた。


「て、てててててててててててててててててテンふぃんがーですってぇぇぇぇぇぇぇ! 」


 俺が動揺を隠せず呟いた。


「ええ、捜索している相手は、あの噂の凄腕のアチアチカップルのアニサキス殿らしいですよ」


 さらに声を潜めて執事の様な案内係が囁く。


「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……」


 もう言葉が出ません。


 嘘だろ?


 俺は反乱とかしてないよね。


 別にバウルさんの事も事情聴取で大変でしたねって苦笑されただけだし。


 となると童貞?


 俺の童貞を守るのが国家の重大出来事なのか?


 童貞が?


 俺の童貞が?


 近衛の全軍が動くって大戦争の中でも滅多にない話なのに、俺の童貞がそんなに大切なのか? 


「まさか……本当に俺が童貞でいると魔法使いになれるのか? 」


 俺が我慢できずに呟くと執事の様な案内係が吹き出した。


 無茶苦茶恥ずかしかった。


 いやいや、プロなんだから吹き出さないでくれよ。


 俺も本気で困惑しているんだから。




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