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双子の正体


「「大魔術師様(コグリューシュピア)…」」

「へ?」


二人が呟いた言葉が何を言っているかわからなかった。


「何故・・・どうしてあなたが持っているの!?」

「落ち着きなよ、フレディア。まずは僕らのことを話すべきじゃないか?彼女、ヴィルから何も聞かされていない」

「はあ!?」


どういうことよ!と、フレディアが絶叫する。


「落ち着きなよって。・・・フレディアが説明してくれるかなって期待したけど無理だね」


はあ。と溜め息をついた。


「はあ、はあ。フレッド、私がやる。あんたがやって成功した覚えはないから。―――セイカさん、いきなりですが問題です」

「はい?」


私の反応を無視してフレディアはそのまま続ける。


「このフィチカリネで一番魔力を持っている人は誰でしょう?」


いきなり何故質問返しされているのか。

とりあえず、答えを考えてみる。


「・・・やっぱり、王様じゃない?」

「残念、ハズレです。答えをお教えしましょう。答えは」

「ノワリューシェの双子、つまり僕らだよ。実は王家専属の魔導師なんだ」


・・・・・・。

一瞬思考がついて行けず、固まる。

そして次の瞬間理解し、絶叫した。


「ええええ!?」

「じゃあまず、この世界の魔力の強さの見分け方を説明致しますね。

まず、魔力は人の目の色を決めてしまいます。色でランクが決まり、使える魔法も左右されています。魔力を持たないものは茶色で統一、魔力を持つ一番低いランクは金、そして碧、緋、蒼、黒と続きます」


フレディアはそこまで話して紅茶を飲む。その姿も洗礼され、美しい。

その間にフレッドが続けて説明する。


「ちなみに、目の色と髪色が同じであれば、より魔力が強い。つまり、一番魔力が高いとされるのは、黒髪の黒い瞳。セイカさんも当て嵌まる」

「で、でも!フレデリアさんやフレデリックさんは金髪で蒼眼ですよね?」


疑問を口にすると、ああ、それはね、とフレディアが口を挟んだ。


「私達は複合型魔法で染めてるの。解いて見せてあげますわ」


パチンと指を鳴らすと毛先から一気に黒くなり、目も漆黒に変わっていた。


「っ・・・・・・・・・」


呆気にとられて声がでない。色が変わるだけでかなり印象が変わる。

まるで別人だ。


「僕も見せてあげるよ。但し、一瞬だけね」


フレッドもパチンと指を鳴らす。


フレディアより速く黒髪に変わり、再びパチンと鳴らした。


「ここは一応結界が張ってあるんだけど、三人もの魔力には耐えられない。すぐに兵士が飛んで来るからね」

「王城は特にそうだけれど、魔力には敏感なの。侵入者がわかるようにしてあるから」


そうフレディアが言いながら指を鳴らした。


「ちょ、ちょっと待って下さい?私は黒髪で目も黒いけど、魔力なんて持ってないし、どうして二人は・・・その、色を変えて過ごしているんですか?」


再び(というか何度も)質問する私に、彼らは今までと違った反応を見せた。

二人ともびくっと反応――動揺のするように――し、押し黙る。

その様子だけで、私は地雷を踏んだとわかった。


「あの・・・・・・その、・・・ご、ごめんなさい」


私が謝ると、フレディアが顔を上げて慌てて微笑みを作る。


「あ、いえ。私達の方こそごめんなさい。急に黙ってしまって」


その微笑みの奥に、何か黒いものが見えたのは気のせいではないだろう。


「・・・・・・セイカ、俺達がこうしているには訳がある」


いきなり顔を上げ、フレッドが口調が変わった。私も驚いたが、何よりフレディアが目を丸くして驚いていた。

「・・・・・・フレッド・・・!何を言うつもり?セイカさんはお客様よ?ヴィリィクス様に・・・叱られ」

「それでも」


フレッドがフレディアを遮り、言い直す。


「それでも、俺は、セイカに聞かせる必要があると思う」


下手すると、セイカは帰れないんだ。

フレッドの言葉にドキッと鼓動がする。

下手も何も、私は帰れない。

だって、私は死んだはずなのだから。


「わかったわ。セイカさん、もう少しだけ、私達の話を聞いて頂けますか?」


私はコクリと頷く。

これから、何を話すのか。

黒い瞳である彼らの、壮絶な過去が語られるとも知らずに。


フレッドが、真剣な眼差しをこちらに向けて言った。


「これから話すことは、全て事実であることを、忘れないで欲しい」


その言葉にゴクッと喉を鳴らした。




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