第1話 春:第1節 サボテン
初めて青春系の作品を執筆しました。
瀬戸内に在住している高校生だからこそ、紡げる言葉や感覚を伝えられたら嬉しいです。
穏やかな日常に突然起きた雷のような出来事。
これは俺の贖罪の物語だ。
1章 春
第1節 サボテン
「ねぇ、君の名前は?」
毛先を遊ばせた、薄い色素の髪を持つ男の子が俺に尋ねた。
近所の大人が、この男の子とは話すなと言っていた。
ズレてる人間だから、相手にするなと。
だが、俺は気づけば言葉を紡いでいた。
「俺の名前は、かず。青バラ組だ。」
「僕はね、なお。キンシャチ組だよ。」
「キンシャチ?なんだそれ?」
「サボテンのお花さんだよ。」
なおは慈愛に満ちた目で俺を見つめた。
サボテンってなんだっけ、と考えていた。
すると、なおは言った。
「ねぇ、青バラくん。僕とお友達になってよ。」
「俺は、青バラじゃない。かずって名前だ。」
「まぁ、いいよ。」
「嬉しいなぁ。ありがとう。」
そこから仲良くなるのはあっという間だった。
ある快晴の日。
なおは俺に言った。
「ねぇねぇ、サッカーを一緒にしようよ。僕ね、サッカー上手なんだ。」
「いいよ。しよう。」
俺は、負ける気はしなかった。
幼稚園でサッカーをした時に向けられる羨望の眼差しはいつも俺に向けられていたからだ。
だが、なおのサッカーの才能は圧倒的だった。
「どうだー!僕が勝ったぞー!」
にこやかな表情でピースサインをこちらに向けるなおを見て、眉をひそめた。
「なんか、ズルした?」
ズルなんかしてない、そうわかっても尋ねてしまう。
自分が弱いと認めたくなかった。
だが、そんな期待を他所になおは笑顔で答えた。
「してないよ。正々堂々勝ったんだ。」
なおの試合中の表情を見れば分かる。
本当にサッカーが大好きなんだ、と。
試合中、笑顔を浮かべていなかった。なおだけは、ずっと真剣な表情をしていた。
だからこそ、その一言が、俺の負けず嫌いの心に火をつけた。熱く光っていた。
嫉妬か尊敬か、初めて出会う感情に戸惑って手が震えた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
7万文字以上必要だという事実に、震えおののいています。
次回、戸惑い!




